リース業から始まり、生保や不動産などに多角化を進め、エネルギーや空港運営などの事業投資も行なっているオリックス。
海外で手広く事業を展開しているのが特徴です。
そんなオリックスがかなり割安になってきています。
業績や収益率が好調にもかかわらず、株価は軟調です。
高配当銘柄でもオリックス、配当利回りは6.3%です。
今回は、そんな優良銘柄である、オリックスについてご紹介していきます。
- オリックスの株価状況
- オリックスの財務状況
- オリックスの株価推移
- オリックスの事業内容
- オリックスの当期利益の推移
- オリックスの配当金の推移
- オリックスの配当性向は上昇傾向!
- オリックスの特徴
- オリックスの今後について
- まとめ
オリックスの株価状況
株価
1,232(2020/4/28 15:00)
年初来高値
1,958.5(2020/2/6)
年初来安値
1,100.5(2020/3/23)
最高値(過去10年)
2,216.5(2018/1/24)
最安値(過去10年)
548.0(2011/9/26)
PER:4.8倍
PBR:0.54倍
配当金(会社予想):76円
配当利回り:6.3%
配当性向(予想):30.0%
配当権利確定日:3月末、9月末
自己資本比率:23.4%
ROE:11.6%
ROA:2.7%
EPS:252.7円
オリックスの財務状況
自己資本比率:23.4%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
信越化学は、自己資本比率82.8%であり、潰れるリスク極めて低い優良企業といえます。
自己資本比率が80%を超える企業はなかなかありません。
ROE:11.6%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
オリックスは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが11.6%となっています。
オリックスは、ROEが10%を超えており、高い収益率を誇っています。
ちなみに日本の企業の中で売上高は49位ですが、利益は14位と収益力抜群です。
ROA:2.7%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
オリックスはROAが2.7%であることから、ROAはもう一歩といったところでしょう。
EPS:252.7円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は過去10年のオリックスのEPSの推移を表したグラフです。
2011年:61.5円
2012年:77.6円
2013年:103.2円
2014年:147.4円
2015年:179.47円
2016年:198.73円
2017年:208.88円
2018年:244.40円
2019年:252.92円
2020年:237.9円
EPSは10年以上前から上昇を続けています。
EPSが順調に上昇しており、優良企業といえます。
また、EPSは、他社と1株当たり利益を比較することで、会社規模の影響を除外した収益性の分析も可能です。
収益性、業績から見ても安定しており、優良企業です。
現時点の会社予想では、2019年を下回る水準になるとのことですが、新型コロナウィルスの影響で2019年の数値より悪化するかもしれません。
PER:4.8倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在のオリックスの株価は、かなり割安です。
オリックスのPERは、4.8倍です。
この企業の収益率や業績を考えたら、かなり割安です。
PBR:0.54倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.54倍となっており、1倍を大きく下回っていることから、かなり割安だといえます。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
オリックスの株価推移
10年チャート
出所)オリックス(株)【8591】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)オリックス(株)【8591】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響で株価が一時800円近く下げました。
先行きの不透明感から株価は軟調に推移しています。
かなりの割安水準で推移しています。
オリックスの事業内容
オリックスは、リース業界国内No.1企業です。
オリックスは、1964年にリース事業からスタートして隣接分野に進出し、専門性を獲得することにより事業を進化させてきました。
現在は法人金融、メンテナンスリース、不動産、事業投資、リテール、海外事業の6つのセグメントから構成されています。
リース事業は「金融」と「モノ(物件)」の2つの専門性を必要とします。
リースで培われた「金融」の専門性は、現在では融資、投資、生命保険、銀行、資産運用事業へと広がりました。
「モノ」の専門性は、自動車関連、不動産、環境エネルギー関連事業へと広がっています。
また、1971年の香港進出を皮切りに世界37カ国・地域に拠点を設け、グローバルに展開しています(2019年3月末)。
法人金融サービス事業部門
メンテナンスリース事業部門
不動産事業部門
事業投資事業部門
リテール事業部門
海外事業部門
本社管理部門(セグメントには配分されない事業)
オリックスの当期利益の推移
2019年に最高益である、当期純利益3,237億円を突破しました。
なんとオリックスは、過去53年間黒字を維持し続けいます。
ここ数年では過去最高益を更新し続けています。
当期純利益は10年以上前から上昇を続けています。順調に上昇しており、優良企業といえます。
2011年:660億円
2012年:835億円
2013年:1,119億円
2014年:1,873億円
2015年:2,349億円
2016年:2,601億円
2017年:2,732億円
2018年:3,131億円
2019年:3,237億円
2020年(予想):3,140億円
この10年間で当期純利益は、5倍以上に上昇しました。
収益性、業績から見ても安定しており、優良企業です。
2019年は、多くの同業他社が減益となる中、オリックスは、最終増益となりました。
景気後退局面でも利益を出し続けるオリックス恐るべしです。
業績は、かなり好調であるといえます。
ただし、2020年は新型コロナウィルスの影響でさらに利益が減少することが予想されます
オリックスの配当金の推移
オリックスは、10年以上前からずっと減配なしであることに加え、毎年のように増配してきました。
2011年:8円
2012年:9円
2013年:13円
2014年:23円
2015年:36円
2016年:45.75円
2017年:52.25円
2018年:66円
2019年:76円
2020年:76円(予想)
1株当たりの配当金は、10年前と比べ、10倍近くになっています。
業績が好調であるが故ですね。
今年度は過去最高に並ぶ76円です。
オリックスの配当権利確定日は「3月末と9月末」です。
つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「6月末と12月末」となります。
オリックスの配当性向は上昇傾向!
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
オリックスは、当期純利益の30%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2011年:13.0%
2012年:11.6%
2013年:12.6%
2014年:15.6%
2015年:20.1%
2016年:23.0%
2017年:25.0%
2018年:27.0%
2019年:30.0%
2020年:30.0%
配当性向は、ここ10年の間で上昇してきました。
増配を毎年してきたからです。
オリックスの株主にしっかりと還元しようという表れでしょう。
今年の配当性向は、30%程度であり、標準的な水準です。
配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。
一般的に配当性向30%程度の企業が多いため、一般的な数値といえるでしょう。
オリックスの特徴
オリックスの特徴は、外国の個人と法人及び浮動株の割合が少ないという点です。
つまり、個人投資家が株を保有している割合が少ないのです。
以下のデータを見てください。オリックスの株を誰が保有しているかを表したものです。
<外国>47.7%
<投信>9.6%
<特別株>33.1%
<浮動株>8.7%
<外国>が大体半分くらいを占めていますね。
<外国>は外国籍の個人、外国の法律によって設立された法人を指します。
ですから、<外国>の割合が増えている会社は、外国人投資家の間で注目されている会社と言えます。
外国人投資家が選ぶ基準はそれぞれですが、「①流動性がある」「②ROEが高い」の2点がよく言われています。
<投信>は、投信などの機関投資家が保有している割合です。
<特別株>とは、四季報に記載されている、大株主トップ10と役員持株・自己株式の比率を表しています。
特定株は基本的に市場に出回ることなく、保有し続けられます。
<浮動株>とは、個人投資家が保有している株式の比率です。
言い方を換えると、個人投資家が一般市場で自由に売り買いできる株式の比率です。
<浮動株>の数値が小さいと、株の売買の効果が大きくなるため、一般的には株価の変動が激しくなります。
株式市場に流通している株式数が少ないので、少し買い注文が増加するだけで株価は大きく上昇しやすくなるのです。
つまり、オリックスは、浮動株に割合が低く、変動が大きい株と言えます。
好材料が出ると一気に株価が急上昇する可能性があります。
またその逆で悪材料が出ると一気に株価が下落という可能性もあります。
今回の新型コロナウィルスで株価が急降下したのも浮動株の割合が低いが故でしょう。
オリックスの今後について
オリックスは、3商社と5銀行によってオリックスの前身であるオリエントリースから始まり、船や航空機などのリースを始め、M&Aを積極的に行ってきました。
さらに生命保険や不動産などへ事業を多角化させ、海外進出も積極的に行ってきました。
昨今では、農業や発電事業も手がけています。
海外展開や多角化のスピードが圧倒的に速いのが特徴です。
オリックスは、企業理念で「絶えず市場の要請を先取りし、先進的、国際的な金融サービス事業を提供する」ということを掲げていることからもその圧倒的なスピード感が窺えます。
リース事業が金融とモノというように業界を跨いでいることから、このように様々な業界に多角化することができるのです。
オリックスの事業は、現在、実際の事業や投資事業がメインとなっています。
オリックスがコロナの影響を受けるのは、旅館や関西エアポートの運営、航空機のリース事業です。
しかし、2020年の業績予想に関しては、変えるつもりはないと強気な姿勢をとっています。
今後は投資事業と事業分野を中心に拡大していくとしています。
事業分野では、再生可能エネルギー、資産運用、公共施設運営、生命保険に注力していくようです。
投資事業では、引き継ぎ未上場企業への投資、航空機や船舶への投資をしていくようです。
2018年には世界第3位のアヴァロンという航空機リース会社を2,500億円で買収しています。
まとめ
オリックスの当期純利益は、年々増加しています。
当期純利益がここ10年間で5倍になりました。
収益性、業績から見ても安定しており、優良企業です。
2019年は、多くの同業他社が減益となる中、オリックスは、最終増益となりました。
日本の企業の中で売上高は49位ですが、利益は14位と収益力抜群の高収益企業です。
配当金もここ10年間は毎年増配をしており、株主還元も進めています。
配当利回りは6.3%であり、超高配当銘柄です。
そんなオリックスの魅力には大きな魅力があります。
それは、超割安銘柄ということです。業績が好調にもか変わらず、PER4倍です。
新型コロナウィルスの影響で株価が下がってる今が買い時かもしれません。