日本を代表する自動車メーカーのひとつSUBARU。かつては富士重工業株式会社という名前でしたが、2017年にSUBARUに社名が変わりました。
かつては重工業と名乗っていたということもあり、自動車以外にも航空宇宙産業も扱っています。
そんなSUBARUは、高配当銘柄として有名です。
今回は、そんな高配当銘柄であるSUBARUについてご紹介していきます。
- SUBARUの株価状況
- SUBARUの財務状況
- PBR:0.92倍
- SUBARUの株価推移
- SUBARUの事業内容
- SUBARUの当期利益の推移
- SUBARUの配当金の推移
- 配当性向は約70%!
- トヨタ自動車と資本提携
- まとめ
SUBARUの株価状況
株価(4/12 15:00)
2,023.5
年初来高値
2,945(2019年2月21日)
年初来安値
1,671.5(2020年4月6日)
最高値(過去10年)
5,223 (2015/12/02)
最安値(過去10年)
402(2011/11/24)
PER:9.51倍
PBR:0.92倍
配当金(会社予想):144円
配当利回り:7.12%
配当性向:67.7%
配当権利確定日:3月末、9月末
自己資本比率:52.89%
ROE:9.7%
ROA:5.1%
EPS:212.6円
SUBARUの財務状況
自己資本比率:52.89%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
SUBARUは、自己資本比率50%超であり、潰れるリスクが低い優良企業です。
ちなみに日本を代表する大企業、トヨタ自動車は自己資本比率37%です。
ROE:9.7%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
SUBARUは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが9.7%あります。
この数字は、突出して高いものではありませんが10%近くあるのはまずまずです。
ROA:5.1%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
SUBARUはROAが5.1%です。5%超えは立派です。
EPS:212.6円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下はSUBARUのEPSの推移を示した表です。
2016年をピークにEPSは減少傾向にあります。2020年現在のEPSは、2013年の頃とほぼ同水準です。
世界同時株安であった2016年にEPSの最高値を更新したのは立派ですが、その当時と比べて現在は、3分の1以下となっています。
業績は決して好調とは言えない状態ですね。
PER:9.51倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在のSUBARUの株価は、かなり割安だといえます。
PERは、9.51倍です。10倍を下回る水準は割安だといえます。
PBR:0.92倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PER同様、PBRもSUBARUは、かなり低い値です。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
SUBARUの株価推移
10年チャート 株価(4/12 15:00) 2,023.5円
出所)(株)SUBARU【7270】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
1年チャート 株価(4/12 15:00) 2,023.5円
出所)(株)SUBARU【7270】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
今回の新型コロナウィルスの影響で株価が一気に1000円近く下げ、一時1,000円台に突入する大幅下落となりました。
しかし、その後は、若干持ち直し、現在では2,023.5円まで戻しています。
今の株値が下がっているときに買いを入れることができていれば、美味しいでしょう。
SUBARUの事業内容
SUBARUは、自動車産業と航空宇宙産業の2つの事業を有する輸送機器メーカーです。
自動車産業
SUBARU ブランドで知られる自動車部門は1958年の「スバル360」の発売以来、一貫してあらゆる環境の下での高い安全性能、優れた走行性能、合理的なパッケージングを追求してきました。
それはSUBARUがつくるすべてのクルマに共通している思想です。この考え方をもとに開発したのがシンメトリカルAWD(全輪駆動)です。
低重心でコンパクトな水平対向エンジン(SUBARU BOXER)を核にパワートレーンが左右対称に構成されています。
これらの技術により、SUBARU が理想とするドライバーが意のままに操る走りを実現し、いかなる気象条件や路面状況においても、信頼できる走行性能を確保することができると考えています。
また、走行安全性能とともに万一に備え、衝突安全性能、予防安全性能も同時に高めています。
2010年には追突事故を未然に防ぎ、被害を最小限に食い止める運転支援システム EyeSight (ver.2)を「レガシィ」に搭載、2014年には各機能の性能をさらにアップさせ、操舵制御も可能となったEyeSight(ver.3)を「レヴォーグ」に搭載するなど「誰もが安心して運転できるクルマ」を追及し続けています。
また、走りの良さと環境性能を両立した、小排気量のエンジンに直噴ターボエンジンを組み合わせた「1.6lインテリジェント”DIT”」の開発や、2013年には「SUBARU XV HYBRID」を発売するなど、環境に配慮した技術にも積極的に取り組んでいます。
安心に裏打ちされた愉しさを提供し、一台のクルマによってオーナーの人生がより豊かに、アクティブに変わっていく。SUBARUが求めているのはそんなクルマです。
航空宇宙産業
航空宇宙カンパニーは、伝統と革新技術により、防衛省、米国ボーイング社に代表される顧客向けの、多種多様な航空機ならびにコンポーネントの開発・生産に携わってきました。
回転翼機では、2015年9月に防衛省との間で締結した試作請負契約を受け、民間向け最新型ヘリコプター「SUBARU BELL 412EPX」を米国ベル・ヘリコプター・テキストロン社と共同開発し、この機体を共通プラットフォームとして、陸上自衛隊新多用途ヘリコプター試作機を開発・製造し、2019年2月に納入しました。
民間機事業では、ボーイング767、777、787、そして777Xなどの国際共同開発に参画してきました。ボーイング777Xでは、中央翼の開発、製造と、主脚格納部・主脚ドア・翼胴フェアリングとのインテグレーションを担当しています。
小型航空機や無人航空機をはじめとする航空機のシステムインテグレーションの分野では、防衛省や宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けの様々なプログラムを通じて、50年にわたる開発経験により培った技術基盤を誇ります。
この分野の日本におけるリーディングカンパニーとして、航空宇宙カンパニーは経済産業省および国土交通省により行われた「空の移動革命」官民協議会のメンバーとなり、新しい自律飛行システムの課題や可能性を検討しました。
SUBARUの当期利益の推移
2016年に世界同時株安になったときに最高益を更新しましたが、その期を境に業績は下落を続けていました。
2020年は前年の2019年の当期純利益を上回る予想となっていますが、新型コロナウィルスの影響で前年比増は難しい状況でしょう。
2015年:2,618億円
2016年:4,366億円
2017年:2,823億円
2018年:2,203億円
2019年:1,478億円
2020年(予想):1,630億円
2016年時点では4,366億円の当期純利益を出したものの、2019年には1,478億円となり、最高益の3分の1以下まで下落しました。
業績不振の主な要因は、販売台数の落ち込みと、不具合によるリコールが発生したことです。
米国での販売比率が高いことから円高に進んだり、日米関税問題が再燃した場合、株価に大きく影響してくるでしょう。
リコール問題が落ち着き、販売台数は増加し売り上げが改善すれば、利益も回復していくでしょう。
SUBARUの配当金の推移
SUBARUの配当金は、2016年からずっと1株当たり144円と高配当を続けています。増配し続けています。
これは、自動車業界でも高い水準です。
2012年:9円
2013年:9円
2014年:15円
2015年:53円
2016年:144円
2017年:144円
2018年:144円
2019年:144円
2020年:144 円(予想)
増配トレンドを続けています。今年度は過去最高の配当を達成する予定です。
SUBARUの配当権利確定日は「3月末と9月末」です。
つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「6月末と12月末」となります。
配当性向は約70%!
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
SUBARUは、当期純利益の70%を配当金として株主に分配しているわけです。
この数年間、配当性向は上昇し続けていました。
その理由は、当期純利益が下落し続けているにもかかわらず、配当金が144円とずっと変化しなかったからです。
現在のような業績が続けば、配当金144円をキープし続けることができるか怪しい状態です。
企業が稼いだお金を過度に株主に還元している場合、会社を成長させるための原動力となる研究開発に資金を十分回すことができなくなってしまいます。
トヨタ自動車と資本提携
トヨタ自動車は、2019年9月27日、SUBARUに対する出資比率を20%としました。
SUBARUとトヨタの資本提携は2005年から始まっていましたが、トヨタの出資比率が20%を超えたのは初めてです。
2018年にはスバルがトヨタの技術を活用したプラグインハイブリッド車を米国で販売しました。
2019年6月にはSUVモデルの電気自動車(EV)や中・大型乗用車向けのEV専用プラットフォームを共同で開発することで合意したと発表したことでSUBARUの株価は、大きく上昇しました。
この提携により電動化技術を「トヨタがスバルに供与するのだろう」といわれています。
トヨタ自動車と資本提携したことによって、SUBARUの業績が向上することを期待します。
まとめ
SUBARUの魅力は、なんといっても配当利回り7%超えの高配当銘柄だということです。
しかし、業績は決して好調とは言えない状態です。
新型コロナウイルスの影響や景気減速観測によりかなり株価が下落しています。
配当に関しては、ここ1、2年は144円をキープできるかもしれませんが、業績が低迷すれば減配の可能性も出てきます。
販売台数が上昇していき、リコールも収束に向かえば、業績は上昇していくことが期待されます。
また、資本提携しているトヨタ自動車との電気自動車の開発にも期待です。
銘柄の割安度を示すPERやPBRは、割安といえる水準です。
SUBARUは、割安高配当銘柄として注目の銘柄と言えます。