企業研究

   

【JXTG】配当利回り5%超、赤字転落でも減配なし!長期の配当目的なら買い!?

 

 

 

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JXTGホールディングスは、2017年4月にJXホールディングスと東燃ゼネラルが経営統合してできた、国内シェア5割の石油元売り首位の会社です。

JXTGの魅力は、なんといっても配当利回り5.49%を超高配当銘柄という点です。

さらに、100株あたり4万円以下という低価格帯で買えます。

今回は、そんな高配当銘柄であるJXTGについてご紹介していきます。

 

JXTGの株価状況

株価(5/1 15:00)
382.3

年初来高値

520.7(2020/1/8)

年初来安値

320.1(2020/3/19)

最高値(過去10年)

900.9(2018/9/21)

最安値(過去10年)

320.1(2020/3/19)

 

PER:4.01倍

PBR:0.47倍

配当金(会社予想):22円

配当利回り:5.49%

配当性向(会社予想):22.9%

配当権利付き最終日:2020年3月27日、2020年9月28日

自己資本比率:30.3%

利益剰余金:1兆2,729億円

ROE:12.3%

ROA:3.8%

EPS:43.5円

 

JXTGの財務状況

自己資本比率:30.3%

自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。

自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。

 自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。

自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。

一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。

自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。

では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。

一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。

40%以上なら倒産しにくい企業といえます。

JXTGの自己資本比率は、30.3%です。

 

ROE:12.3%

ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。

自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。

自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。

 ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。

株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。

JXTGは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが12.3%となっています。

ROEが10%以上なので、自己資本利益率は高めです。

 

ROA:3.8%

ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。

ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。

純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。

一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。

ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。

JXTGのROAが3.8%であり、総資産利益率も高水準はもう一踏ん張りです。

 

EPS:43.5円

EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。

「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。

EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。

順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。

EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。

順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。

以下はJXTGのEPSの推移を表したグラフです。

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2013年:63.91円

2014年:43.05円

2015年:-111.0円

2016年:-112.0円

2017年:64.4円

2018年:105.9円

2019年:95.4円

2020年:43.5円

EPSは、乱高下しており浮き沈みが激しくなっています。

2015年と2016年は赤字転落となり、マイナスとなっています。

JXTGホールディングスは、業績と石油価格が連動しており、不安な銘柄だといえます。

 

PER:4.01倍

株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。

 

PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)

 

PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。

PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。

PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在のJXTGのPERは4.01倍でかなりの割安状態です。

 

PBR:0.47倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。

 

PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。

 

PBRの目安は1倍以下です。

一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。

PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。

PBRは、0.47倍となっており割安水準です、

 株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。

toshilife.hatenablog.jp

 

JXTGの株価推移

10年チャート

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出所)JXTGホールディングス(株)【5020】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス

 

1年チャート

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出所)JXTGホールディングス(株)【5020】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス

近年の原油安とそれに追い討ちをかけた新型コロナウィルスの影響により株価は、2018年の年末から下落し続けています。

現在、300円台後半で推移しており、直近10年で最安値圏となっています。

原油安による業績悪化が主な要因です。

 

JXTGの事業内容

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エネルギー事業

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JXTGエネルギーは、グループにおける最大の中核会社として、国内No.1の圧倒的なシェアを誇る石油製品をはじめ、石油化学品、電力、潤滑油、天然ガス、石炭、水素など幅広い事業を展開しています。
アジア有数の総合エネルギー企業へと飛躍すべく、徹底した事業改革に取り組み、激変する事業環境に挑戦します。

 

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石油・天然ガス開発事業

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JX石油開発は、石油・天然ガスビジネスの上流から下流に至る一連のプロセスを完遂するJXTGグループにおいて、上流にあたる石油・天然ガス開発を担う中核会社です。
その事業領域は、鉱区の取得から、油層・ガス層の探鉱、開発そして石油・天然ガスの生産・出荷までを網羅しています。
国内外の企業に加えて、産油・産ガス国政府と協力しながら、世界中で事業を推進しています。

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金属事業

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JX金属は、銅を中心とした資源・素材の供給を担う非鉄金属の総合メーカーです。
鉱石の探査・採掘・製錬から金属加工・電子材料製品の生産・販売、資源のリサイクルと、上流から下流まで一貫した事業を展開しています。
また、限られた資源の効率的・持続的な活用に向けた技術開発にも注力し、「資源・素材の生産性の革新」に取り組み続けています。

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出所)事業紹介|JXTGホールディングス

 

 

JXTGの当期利益の推移

2018年に最高益である、当期純利益3,619億円を突破しましたが、その後は減少傾向となり、2020年も減益見込みとなっています。

2012年:1,705億円

2013年:1,594億円

2014年:1,070億円

2015年:-2,772億円

2016年:-2,785億円

2017年:1,600億円

2018年:3,619億円

2019年:3,223億円

2020年(予想):1,400億円 

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WTI原油先物チャート(10年)

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出所)WTI原油先物チャート|チャート広場

純利益は、乱高下しており浮き沈みが激しくなっています。

2015年と2016年は赤字転落となり、マイナスとなりました。

JXTGホールディングスは、業績と石油価格が連動しており、不安な銘柄だといえます。

 

JXTGの配当金の推移

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JXTGは、赤字転落となった2015年と2016年も減配することなく高配当推移を維持してきました。

2011年:15.5円

2012年:16円

2013年:16円

2014年:16円

2015年:16円

2016年:16円

2017年:16円

2018年:19円

2019年:21円

2020年:22円(予想)

今年の配当金は、昨年から1円増し、一株あたり22円の予想しています。

ただし、2020年は減益を見込んでおり赤字の可能性もあります。

増配は難しいかもしれません。

しかし、JXTGは赤字転落した年でも無配どころか減配もすることなく高配当を維持してきました。

減配の可能性は低いでしょう。

JXTGは、赤字転落したとしても、なぜ減配や無配にならないのでしょうか。

その理由については後述します。

JXTGの配当権利付き最終日は「2020年3月27日、2020年9月28日」です。

 

JXTGの配当性向は22.9%

配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。

配当性向は、以下の数式で求められます。

当期純利益÷配当金総額

EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金

JXTGは、当期純利益の22.9%を配当金として株主に分配する予定ということです。

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2012年:23.35%

2013年:24.98%

2014年:37.22%

2015年:-

2016年:-

2017年:26.56%

2018年:14.01%

2019年:21.09%

2020年:22.9%

ここ数年の配当性向は、30%未満で推移してきました。

2015年と2016年は、赤字転落となりましたが、減配や無配はすることなく前年の配当を維持しており、株主還元の姿勢が伺えます。

2020年は配当性向が22.9%を予定していますが、コロナウィルスの影響でさらに高い割合になる可能性があります。

 

JXTGが赤字でも配当できる理由

ここでは、JXTGが赤字転落した2015年と2016年においても減配することなく、これまでの高配当を以上することができた理由をご紹介します。

JXTGが赤字でも配当金を支払うことができた理由は、潤沢な利益剰余金があったからです。

利益剰余金とは、企業が得た利益の積立額であり、過去に蓄積した利益を意味します。

いわゆる会社の貯金です。

 

 JXTGの利益剰余金の推移

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 出所)JXTGホールディングスの株価指標 - 5020 / 東証1 / 石油・石炭製品 | バフェット・コード

JXTG5連結キャッシュ・フロー計算書

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出所)決算短信・説明資料|IR資料室|JXTGホールディングス

JXTGには、2019年3月期で1兆2,729億円もの利益剰余金が存在します。

そのうち、直近の1年間で配当金の支払い使った金額は、679億円です。

JXTGには配当金十分支払えるだけの貯金が存在するのです。

 

JXTGの今後について

歴史的な原油安による収益悪化への懸念から売りが優勢となっている状況が常態化しつつあります。

JXTGの営業利益に占めるエネルギー事業の割安は、70%を超えており、原油安はJXTGにとって大きな痛手となっています。

現在の原油先物相場は、若干の戻りを見せていますが、安値圏からは抜け出せていません。

新型コロナウィルスも依然として猛威を奮っていることから、原油安は当分の間続くことになりそうです。

こうしたことから、JXTGの業績は今後も低迷が予想されます。

 

まとめ

JXTGの株価は、2018年後半から下落し続けており、未だ下げ止まらない状況です。

純利益も歴史的な原油安により下落しています。

2020年も減少を見込んでおり、引き続き株価低迷が予想されます。

しかし、JXTGの魅力は、なんといっても配当利回り約5.5%という高配当銘柄である点です。

さらに、減益や赤字転落をしたとしても減配せずにこれまでの配当金を維持できるだけの潤沢な利益剰余金があります。

減配のリスクが低いことから、長期保有の配当目的で買うには魅力的な投資先といえるでしょう。

株価が安値圏で推移している今が買い時かもしれません。

www.hd.jxtg-group.co.jp