企業研究

   

新NISAとは?何が変わるのか?メリット・デメリットは?

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一般NISAは2028年まで延長され、2024年からはその内容が変わることが発表されました。


現行の少額投資非課税制度「一般NISA」は、「一般NISA」口座内での売買益や配当金に対する課税(通常は20.315%)が5年間非課税となる税制優遇制度です。

 

これまでNISA口座は、日銀のマイナス金利政策による銀行預金の金利低下と年金不安を受けて投資に興味を持つ人が増え、その認知度は上昇傾向にあります。

 

一般NISAは、2014年1月にスタートし、現在、1,200万口座以上が開設されています。

 

現行のNISAから新NISAに移管することで何が変わるのでしょうか?、メリット・デメリットについても気になるところです。

今回は、現行NISAと新NISAを比較し、何がどのように変わったのかについてご紹介します。

 

 

なぜ現行NISAから新NISAに変わるのか?

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非課税制度を創設した主旨は、安定的な長期運用による資産形成を促すことにありました。

 

しかし、実際には短期的な株式売買に使われるケースも多く、投資対象も幅広い事から「投資初心者向けではない」、「老後資産形成に向かない」との批判が強まっていました。

 

そのような声を受け、政府は2020年度税制改正大綱に「一般NISA」の制度改正を盛り込み、2024年から新NISAを開始する運びとなりました。

 

現行の一般NISAとは?

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現行の「一般NISA」では年間120万円までの枠で株式や投資信託、ETFなどの幅広い商品の買付が可能となっています。

NISA口座内で買付けた商品はその後5年間、売却益や配当金が全て非課税となる仕組みとなっています。

 

年間120万円まで投資することができ、その120万円分の投資先から発生した利益が5年間非課税となるわけです。

1年おきに120万まで投資することができ、120万円の枠を同時に5つまで持つことができます。

つまり、投資元本の拠出上限は600万円です。

 

120万の投資を毎年5年続ければ1つ枠を使い切る形になります。

1つの枠を使い切ると、その投資対象を翌年の非課税投資枠に移すか(ロールオーバーという)、売却するか、課税口座に移すか選択することになります。

1つの枠を使い切ったことで、5枠のうち一枠が空きますので、また年間120万分買い付け、5年非課税で運用することができます。

 

現行NISAは、2023年までの制度とされていますので、金融商品の購入を行うことができるのは2023年までです。

2023年中に購入した金融商品についても5年間(2027年まで)非課税で保有することができます。

 

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出所)NISAの概要 : 金融庁

新NISAとは?

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一般NISAは2023年に終了予定でしたが、期間が5年延長されるとともに、2024年以降は制度の内容が変わる事が決定しました。

 

制度改正の主旨は、本来の目的である安定的な長期運用による資産形成を促すことです。

 

そこで、新NISAは以下のとおり変更されることになりました。

 

金融庁が定めた、限られた低リスク商品だけを購入できる1階部分(20万円まで)と、従来通り株式等にも投資できる2階部分(102万円まで)の2階建てで年間計122万円まで使える仕組みになります。

 

1階部分で投資対象になる商品は、「つみたてNISA」や「iDeCo」で選定されているようなインデックス型や債券など低リスクな商品が選ばれると考えられます。

 

現行NISAと大きく異なる点が、1階部分に投資しないと2階部分が使えないという縛りができる点です。

この制度改正により、個人投資家のリスク低減と長期投資の推進を図るという狙いがあります。

 

新制度は、2024年から運用され2028年で終了します。

現行の一般NISAは、2023年で終了します。

つまり、2024年から新制度に移行するわけです。

 

非課税期間は従来と同じ5年間となっています。

つまり、新制度が終了するのが2028年までなので、2028年に投資した分までが非課税対象となります。

2028年から5年後の2033年が最終の非課税が適用される年となります。

 

ちなみに「現行NISA」から「新NISA」へのロールオーバーについては現時点で情報が出ていません。


現在「一般NISA」と「つみたてNISA」の併用はできず、口座開設時にどちらかを選ぶことになっています。

2024年から始まる「新NISA」についても同様であり、「つみたてNISA」とどちらかを選択することになります。

 

つみたてNISAはそのまま延長

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つみたてNISAは、主だった変更はありません。

2037年までであった期限を2042年まで5年間延長し、いつ始めても20年間の非課税優遇を受けられるように変更されることとなりました。

 

つまり、2042年に投資した商品は、20年後の2062年まで非課税になります。

 

つみたてNISAの非課税期間の長さに伯がつきました。

 

つみたてNISAは、低リスク商品への長期、積立、分散投資を支援するために2018年から始まった非課税制度です。

 

非課税期間の延長は、政府が引き続き長期積立投資を推進していこうとする意思の現れといえます。

 

新NISAのメリット

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新NISAでは、限られた低リスク商品だけを購入できる1階部分(20万円まで)と、従来通り株式等にも投資できる2階部分(102万円まで)の2階建てで年間計122万円まで使える仕組みとなります。

1階部分ができたことで、「リスクは抑えたいけれど株も買ってみたい」といった方には、使いやすい制度になることが予想されます。

 

新NISAのデメリット

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株に投資したいという方にとっては、非課税枠が120万円から102万円に縮小してしまったので、痛いところです。

 

また、最初の20万円まではインデックス型や債権を対象とした投資信託といった限られた低リスク商品に投資しなければ、株の売買益や配当が非課税にならなくりました。

 

株による収益がメインの投資手法の場合、信託NISAへの移行は、痛手かもしれません。

 

 

長期積立投資なら引き続きつみたてNISAを!

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今回の改正を機につみたてNISAからNISAに切り替える人もいることでしょう。

現在「つみたてNISA」を年間40万円利用している人が、

2024年からは「新NISA」に切り替えて40万円分はこれまでと同じように低リスク商品を購入し、残りの枠で応援したい企業の株や配当金、株主優待が魅力的な株を買ってみるという手もあります。

 

ただし、「新NISA」でも非課税期間が5年と短いことには変わりないので、長期的な運用を重要視する場合には引き続き「つみたてNISA」を選ぶ方が得策と言えるでしょう。

 

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