企業研究

   

【実質PBRが超割安】不動産関連銘柄は今こそ買いどき!?

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今、倉庫株や不動産株の中には、保有不動産に巨額の含み益があるにもかかわらず、株価が割安すぎる値にある銘柄が多数あります。

含み益とは、不動産の時価と取得原価の差額の利益をいいます。

100億円で買った不動産が130億円まで値上がりした場合、30億円の含み益が存在することになります。

倉庫株や不動産株の中には、純資産価値と比べてきわめて割安な水準に留まっている銘柄がたくさんあります。

今回は、含み益が多く、投資価値があるにもかかわらず、かなりの割安水準になっている銘柄についてご紹介していきます。

 

都心の空室率は依然として低い!

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コロナ・ショックが起こる直前まで、都市部は、不動産ブームとなり、地価はかなり上昇していました。
新型コロナウィルスの影響で不動産需要は、低迷していますが、依然として需要はあります。

3月の空室率は1.50%となり、前月に比べ0.01ポイント上がったものの、新築ビルはあがりました。物件数の多い既存ビルが小幅ながら上がった模様です。

空室率は、1.5%と依然として低く、空室が少ない状態です。また、賃料もまだ上昇基調にあります。

 

都心5区オフィスビルの賃料・空室率平均の推移:2018年3月~2020年3月

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出所:3月オフィス空室率は1.50% 9カ月ぶり上昇 :日本経済新聞

三鬼商事調べ、都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)

 

不動産関連銘柄は買い時!?

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賃貸不動産の含み益の上位3社は、順に三菱地所、三井不動産、住友不動産です。

各社、2013年と比べ2020年までの賃貸不動産による含み益は、2倍以上になっています。

三菱地所は、2013年の2兆円→4兆円、

三井不動産と住友不動産は1兆円→2.7兆円に急増しました。

また、不動産株だけでなく、電鉄・倉庫株などで、保有する賃貸不動産の含み益が拡大しています。

現在、賃貸不動産の含み益が数千億円規模の代表的な会社トップ10をご紹介します。

 

賃貸不動産の含み益が数千億円規模の会社トップ10(2020年4月調べ)

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出所:各社の有価証券報告書または決算短信


ところが、ブーム渦中の不動産株は、2013年に高値をつけてから、下落が続いています。

不動産ブームがいずれピークアウトすることが意識されているため、業績好調でも積極的な投資が入りにくくなっています。

不動産業は市況産業です。

投資家も学びます。

投資家は、過去の不動産市場の上昇下落に対応して、ブームと不況を繰り返したことにより、投資家は学習しました。

投資家の学習効果で、ブームのときに不動産株を買わなくなったのです。

 

ブームと不況は、過去に大きく3回ほどありましました。

1973年・1990年・2007年です。

1973年は列島改造論のブームの中で不動産市況が急騰し、オイルショックで急落しました。

最も印象的だったのが、90年代のバブル崩壊です。

1980年代にバブルで不動産価格が上昇し、90年代にバブルが崩壊し、不動産価格も急落しました。

2007年も、実は不動産はバブル状態でしたが、2008年のリーマン・ショックで崩壊しました。

このように、不動産の価格は、高騰と急落を繰り返してきたことによる学習効果で、投資家は、ブームのときに不動産株を買わなくなりました。

2013年以降、アベノミクスによる不動産ブームが到来しているにもかかわらず、不動産価格は、上値が重い状態が続き、伸び悩んでいます。

そのため、不動産関連銘柄の株価も伸び悩んでいる状態が続いてきました。

さらに、今回の新型コロナウィルスの影響により、さらに株価は大きく下げています。

 

ただし、不動産関連銘柄は、やや過剰に警戒しているように思います。

不動産関連銘柄は、業績好調であり、さらに賃貸不動産の含み益が拡大してきています。

賃貸不動産に大きな含み益があるのは、不動産会社ばかりではありません。

倉庫や鉄道など、不動産株以外の業種にも「含み資産株」があります。

ところが、株価が上がらないことを受け、PBR1倍を割れる銘柄が大部分を占めています。

 

実質PBRがかなり割安値!

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このような含み資産株は、普通のPBRで見ていては、本当の株の価値を測ることはできません。

不動産の含み益を考慮した実質PBRで見る必要があります。

実質PBRとは、不動産の売却益を加えた実質純資産を、純資産とみなして計算したPBRのことを指します。

不動産の売却益には税金がかかります。

仮に売却益の税率を30%とします。

不動産は、5年を超えて保有した場合、売却益に約40%の税金がかかり、5年以内の保有の場合は、売却益に約20%の税金がかかります。

そこで、間をとり売却益の税率30%としました。

 

不動産株のA社を例にとって説明しましょう。

A社には、2020年3月時点で、1兆円の含み益が存在したとします。

もし、賃貸不動産をすべて売却すると、1兆円の売却益が得られます。

しかし、売却益には税金がかかります。

税率を30%と仮定すると、含み益の70%に当たる7,000億円が残り、純資産に加えられます。

実質PBRは、純資産に7,000億円を加えて計算することになるのです。

この実質PBRが1倍を大きく割れる銘柄がいま急増しているのです。

 

【厳選】割安な不動産関連名銘柄!

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最後に私が厳選した、実質PBRが0.6倍以下となった不動産関連銘柄をご紹介します。

 

以下のような、実質PBRがかなり低い、倉庫株や不動産株を対象に、業績好調な銘柄を選んで投資してみるのも良いかもしれません。

(9302)三井倉庫HD(実質PBR 0.27倍)

(9324)安田倉庫(実質PBR 0.31倍)

(8864)空港施設(実質PBR 0.32倍)

(8804)東京建物(実質PBR 0.33倍)

(9304)澁澤倉庫(実質PBR 0.37倍)

(9301)三菱倉庫(実質PBR 0.41倍)

(8830)住友不動産(実質PBR 0.42倍)

(8801)三井不動産(実質PBR 0.43倍)

(9303)住友倉庫(実質PBR 0.46倍)

(3231)野村不動産HD(実質PBR 0.49倍)

(3289)東急不動産HD(実質PBR 0.49倍)

(8802)三菱地所(実質PBR 0.54倍)

出所:各社の有価証券報告書または決算短信 

実質PBRの計算:各社の時価総額【4月23日時点】÷(純資産+不動産含み益×0.7)

 

倉庫株には、内外の物流事業が好調で、最高益に近い利益をあげる銘柄が増えています。

新型コロナウィルスの影響で、短期的に業績にが悪化する銘柄もありますが、長期的には、内外の物流事業は成長余地があるでしょう。

 

含み資産がある会社は急騰するかも!?

含み資産を持つ割安株には、長期投資家も短期投資家も、見向きもしなくなりました。

昔は、ハゲタカファンドが敵対的買収(敵対的TOB)をしかけていました。

巨額の含み資産を保有しながら、株価が割安な銘柄は、割安なまま放置されています。

ただし、2019年辺りから、敵対的買収が少しずつ、復活しつつあります。

昨年に敵対的TOB(株式公開買い付け)がかけられて株価が急騰した銘柄もあります。

こうした買収価値から割安な銘柄にTOBを仕掛ける動きが復活しつつあります。

TOB(ティーオービー)は、企業買収の手段の一つです。「株式公開買い付け(Take Over Bid)」とも呼ばれ、買収したい企業の株を、プレミアム価格をつけて市場から集める方法です。

TOBが発表されると、TOBがなされる対象会社の株価は、TOBの価格に向けて上昇します。

また、敵対的TOBによりTOB合戦が発生すれば、一層株価が上昇します。

不動産の含み益があり、割安水準にある銘柄は今が買いかもしれません。