化粧品類や洗面用具等のトイレタリーで国内首位の花王。
売上高では国内の同業他社を圧倒しています。
花王がすごいのは、業績や収益率、財務状況、配当どれをとっても高水準であるということです。
今回は、そんな超優良銘柄である、花王についてご紹介していきます。
花王の株価状況
株価
8,473(2020/4/28 15:00)
年初来高値
9,251.0(2020/1/16)
年初来安値
6,976.0(2020/3/17)
最高値(過去10年)
9,387.0(2018/10/2)
最安値(過去10年)
1,830.0(2011/3/15)
PER:29.01倍
PBR:4.99倍
配当金(会社予想):140円
配当利回り:1.46%
配当性向(予想):41.8%
配当権利確定日:6月末、12月末
自己資本比率:51.9%
ROE:17.6%
ROA:9.0%
EPS:306.6円
花王の財務状況
自己資本比率:51.9%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
花王は、自己資本比率51.9%であり、潰れるリスク低い優良企業といえます。
ROE:17.6%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
花王は、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが17.9%となっています。
ROEが10%を超えており、かなり高い収益率を誇っています。
ROA:9.0%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
花王はROAが9.0%であることから、ROAも高水準であり、収益率の高い企業であると言えます。
花王は、ROEもROAも高く、収益率の高い企業だと言えます。
EPS:252.7円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は過去10年の花王のEPSの推移を表したグラフです。
2011年:100.5円
2012年:101.1円
2013年:126.0円
2014年:156.5円
2015年:209.8円
2016年:253.43円
2017年:298.30円
2018年:314.25円
2019年:306.70円
2020年:320.2円
EPSは10年以上前から上昇を続けています。
EPSが順調に上昇しており、優良企業といえます。
収益性、業績から見ても安定しており、優良企業であるといえます。
現時点の会社予想では、2020年は2019年を上回る水準になるとのことですが、新型コロナウィルスの影響で2019年の数値より悪化するかもしれません。
PER:29.01倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の花王の株価は、割高です。
花王のPERは、29.01倍です。
ただし、同業他社である、ユニチャームやライオンもPERが25倍以上あるため、消費財業界のPERは高めに出ているといえます。
花王だけが特別に割高とはいえません。
同業他社と比べたら普通です。
PBR:4.99倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、4.99倍となっており、1倍を大きく上回っていることから、割高だといえます。
ただし、同業他社も5倍あるので、花王だけが特別割高だとは言えません。
同業他社と比較した場合、普通です。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
花王の株価推移
10年チャート
出所)花王(株)【4452】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)花王(株)【4452】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響で株価が一時7,000円台前半まで下げましたが、その後、大きく反発し、現在はコロナショック前と同水準まで回復しています。
花王の事業内容
花王グループでは、「化粧品」「スキンケア・ヘアケア」「ヒューマンヘルスケア」「ファブリック&ホームケア」の4つの事業分野で、一般消費者に向けたコンシューマープロダクツ事業を、また「ケミカル」事業分野においては、産業界のニーズにきめ細かく対応した、ケミカル製品を幅広く展開しています。これらの事業を通じて、花王グループは、世界の人々の豊かな生活文化の実現に貢献したいと考えています。
化粧品事業
スキンケア製品を中心とした「エスト」「ソフィーナiP」「キュレル」や、メイクアップ製品を中心とした「SUQQU」「KATE」、また、ハイプレステージブランド「SENSAI」や「モルトンブラウン」など、ブランドの個性を磨き上げながら、お客さま一人ひとりの多様な美の価値観にお応えする製品をお届けしています。
スキンケア・ヘアケア事業
洗顔料や全身洗浄料をはじめとする「ビオレ」「ビオレu」、ボディローション「ジャーゲンズ」などのスキンケア製品や、「メリット」「エッセンシャル」「リライズ」「ジョン・フリーダ」などのヘアケア製品、ヘアサロン向け製品の「ゴールドウェル」「オリベ」など、真にすこやかで美しい肌と髪を実現する製品をお届けしています。
ヒューマンヘルスケア事業
生理用品「ロリエ」、ベビー用紙おむつ「メリーズ」、大人用紙おむつ「リリーフ」などのサニタリー製品や、健康機能飲料「ヘルシア」、オーラルケア製品「ピュオーラ」、入浴剤の「バブ」、蒸気で温める「めぐりズム」など、より快適ですこやかな毎日をサポートする製品をお届けしています。
ファブリック&ホームケア事業
衣料用洗剤「アタック」や柔軟仕上げ剤「フレアフレグランス」などのファブリックケア製品、食器用洗剤「キュキュット」や住居用洗剤「マジックリン」といったホームケア製品など、毎日の暮らしを清潔で快適にする製品をお届けしています。
ケミカル事業
天然油脂原料から製造する油脂製品や、界面活性剤などの機能材料製品、トナー・トナーバインダーなどのスペシャルティケミカルズ製品等、多岐にわたるケミカル製品をグローバルに展開。幅広い産業分野を通じて、豊かな暮らしに貢献しています。また、「環境」を事業のテーマに据え、製品の安全性と高い品質を確保するとともに、環境負荷を低減する製品開発を通じて、持続可能な社会の実現をめざしています。
出所)花王 | 事業分野
花王の当期利益の推移
当期純利益は10年以上前から上昇を続けています。順調に上昇しており、優良企業といえます。
2015年:1,051億円
2016年:1,265億円
2017年:1,470億円
2018年:1,536億円
2019年:1,482億円
2020年(予想):1,540億円
この10年間で当期純利益は、上昇を続けてきました。
収益性、業績から見ても安定しており、優良企業です。
業績は、かなり好調であるといえます。
花王の配当金の推移
花王は、30年前からずっと減配なしであることに加え、毎年のように増配してきました。
2011年:60円
2012年:62円
2013年:64円
2014年:70円
2015年:80円
2016年:94円
2017年:110円
2018年:120円
2019年:130円
2020年:140円(予想)
花王はずっと増配を続けてきています。
1株当たりの配当金は、10年前と比べ、2倍以上になっています。
花王は、なんと30期連続で増配を続けてきました。
今年の配当金は、過去最高の一株あたり140円の予想です。
業績が好調であるが故ですね。
花王の配当権利確定日は「6月末と12月末」です。
つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「12月末と6月末」となります。
花王の配当性向は!?
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
オリックスは、当期純利益の41.8%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2011年:66.52%
2012年:61.32%
2013年:50.28%
2014年:42.49%
2015年:35.26%
2016年:34.92%
2017年:34.24%
2018年:36.98%
2019年:40.83%
2020年:41.8%
配当性向は、2017年までずっと下落傾向にありました。
増配を毎年のように増配していましたが、増配以上に当期純利益が増加していたからです。
2018年からは配当性向は上昇傾向にあります。
今年の配当性向は、40%程度であり、標準的な水準です。
配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。
一般的に配当性向30%程度の企業が多いため、一般的な数値といえるでしょう。
新型コロナウィルスの影響は?
新型コロナウイルスの感染が広がり、訪日客が減って化粧品は苦戦を強いられているものの、手洗いの回数が増えてハンドソープなどの売れ行きが良い状況です。
高価格帯を中心に化粧品の販売が伸びています。
また、広告宣伝を効率化して利益率高まっている状況です。
今年の配当金は、140円と前年より10円増となり、増配となれば31年連続となります。
手元資金も積み上がり、自社株買いへの観測も浮上しています。
沢田道隆社長は、3月末の株主総会で、「31期連続の増配を必ずや目指していく」とコメントしています。
まとめ
花王の当期純利益は、年々増加しています。
収益性、業績から見ても安定しており、超優良企業です。
配当金もここ30年連続で増配をしており、株主還元も進めています。
花王は特に収益率が高く、今後も株価上昇が期待できるため、株価上昇によるキャピタルゲインと増配によるインカムゲインの両面での利益を狙うことができます。
業績、収益性、財務状況、配当とどれをとって高水準である花王は、ぜひ買いたい超優良銘柄といえます。