カメラ、事務機器で国内最大手のキヤノン。
キャノンの魅力はなんといっても超高配当銘柄だということです。
配当利回りは、7%超えです。
しかも30年間一度も減配をしたことがありません。
キャノンは着々と増配を続けてきた企業ですが、肝心の業績はどうなのでしょうか?
業績が良ければ、増配を続けることができますが、業績如何では減配という可能性もあります。
今回は、キャノンについてご紹介していきます。
- キヤノンの株価状況
- キヤノンの財務状況
- キヤノンの株価推移
- キヤノンの事業内容
- キヤノンの当期利益の推移
- キヤノンの配当金の推移
- キヤノンの配当性向は100%超え!
- キャノンの業績について
- キヤノンの今後
- まとめ
キヤノンの株価状況
株価
2,264(2020/6/2 15:00)
年初来高値
3,099.0(2020/1/20)
年初来安値
2,035.0(2020/3/17)
最高値(過去10年)
4,539.0(2015/4/13)
最安値(過去10年)
2,035.0(2020/3/17)
PER:19.29倍
PBR:0.89倍
配当金(会社予想):160円
配当利回り:7.09%
配当性向(予想):106.3%
配当権利確定日:6月末、12月末
自己資本比率:56.5%
ROE:4.5%
ROA:2.6%
EPS:116.9円
キヤノンの財務状況
自己資本比率:56.5%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
キャノンは、自己資本比率56.5%であり、潰れるリスクが低い優良企業といえます。
ROE:4.5%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
キャノンは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが4.5%となっています。
収益率に関してはもう少し頑張りたいところです。
ROA:2.6%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
キャノンはROAが2.6%です。決して収益率が高い企業とは言えません。
EPS:116.9円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下はキャノンのEPSの推移を示した表です。
2011年:204.4円
2012年:191.3円
2013年:200.7円
2014年:229.0円
2015年:201.7円
2016年:138.0円
2017年:222.9円
2018年:234.1円
2019年:116.9円
2020年:150.4円→未定(予想)
2018年をピークにEPSは減少傾向にあります。
EPSは、2018年と比較し2019年は50%減となりました。
現時点の会社予想では、2019年を上回る水準になるとのことですが、新型コロナウィルスの影響で2019年の数値より悪化することが予想されます。
業績は決して好調とは言えない状態ですね。
PER:19.29倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の味の素の株価は、かなり割高だといえます。
キャノンのPERは、19.29倍です。10倍を大きく上回る水準であり、割高だといえます。
PBR:0.89倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.89倍となっており、1倍以下であることから割安といえます。
一般的にPERは短期的な割安度を測る指標、PBRは長期的な割安度を測る指標と言われています。
キャノンは、長期的な視点で見ると割安といえる銘柄かもしれません。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
キヤノンの株価推移
10年チャート
出所)キヤノン(株)【7751】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)キヤノン(株)【7751】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
2018年から下落トレンドが続いています。
ここ10年間は株価が乱高下しており、値動きの激しい状況が続いています。
キヤノンの事業内容
味の素は、うま味成分の発見から始まりました。世界No.1アミノ酸メーカーとして様々な事業を行っています。
味の素をセグメント別にみていくと、日本食品、海外食品、ライフサポート、セルフケアの4つに分類することが出来ます。
当社の2018年連結売上高は3兆9,519億円、連結当期純利益は2,528億円です。また、連結子会社数は379社、従業員は海外を含め、195,056人です。(2018年12月期連結決算より)
「オフィス」、「イメージングシステム」、「メディカルシステム」、「産業機器その他」の主要4事業で構成されており、それぞれの売上構成は以下の通りです。
当社は、世界一のカメラメーカーを目指して創業しました。
そこで「光学技術」という独自技術を核に「多角化」を進めてきました。今では、大きく4つの分野で事業を展開し、業績を拡大しています。
デジタルカメラやレーザープリンターなどは世界シェアNo.1を実現しています。また、それ以外の製品でも、いずれも世界で上位のポジションにあります。
当社の基本戦略である「多角化」と「グローバル化」によって、製品・地域それぞれにバランスの取れた事業構造を実現している点にあります。
「多角化」を進めて来たことが成長に繋がり、特定の事業に左右されないバランスの取れた事業構造を実現しています。
「多角化」と並んで当社の成長を支える、もう1つの戦略の柱が「グローバル化」です。当社は、50年代半ばから世界市場に目を向け、事業を展開してきた結果、今では連結ベースで78%が海外での売上となっています。
グローバル化を進めた結果、米州、欧州、日本を含むアジアの3地域の売上高構成比は、バランスが取れており、地域的にも一つの市場の良し悪しに左右されにくい構造となっています。
競争力の源泉は、積極的な研究開発による独自技術で差別化した製品力と、国際競争力のある最適な生産方式を構築するための絶え間ない革新活動です。
当社は、こうした独自技術を武器に、その製品の性能を左右するキーコンポーネントを自前で持つことにより、徹底的な製品差別化を進め、競争力の向上を図っています。
キヤノンの当期利益の推移
2018年に当期純利益2,500億円をつけてから、その期を境に下落トレンドとなっています。
2019年は、前年の半分という大幅減益となりました。
2020年は新型コロナウィルスの影響でさらに利益が減少することが予想されます。
2012年:2,245億円
2013年:2,304億円
2014年:2,547億円
2015年:2,202億円
2016年:1,506億円
2017年:2,419億円
2018年:2,527億円
2019年:1,251億円
2020年(予想):1,600億円→未定
キャノンの当期純利益は、2019年で大きく下げました。下落幅は、前年比50%減です。
つまり、当期純利益が前年の半分になってしまったわけです。
ドル、ユーロともに円高が進んだことや物流費などのコスト増、中国など海外景気減速が主な要因です。
米中貿易摩擦を背景に中国や欧州で景気が悪化し、企業の投資意欲が下がっていることが影響しました。
また、2020年の当期純利益は未定としており、2019年を下回ることが予想されます。
新型コロナウィルスの影響で業績はさらに悪化するでしょう。
キヤノンの配当金の推移
キャノンは、30年以上前からずっと増配を続けています。
リーマンショック以前から増配を続けている数少ない企業だと言えます。
キャノンはなんと1988年から30年間一度も減配したことがない企業なのです。
2011年:120円
2012年:130円
2013年:130円
2014年:150円
2015年:150円
2016年:150円
2017年:160円
2018年:160円
2019年:160円
2020年:160円→未定(予想)
キャノンは、何度減益になろうとも減配することなく、増配し続けています。
今年は一昨年や昨年と同じく、過去最高の配当金160円です。
2019年で大きく利益が落ち込んだにもかかわらず、減配をしなかったのは立派ですが、過度な株主還元は危険です。
2020年は未定としており減配の可能性も多いにあります。
キャノンの配当権利確定日は「6月末と12月末」です。
つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「12月末と6月末」となります。
キヤノンの配当性向は100%超え!
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
東レは、当期純利益の87%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2011年:61.45%
2012年:63.39%
2013年:67.52%
2014年:57.22%
2015年:79.34%
2016年:108.74%
2017年:67.33%
2018年:70.49%
2019年:137.03%
2020年:106.3%(予想)
昨年と今年で配当性向は急上昇しました。
その理由は、2019年に当期純利益が大きく下落続けているにもかかわらず、配当金が160円42018年の水準からずっと変化しなかったからです。
現在のような業績が続けば、配当金160円をキープし続けることは容易ではありません。
2019年、ついに配当性向が137%となりました。
配当性向100%とは、企業がその年に稼いだお金を全て使って株主に配当金を配ることを意味します。
配当性向137%とは、それ以上に配当していることになります。
配当性向が100%を超えるということは、企業がその年に稼いだお金を全て使って株主に配当金を配るだけでなく、前年以降に稼いだ企業の貯蓄を切り崩して配当していることを意味します。
2020年も2019年と同じ160円という配当金を維持するのであれば、配当性向が100%超ある状態となり危険です。
1年で企業が稼いだお金のうち全て配当金に使っているわけです。
企業が稼いだお金を過度に株主に還元している場合、会社を成長させるための原動力となる研究開発に資金を十分回すことができなくなってしまいます。
キャノンの業績について
キヤノンが4月23日発表した2020年1~3月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比30%減の219億円でした。
同時期としては11年ぶりの低水準です。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による需要減退で各事業の収益が低迷しました。
在宅勤務の拡大で複合機の販売が落ち込んだ主力のオフィス事業など、各事業で減収となりました。
カメラ事業はイベントの中止などで販売が減少したようです。
主力のカメラや事務機器は市場縮小が続いてきましたが、新型コロナウイルスで外出自粛や在宅勤務が広がり、さらに追い打ちをかける形となっています。
売上高は10%減の7823億円で、減収幅の6割が新型コロナの影響とのこと。
1~3月で落ち込みが大きかったのがカメラを主力とするイメージングシステム部門で、営業利益は81%減の9億円でした。
中国などからの製品供給が滞ったほか、外出規制でカメラを使う機会が減り、販売台数が落ち込みました。
田中稔三副社長は「カメラは嗜好品のため世界経済の混乱後も回復に時間がかかる」と語っています。
事務機器を中心とするオフィス事業も9%の減収でした。
経費削減で営業利益は3%増の459億円でしたが、4月以降は在宅勤務が増えていることから、販売は落ち込んでいます。
医療機器事業の一部では新型コロナの肺炎の検査機器などの需要もあったものの、医療機関への立ち入り制限で機器の設置が進みませんでした。
医療機器などの新規事業を次の柱に育てられるか否かの成長戦略は正念場です。
そのため、営業利益は19%減の328億円でした。
キャノンは、20年12月期通期の連結業績予想は「未定」としています。
未定の理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な移動制限や経済活動の停滞で「業績予想の合理的な算定が困難なため」としています。
従来は売上高が前期比3%増の3兆7000億円、純利益が28%増の1600億円を見込んでいましたが、業績の悪化が予想されます。
中長期的にも書類と印鑑を使う業務を見直す動きが広がり、ペーパーレス化が加速する可能性が高いことから、これまで収益を支えてきたカメラと事務機器は新型コロナで課題がさらに深刻化しそうです。
1~3月期は研究開発費や設備投資などの支出を抑えています。
田中副社長は「外部環境がさらに悪化することを想定し、徹底した経費削減や投資抑制、在庫削減で資金を捻出する」と語っています。
もっとも新規事業全体では増収増益で、監視カメラ事業は大型案件を獲得して増収を確保しています。
16年に東芝から買収した医療機器事業は新型コロナの影響でコンピューター断層撮影装置(CT)などの受注が伸びています。
監視カメラや医療機器などの新規事業を次の柱に育てられるか否かの成長戦略は正念場です。
足元でも主力2事業の減速を新規事業で補う構図です。
さらにこれらの伸ばしていけるかが成長のカギを握っています。
キヤノンの今後
需要減少が続くデジタルカメラに加えて事務機の失速が響き、19年度は純利益が大幅減という結果となりました。
景気悪化の逆風下で構造改革の進捗や新規事業の成長という、デジカメと事務機に頼らない収益構造の構築が急務になっています。
厳しい業績を受け、キャノンは人員削減や組織再編といった構造改革に取り組んでいます。
キヤノンは構造改革費用として300億円を投じています。
キャノンが主力としてきたデジカメや事務機は先行きが厳しく、コスト削減と同時に次の稼ぎ頭を育てる必要があります。
キヤノンは、医療機器など新規事業の売上高が全体の25%を超す計画です。
キャノンの将来は、2020年、2021年の構造改革にかかっており、いまは今後のキャノンを作る土台となる、とても重要な時期にいます。
そういった意味で2020年と2021年は、キャノンにとって今後の明暗を分ける大きな分岐点と言えます。
2022年は飛躍の年になるかもしれません。
構造改革により生まれ変わるキャノンに期待です。
まとめ
キャノンはの当期純利益は、2019年で大きく下げました。下落幅は、前年比50%減です。
つまり、当期純利益が前年の半分になってしまったわけです。
また、2020年の当期純利益も2019年を下回る予想となっています。
新型コロナウィルスの影響で業績はさらに悪化するでしょう。
配当金は、現状では減配を行う予定にはなっていませんが、配当性向が100%超となっているため、減配も時間の問題かと思います。
現在、キャノンに投資することは、おすすめできません。
銘柄の割安度を示すPERやPBRも割高であることから、株価がさらに大きく下げた場合は検討の余地があるかもしれません。