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【信越化学】AIや5Gに欠かせない半導体の素材で世界No.1!

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皆さんは、どこかで半導体という言葉を聞いたことがあることでしょう。

半導体は、パソコンやスマホなどはもちろん、エアコンの温度センサーや、炊飯器の火力調節、洗濯機、LED電球などがありとあらゆるデジタル家電に使用されています。

つまり、半導体は私たちの生活に欠かせない存在なのです。半導体なしには私たちの生活が成り立たないと言っても過言ではないでしょう。

また、今後世界を大きく変えるであろう自動運転や、AI、5G等の技術にもこの半導体は欠かせません。

そんな半導体をつくるのに必要な素材がシリコンです。

実はこのシリコンで世界シェアNo.1を誇る企業が日本にあるのです。

今回は、その企業について深掘りし、今後の展望についてもご紹介していきます。

 

半導体とは何?

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そもそも半導体とはどのようなものなのかをご紹介していきます。

物質には電気を通すものと通さないものがあります。

例えば、プラスチックやゴムは電気を通しません。逆にアルミニウムや銅は電気を通します。

このように電気を通す物質を「導体」、電気を通さない物質を「絶縁体」と呼びます。

導体と絶縁体の違いは、抵抗率の違いにあります。導体は抵抗率が低く、絶縁体は抵抗率が高いです。

半導体は、温度によって抵抗率が変化します。半導体は、温度が低い時は電気を通しにくく、温度が高くなるにつれて電気を通しやすくなるのです。

つまり、半導体とは、あるときは電気を通したり、あるときは電気を通さなかったり、条件によって異なる性質をもつ物質です。

パソコンなどのコンピュータは、半導体が電気を通したり、通さなかったりすることで「0」と「1」の情報を伝え、 0と1だけの数字による組み合わせ(二進法)で、様々な計算や情報を処理しています。

コンピュータは、半導体なしには動きません。

この性能は、電化製品のコントロールに欠かせないものになっているのです。

パソコンやスマホなどはもちろん、エアコンの温度センサーや、電子レンジや炊飯器、洗濯機、LED電球などがありとあらゆるデジタル家電に使用されています。

半導体なしでは日常生活が成り立たないと言っても過言ではありません。

 

半導体の素材とは?

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では、この半導体に使われている物質にはどのようなものがあるのでしょうか。

半導体には単一の元素でできている「元素半導体」と複数の元素でできている「化合物半導体」の2種類があります。

元素半導体には、よく知られているの「シリコン」があります。

シリコンは、「ケイ素」と呼ばれる元素で、地球上の様々なものに含まれている状態で存在します。

地球上に存在するほとんどのシリコンは、他の元素と結びついているため、半導体として使用するにはシリコンのみを摘出する必要があります。

この抽出には高い技術が必要ですし、多くの電力が必要です。

一方、化合物半導体は様々な元素の組み合わせによって作られ、組み合わせにより異なった性質を持ちます。

化合物半導体は、シリコンに比べ結晶が壊れやすいこと、コストがかかることから以前から一般家電にはあまり使用されていません。

しかし、シリコンよりも電子の移動速度が速いなど優れた性能が注目され、最近開発が進んでいます。

 

半導体シリコンの世界シェアNo.1

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半導体に使われるシリコンの世界シェアNo.1を誇る企業が日本にあります。

信越化学工業です。

信越化学工業は、インフラ整備の必需品となっている塩化ビニル樹脂、デジタル製品の基本素材である半導体シリコンは、他を圧倒する支持を得て、世界トップシェアを誇ります。

また、高機能樹脂として多彩な用途で幅広く利用されているシリコーンは、国内1位となっています。

シリコンウエハーは半導体の「基板」となる素材であり、スマートフォン、パソコン、デジタル家電、自動車等、私たちの身の回りに数多く使われています。

これらは私たちの生活を豊かにするものであり、社会の「基盤」となっています。

今後も自動運転車やAIロボット等の夢のある生活を創出する半導体産業の発展に欠かせない材料です。

www.shinetsu.co.jp

 

商機!5G向けの半導体ウエハーも開発!

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信越化学工業は、「5G」向けの半導体に使う高機能のウエハーを開発しました。

ウエハーとは、半導体材料を薄く円盤状に加工してできた薄い板のことです。 半導体基板の材料として用いられています。

窒化ガリウム(GaN)を使う製法で、従来製法よりも大型化しやすいことが特徴です。

大型化することのメリットは、基板を量産し普及しやすくなることです。

量産化できれば、販売コストを下げることができるのです。

信越化学は、5Gで使う高周波の電波にも対応できる素材を提供し、半導体の高機能化を後押しする狙いです。

今回、信越化学が開発に成功した新たなウエハーは、米国の素材スタートアップのクロミス(カリフォルニア州)の開発した、材質が非公表の素材を使用するとのことです。

半導体業界では、シリコンウエハーの上にGaNの層を形成する製法があります。

しかしこの製法では、シリコンとの素材特性の違いで加工が難しく大型化しにくいことが課題でした。

クロミスの素材を使うことで、従来製法の4倍の面積にウエハーを大型化できるというから驚きです。

信越化学は、2020年中にサンプル出荷を始め、5G対応の基地局や電子部品への採用を目指すとしています。

5Gは現行の4Gに比べて通信速度が100倍になります

日本では今春から商用化される予定です。

5Gの電子機器で使う半導体は高周波の電波を使って膨大な情報を処理します。

現在のシリコン製の基板ではこうした電波に対応しきれず、画像の乱れや通信障害などにつながる可能性も指摘されています。

GaNを使った基板はシリコン製の基板と比べて電気損失を6分の1以下に抑え、半導体の動作の安定や長寿命化に貢献するとされています。

そのため、5G関連の半導体向けとして期待されています。

ただ現状では高価なため、青色発光ダイオード(LED)の材料としての普及にとどまっています。

ウエハーを大型化できれば、基板を量産し普及しやすくなります。

調査会社の富士キメラ総研(東京・中央)によれば、5Gの世界市場について、基地局だけで2023年に19年見通し比38倍の4兆円超に拡大する可能性があるとのことです。

信越化学工業の躍進に期待です。

www.shinetsu.co.jp