東証と京都大学が日経平均株価やTOPIXよりもパフォーマンスが良い指数を開発したことを明かしました。
この新指数は、長期投資家にとって有用と考えられる日本株に関する新たなベンチマークの基礎となることが期待されます。
日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)といった機関投資家もこの指標をもとにETFや投資信託の買い入れを行う可能性が高いことから、この新指数をもとに銘柄選定を行えば、高い運用成績を収められるかもしれません。
今回は、この新指数と新指数に組み込まれる可能性がある銘柄30選をご紹介させていただきます。今回の内容は、以下の記事を参考にまとめさせていただきました。
- 東証と京大が最強の新指数を開発!
- そもそも日経平均とTOPIXの違いとは?
- 新指数とはどのようなものか?
- 新指数の選定基準である定量スコアとは?
- 新指数をもとに日銀や公的年金が買うかも!
- 東証新指数「上位30銘柄30選」!
東証と京大が最強の新指数を開発!
東証と京都大学が日経平均株価やTOPIXよりもパフォーマンスが良い指数を発見したことを明かしました。
東証と京都大学は、長期目線で投資をする際には、TOPIXよりも今回発見した新指数をもとに株を買った方が高パフォーマンスを叩き出せるとお墨付きをしているわけです。
長期投資家にとって有用と考えられる日本株に関する新たなベンチマークの基礎となることが期待されます。
この新指数は、2年近くも前から、東証(東京証券取引所)では京都大学と共同で秘密裏に新しい株価指数の研究がなされていたようです。
新指数は産学連携の一環であるとし、指数の正式公表前からわざわざ「特許を出願」と公言していることからも、東証側のこの指数にかける本気度が分かります。
2020.4.17 東証との共同研究の進捗及び特許申請に関するお知らせ - 京都大学経営管理大学院
では、その東証と京大のお墨付きの新指数は、一体どのようなものなのでしょうか。
その前に簡単に日経平均株価とTOPIXについて簡単に説明をしておきます。
そもそも日経平均とTOPIXの違いとは?
日経225とTOPIXの違いは、
・対象銘柄が日経平均は東証1部上場会社のうちの「225銘柄」、TOPIXは東証1部「全銘柄」です。
・日経平均は「株価」だけが算定の対象であるのに対し、TOPIXは「株価」と「発行済株数」が計算のベースで株価と株数を掛け合わせた「時価総額」方式です。
・指数の単位は日経平均が「円・銭」、TOPIXは「ポイント」です。
日経平均とTOPIXは、「値動き」面において大きな違いがみられます。
日経平均は、東証1部上場銘柄数1682社のうち225銘柄、全体の13%程度しかカバーしておらず、株価だけが計算の対象です。
つまり、値動きの大きい銘柄が225銘柄の中に入っていれば、日経平均の値動きは上下に激しいものとなります。
現在ではユニクロのファーストリテーリングの株価が動くことによって日経平均の変動は大きいといわれています。
日経平均は、一部の銘柄の影響を受けやすい特徴があります。少数派の人気銘柄によって指数が引き上げられることがあるわけです。
そのため、日経平均は好調にもかかわらず、自分の持っている銘柄は、全く上がらないという事態が起きます。
一方、TOPIXは、東証1部全銘柄の時価総額(株価×発行株数)方式です。
そのため、TOPIXは1銘柄が動いたくらいでは指数全体への影響は大きくありません。
こうしたことから、TOPIXの動きがマーケット全体の動きに近く、投資家の投資成果の実体をより忠実に表しているといえます。
「人気の日経平均」、「実体のTOPIX」と表現するとわかりやすいかもしれません。
日経平均は、政府の景気判断等にも用いられます。
個人投資家としては、先に日経平均を見て、マーケットの人気的な強弱をつかみ、次にTOPIXを見て、マーケットの実体を見るようにすると良いかもしれません。
日経平均株価(日経225)
日経平均株価とは、日本経済新聞社が発表する株価指数のことで、東証1部上場銘柄のうち、代表的な225銘柄をもとに計算されています。
日本の株式市場の大きな動きを把握する代表的な指標として用いられ、投資信託や先物取引などの商品にも利用されています。
東証1部の代表的な銘柄を選定して指標としているため、定期的に組み入れ銘柄の見直しが行われていますが、分母(除数)の修正などで株式分割や銘柄入れ替えなど市況変動以外の要因を除去して指数値の連続性を保っています。
日本の株式市場の代表的な指標として、日経平均株価の他にはTOPIXなどの株価指数があります。
TOPIX(東証株価指数)
東証株価指数(とうしょうかぶかしすう)とは、東京証券取引所第一部上場全銘柄(2019年2月1日現在、2,128社)を対象として、算出・公表している株価指数のことです。
TOPIX(トピックス。Tokyo Stock Price Indexの略)とも呼ばれます。
日経平均株価と並ぶ、日本の代表的な株価指標です。
東証1部上場の全銘柄(2019年2月1日現在、2,128社)を対象として、各銘柄の浮動株数に基づく時価総額を合計して計算しています。
1968年1月4日を基準日として、当時の時価総額を100として指数を算出しています。
新指数とはどのようなものか?
東証新指数概要
銘柄選定のもとになる母集団については、明確な言及はなく、「一定年限以上連続上場」とだけ記載がありました。
おそらくは、東証一部上場銘柄が対象と思われます。
また、カッコ書きで「10年以上?」とか書かせて頂いています。
これは、選定方法の項目にある、定量スコアの算出に「過去10年ROEの平均」などの指標が使用されていることから、10年以上上場している銘柄が対象となる可能性が高いためです。
銘柄の選定は、今回の研究の独自の定量スコアに基づき、上位100銘柄を組み込み、年1回で上限10銘柄を入れ替えるとしています。
定量スコアについての詳細は後述します。
入替日は、「7月末基準、8月初入れ替え」とありますので、早ければ今年の8月から開始されるかもしれないとのことです。
これらの選定方法から見るに、日経平均やTOPIXのような市場の動きを俯瞰するための株式指数とは様相が違う指数のように思われます。
新指数は、今までの指数とは異なり、コストや売買回転を抑えつつテーマに沿ってリターンを獲得する投資信託やETFを目的として作られた指数のように思われます。
新指数の選定基準である定量スコアとは?
次に問題の定量スコアについてご紹介していきます。
定量スコアは、基本的には売上高成長率、売上高営業利益率(ROS)、総資産営業利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)、自己資本比率、海外売上高比率を基に算出していくようです。
日本株のコロナ相場、じつはプロがひっそり仕込む「凄い銘柄」全実名(大川 智宏) | マネー現代 | 講談社(1/6)
売上高成長率をはじめとした今回採用された指標は、すでに長期にわたってPER、PBRなどの他の投資指標に比べて良好なパフォーマンスを発揮しています。
今回の新指数がTOPIXと比べてどれだけパフォーマンスが良いのかを見ていきましょう。
出所)2020.4.17 東証との共同研究の進捗及び特許申請に関するお知らせ - 京都大学経営管理大学院
青色の折れ線グラフが新指数、赤色の折れ線グラフがTOPIXです。
新指数がTOPIXを大きく上回っていることが見て取れます。
新指数をもとに日銀や公的年金が買うかも!
この新指数の組成・公表にともなって、日銀や年金積立金管理運用独立行政法人といった一定数の機関投資家が買う可能性が高いといえます。
これまで日銀や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日経平均やTOPIXのような市場の動きを俯瞰するための株式指数に連動したETFや投資信託に投資してきました。
しかし、新指数は、コストや売買回転を抑えつつテーマに沿ってリターンを獲得する投資信託やETFを目的として作られた指数であり、日銀やGPIFといった機関投資家が長期運用するにはうってつけの指標といえるからです。
東証がこの指数で特許を取得し、大々的に宣伝するほど、証券会社などを通じて将来的に該当銘柄への買い需給が発生しやすくなります。
過度な期待はよくありませんが、産学連携のクオリティ指数という大義名分もあることから、日銀のETF買い入れやGPIFといった公的年金なども買い始めるかもしれません。
今から先回りして銘柄を選んで投資しておくと数年後に大きなリターンを得ることができるかもしれません!
東証新指数「上位30銘柄30選」!
参考までに、現状のスコアの上位銘柄と、動きの乏しい自己資本比率以外のコンセンサス成長予想を加味した2つの銘柄のリストをご紹介します。
今回は、マネー現代さんの記事を参考に銘柄をご紹介させていただきます。
参考文献)日本株のコロナ相場、じつはプロがひっそり仕込む「凄い銘柄」全実名(大川 智宏) | マネー現代 | 講談社(1/6)
2つの表のうち後者は、精度を上げるために今期・来期のコンセンサス予想を加味したデータとなっているため、こちらのほうがより参考になるかと思います。
図:定量スコア TOP30銘柄
出所)日本株のコロナ相場、じつはプロがひっそり仕込む「凄い銘柄」全実名(大川 智宏) | マネー現代 | 講談社(1/6)
図:定量スコア上位100銘柄のうち、財務・収益性の平均成長率が高い銘柄TOP30
出所)日本株のコロナ相場、じつはプロがひっそり仕込む「凄い銘柄」全実名(大川 智宏) | マネー現代 | 講談社(1/6)
実際の指数の公表のタイミングは、毎年7月末が入替えであれば、それ以降の近い日付になります。
そのため、早くても今年8月からの開始となるでしょう。
新指数が発表される前に、今から先回りして銘柄を選んで投資しておくと大きなリターンを得ることができるかもしれません!
5月上旬現在において事前に銘柄を仕込むのは、本決算発表で値がブレやすく難しい局面といえます。
単純なスコア順だけではなく、精度を上げるために今期・来期のコンセンサス予想のデータを組み入れることをおすすめします。
経済および株式市場が不安定な動きを見せている間は、高いクオリティは強いディフェンシブ性を発揮します。
こうしたことから、今回ご紹介した銘柄への投資は、ひとつのアイデアとして検討する価値はあるかと思います。