日本を代表する総合商社のひとつ双日。
2003年に日商岩井とニチメンが統合してできました。双日は、自動車、航空、肥料に強みをもっています。
そんな双日は、いま割安といえる水準です。
業績もよく配当利回りは約6%超の高配当銘柄です。
今回は、そんな超優良銘柄である、双日についてご紹介していきます。
双日の株価状況
株価
243.0(2020/7/17 15:00)
年初来高値
358.0(2020/1/21)
年初来安値
224.0(2020/4/6)
最高値(過去10年)
434.0(2019/2/14)
最安値(過去10年)
95.0(2012/10/15)
PER:7.40倍
PBR:0.51倍
配当金:17円
配当利回り:6.77%
配当性向(予想):29.5%
配当権利付き最終日:2020年9月28日、2021年3月29日
自己資本比率:25.8%
ROE:10.16%
ROA:2.69%
EPS:48.91円
双日の財務状況
自己資本比率:25.8%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
双日の自己資本比率は、25.8%です。
自己資本比率のやや低めです。
ROE:10.16%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
双日は、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが10.16%となっています。
ROEが10%以上なので、自己資本利益率が高いと言えます。
ROA:2.69%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
双日のROAが2.69%であり、総資産利益率はもう一歩です。
EPS:48.91円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は双日のEPSの推移を表したグラフです。
2015年:26.44円
2016年:29.20円
2017年:32.58円
2018年:45.44円
2019年:56.34円
2020年:48.91円
2021年:未定
2019年まではEPSが順調に上昇していましたが、新型コロナウィルスを機に下落に転じています。
2021年の予想は未定となっています。
PER:7.40倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の双日の株価は割安といえます。
双日のPERは、7.40倍です。
PBR:0.51倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.51倍となっており、1倍を下回っていることから、割安だといえます。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
双日の株価推移
10年チャート
出所)双日(株)【2768】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)双日(株)【2768】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響で株価が100円下げて、350円から250円になっています。
双日の事業内容
国内外約400社の連結対象会社とともに、世界の様々な国と地域に事業を展開する総合商社として、幅広いビジネスを展開しています。
双日グループは、総合商社として、自動車やプラント、航空、医療インフラ、エネルギー、金属資源、化学品、食料、農林資源、消費財、工業団地などの各分野において、物品の販売及び貿易業をはじめとして、国内および海外における各種製品の製造・販売やサービスの提供、各種プロジェクトの企画・調整、投資、ならびに金融活動などグローバルに多角的な事業を行っています。
本部別当期純利益(当社株主帰属)
自動車本部
自動車の卸売・組立事業と小売事業が中核事業であり、成長市場であるアジア・ロシアNIS・ラテンアメリカ、成熟市場である日本・米国などで展開しています。また、販売金融事業、自動車部品関連事業、自動車関連サービス事業、インターネット・デジタル事業に積極的に取り組んでいます。
航空産業・交通プロジェクト本部
民間航空機・防衛関連の代理店やリース、パーツアウト、ビジネスジェットなどの航空事業のほか、空港運営や鉄道などの交通インフラ事業に取り組んでいます。また、新造船や中古船などの各種船舶及び舶用機器を取り扱う船舶事業も手掛けています。
機械・医療インフラ本部
産業機械やベアリングの取り扱いに加え、PPP(官民連携事業)型病院運営事業の拡大、その周辺に広がるヘルスケア・ビジネスの創出、プライマリヘルスケア領域、デジタルヘルスケア事業の発掘・投資実行、さらにはプラントEPCビジネスや環境対応をはじめとする新規事業創出に取り組んでいます。また、スタートアップ投資や先端産業の領域に進出していきます。
エネルギー・社会インフラ本部
LNG調達から受入基地・ガス火力発電までの一貫事業を中心とするガス・LNGバリューチェーンの構築及び太陽光・風力・バイオマス発電を主体とした再生可能エネルギー事業を手掛けています。また、世界中で増大するデータ通信・処理需要に応える高度な社会インフラ整備にも取り組んでいます。
金属・資源本部
石炭・鉄鉱石・ベースメタル・レアメタル・インダストリアルミネラルなどの金属資源や鉄鋼分野において、上流権益投資及びトレーディング事業に加え、市況に左右されにくい新規の安定収益事業の創出・推進に取り組んでいます。
化学本部
メタノールを中心とする液体ケミカルや、合成樹脂などの石油化学製品、工業塩・レアアースといった無機化学・鉱産系商品のトレーディング・事業投資を展開しています。
食料・アグリビジネス本部
食の「安心・安全」を提供する事業として、アグリビジネス事業、飼料事業、水産事業、食料事業(原料・食品)などを推進しています。
リテール・生活産業本部
食品流通事業、商業施設運営事業、ブランド事業、消費財流通事業、繊維事業、林産資源事業など、消費者のニーズに応える多種多様な事業に国内外で取り組んでいます。
産業基盤・都市開発本部
海外工業団地事業、海外都市インフラ開発事業、国内不動産事業、J-REIT運用事業、総合生活サポート事業など、産業と都市生活の基礎となる事業を国内外で展開しています。
双日の当期利益の推移
2019年に最高益である、当期純利益704億円を突破しました。
当期純利益は順調に上昇を続けています。
しかし、2020年は減益見込みです。
2014年:273億円
2015年:331億円
2016年:365億円
2017年:408億円
2018年:568億円
2019年:704億円
2020年:608億円
2021年(予想):400億円
業績から見ても安定しており、優良企業です。
2020年は2019年から若干の減益となる見通しを示しています。
双日の配当金の推移
双日は、減配することなく増配を続けてきました。2019年は大きく配当金を伸ばしました。
2011年:3円
2012年:3円
2013年:3円
2014年:4円
2015年:6円
2016年:8円
2017年:8円
2018年:11円
2019年:17円
2020年:17円
双日はずっと増配を続けてきています。
1株当たりの配当金は、10年前と比べ、5倍以上になっています。
今年の配当金は、過去最高の一株あたり17円です。
業績が好調であるが故ですね。
双日の配当権利付き最終日は、「2020年9月28日、2021年3月29日」です。
双日の配当性向は20%台
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
双日は、当期純利益の29.5%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2013年:27.91%
2014年:16.07%
2015年:17.02%
2016年:25.69%
2017年:24.55%
2018年:19.81%
2019年:23.98%
2020年:29.5%
ここ数年の配当性向は、やや上昇傾向にあります。
今年の配当性向は、30%程度であり、標準的な水準であると言えます。
配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。
双日は、安定的かつ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針とし、経営の最重要課題のひとつと位置づけています。
この基本方針のもと「中期経営計画2020」においては、連結配当性向を30%程度とすることを基本としています。
この理念のもと2021年の配当も配当性向30%を目指すとしてます。
一般的に配当性向30%程度の企業が多いため、一般的な数値といえるでしょう。
配当の余力はまだあると言えます。
双日の事業別の見通し
双日の事業別に業績を見ていきます。
発電事業などが堅調に推移してきています。双日は、台湾で計画中の洋上風力発電プロジェクトにも取り組んでいます。
機械・医療インフラやリテール・生活産業、化学品などの非資源部門が業績をけん引している状態です。
これからは、こうした非資源分野の事業規模を大きくしていけるかが、総合商社の明暗を分けるといっても過言ではありません。
なぜなら、これまで好調だった資源分野は、資源価格の低迷や需要減などにより稼げなくなってきているのです。
これまで好調だった石炭が急減速している状態です。
20年3月期は自動車事業がアジアを中心に苦戦しました。アジアでの新車販売減を受け、自動車事業の利益が7割減ったのです。
また、資源安で金属・資源分野も伸び悩んでいます。金属・資源事業は、新規事業立ち上げの遅れや軟調な鉄鋼需要の影響が出ているのです。
21年3月期は航空関連が底堅い状況ですが、20年3月期同様、自動車販売や化学関連の低迷が続いています。
新型肺炎の感染拡大による悪影響がどれほど拡大するか先行き不透明な状況が続いています。
まとめ
双日の当期純利益は、順調に増加しています。
配当金も増配を続けており、株主還元も進めています。
配当利回りは、6%超と高配当銘柄です。
総合商社全般に言えることですが、これまで好調だった資源分野は、資源価格の低迷や需要減などにより稼げなくなってきています。
非資源分野の事業規模を大きくしていけるかが、総合商社の明暗を分けるでしょう。
双日は、収益性もあり、割安かつ高配当銘柄です。
株価も200円台と低額から買うことができるため、少額投資を考えている方は注目の銘柄です。