石油元売り2位の出光興産。
石油化学や原油・石炭開発も行っています。
出光興産は、昭和シェル石油と2019年4月1日に経営統合しています。
出光興産の魅力は、なんといっても配当利回り6.58%を超高配当銘柄という点です。
これは業界首位のJXTGより高い水準です。
今回は、そんな高配当銘柄である出光興産についてご紹介していきます。
- 出光興産の株価状況
- 出光興産の財務状況
- 出光興産の株価推移
- 出光興産の事業内容
- 出光興産の当期利益の推移
- 出光興産の配当金の推移
- 出光興産の配当性向は30.2%
- 出光興産が赤字でも配当できる理由
- 出光興産の今後について
- まとめ
出光興産の株価状況
株価(5/1 15:00)
2,433.0
年初来高値
3,130.0(2020/1/6)
年初来安値
2,115.0(2020/3/13)
最高値(過去10年)
6,430.0(2018/10/4)
最安値(過去10年)
1,597.0(2016/1/21)
PER:6.06倍
PBR:0.57倍
配当金(会社予想):22円
配当利回り:6.58%
配当性向(会社予想):30.2%
配当権利付き最終日:2020年3月27日、2020年9月28日
自己資本比率:30.2%
利益剰余金:4,667億円
ROE:9.5%
ROA:2.8%
EPS:43.5円
出光興産の財務状況
自己資本比率:30.2%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
出光興産の自己資本比率は、30.2%です。
ROE:9.5%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
出光興産は、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが9.5%となっています。
業界首位のJXTGよりやや低い値となっています。
ROA:2.8%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
出光興産のROAが2.8%であり、総資産利益率も高水準はもう一踏ん張りです。
EPS:412.7円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は出光興産のEPSの推移を表したグラフです。
2014年:226.9円
2015年:-862.5円
2016年:-225.0円
2017年:551.2円
2018年:780.5円
2019年:412.7円
2020年(予想):-83.5円
EPSは、乱高下しており浮き沈みが激しくなっています。
2015年と2016年は赤字転落となり、マイナスとなっています。
出光興産は、業績と石油価格が連動しており、不安な銘柄だといえます。
また、2020年は赤字予想となっており、EPSはマイナスとなっています。
PER:6.06倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の出光興産のPERは6.06倍でかなりの割安状態です。
JXTGよりはやや高めです。
PBR:0.57倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.57倍となっており割安水準です、
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
出光興産の株価推移
10年チャート
出所)出光興産(株)【5019】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)出光興産(株)【5019】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
近年の原油安とそれに追い討ちをかけた新型コロナウィルスの影響により株価は、2018年の年末から下落し続けています。
現在、2,000円台前半で推移しており、10年と同じ水準となっています。
原油安による業績悪化が主な要因です。
出光興産の事業内容
当社グループは、石油事業とエネルギーソリューション事業を柱とし、生活に欠かせないエネルギーを安全かつ安定的に供給する「エネルギー・ソリューションプロバイダー」として、お客様や社会に支持される企業を目指しています。
法人向け
個人向け
出光興産の当期利益の推移
2018年に最高益である、当期純利益1,623億円を突破しましたが、その後は減少傾向となり、2020年は赤字見込みとなっています。
2012年:643億円
2013年:501億円
2014年:362億円
2015年:-1,379億円
2016年:-359億円
2017年:881億円
2018年:1,623億円
2019年:814億円
2020年(予想):-250億円
WTI原油先物チャート(10年)
純利益は、乱高下しており浮き沈みが激しくなっています。
2015年と2016年は赤字転落となり、マイナスとなりました。2020年も赤字を見込んでいます。
出光興産は、業績と石油価格が連動しており、不安な銘柄だといえます。
出光興産の配当金の推移
出光興産は、赤字転落となった2015年と2016年も減配することなく高配当推移を維持してきました。
2011年:50円
2012年:50円
2013年:50円
2014年:50円
2015年:50円
2016年:50円
2017年:50円
2018年:80円
2019年:100円
2020年:160円(予想)
今年の配当金は、昨年から60円増し、一株あたり160円の予想しています。
ただし、2020年は減益を見込んでおり赤字予想です。
60円もの増配は難しいかもしれませんが、
出光興産は、赤字転落した年でも無配どころか減配もすることなく高配当を維持してきました。
減配の可能性は低いでしょう。
出光興産は、赤字転落したとしても、なぜ減配や無配にならないのでしょうか。
その理由については後述します。
出光興産の配当権利付き最終日は「2020年3月27日、2020年9月28日」です。
出光興産の配当性向は30.2%
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
出光興産は、当期純利益の30.2%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2012年:12.42%
2013年:17.93%
2014年:22.03%
2015年:-
2016年:-
2017年:9.07%
2018年:7.59%
2019年:22.66%
2020年:30.2%
ここ数年の配当性向は、30%未満で推移してきました。
2015年と2016年は、赤字転落となりましたが、減配や無配はすることなく前年の配当を維持しており、株主還元の姿勢が伺えます。
2020年は配当性向が30.2%を予定していますが、コロナウィルスの影響でさらに高い割合になる可能性があります。
出光興産が赤字でも配当できる理由
ここでは、出光興産が赤字転落した2015年と2016年においても減配することなく、これまでの高配当を以上することができた理由をご紹介します。
出光興産が赤字でも配当金を支払うことができた理由は、潤沢な利益剰余金があったからです。
利益剰余金とは、企業が得た利益の積立額であり、過去に蓄積した利益を意味します。
いわゆる会社の貯金です。
出光興産の利益剰余金の推移
出所)出光興産の業績・財務 - 5019 / 東証1 / 石油・石炭製品 | バフェット・コード
JXTG5連結キャッシュ・フロー計算書
出所)決算短信 | IR資料集 | 出光興産(出光昭和シェル)
JXTGには、2019年3月期で4,667億円もの利益剰余金が存在します。
そのうち、直近の1年間で配当金の支払い使った金額は、184億円です。
出光興産には配当金十分支払えるだけの貯金が存在するのです。
出光興産の今後について
歴史的な原油安による収益悪化への懸念から売りが優勢となっている状況が常態化しつつあります。
原油安は出光興産にとって大きな痛手となっています。
現在の原油先物相場は、若干の戻りを見せていますが、安値圏からは抜け出せていません。
新型コロナウィルスも依然として猛威を奮っていることから、原油安は当分の間続くことになりそうです。
こうしたことから、出光興産の業績は今後も低迷が予想されます。
まとめ
出光興産の株価は、2018年後半から下落し続けており、未だ下げ止まらない状況です。
純利益も歴史的な原油安により低調で、2020年は赤字予想となっています。
引き続き株価低迷が予想されます。
しかし、出光興産の魅力は、なんといっても配当利回り約6.6%という高配当銘柄である点です。
さらに、減益や赤字転落をしたとしても減配せずにこれまでの配当金を維持できるだけの潤沢な利益剰余金があります。
減配のリスクが低いことから、長期保有の配当目的で買うには魅力的な投資先といえるでしょう。
株価が安値圏で推移している今が買い時かもしれません。
JXTGと比較した場合、配当利回りは出光興産の方が高い値となっていますが、財務状況や収益性はJXTGの方がやや上だといえます。