最大手ゼネコンの一角である清水建設。
首都圏、民間建築が主力であり、近年では環境エネルギーに注力しています。
清水建設の魅力は、高財務、高収益、高配当である点です。
また、清水建設は資金繰りが良く、多種多様な施工実績があります。
今回は、そんな超優良銘柄である清水建設についてご紹介していきます。
- 清水建設の株価状況
- 清水建設の財務状況
- 清水建設の株価推移
- 清水建設の事業内容
- 清水建設の当期利益の推移
- 清水建設の配当金の推移
- 清水建設の配当性向は29.7%
- 清水建設が一時工事を中断→再開へ
- 清水建設の強み
- まとめ
清水建設の株価状況
株価(2020/5/12 15:00)
864
年初来高値
1,176.0(2020/2/10)
年初来安値
718.0(2020/3/17)
最高値(過去10年)
1,396.0(2017/11/6)
最安値(過去10年)
223.0(2012/11/14)
PER:6.81倍
PBR:0.93倍
配当金(会社予想):40円
配当利回り:4.16%
配当性向(会社予想):29.7%
配当権利付き最終日:2020年6月26日、2020年12月28日
自己資本比率:41.2%
利益剰余金:232億円
ROE:13.1%
ROA:5.4%
EPS:109.1円
清水建設の財務状況
自己資本比率:41.2%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
清水建設の自己資本比率は、41.2%であり倒産しにくい企業だといえます。
ROE:13.1%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
清水建設は、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが13.1%となっています。
清水建設はかなりの高収益率を誇っています。
ROA:5.4%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
清水建設のROAが5.4%であり、総資産利益率も高水準です。
EPS:129.8円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は清水建設のEPSの推移を表したグラフです。
2014年:18.0円
2015年:42.4円
2016年:75.2円
2017年:126.1円
2018年:108.3円
2019年:127.0円
2020年(予想):129.8円
EPSは、増加を続けており上昇傾向にあります。
業績好調の優良企業だといえます。
PER:6.81倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われています。
現在の清水建設のPERは6.81倍で割安圏です。
成長性していて将来の期待値も高いにもかかわらず、PERは割安水準であることから、今が買いかも知れません。
PBR:0.93倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.93倍となっており割安圏までもう少しです。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
清水建設の株価推移
10年チャート
出所)清水建設(株)【1803】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)清水建設(株)【1803】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響により株価は、400円以上下落しました。
その後はやや反発しています。
現在は800円台後半で推移しています。
清水建設の事業内容
「建設事業(建築、土木、海外建設)」を柱に、非建設事業である「不動産開発」「エンジニアリング」「LCV(ライフサイクル・バリュエーション)」「フロンティア」の4分野で事業を展開しています。
建設事業
オフィス、工場、学校、病院など、多岐にわたる建物の企画提案、設計、施工、運営・維持管理を行っています。
医療・福祉施設の受注高は国内トップを誇るほか、創業者の清水喜助が日光東照宮の修理工事や江戸城西丸造営などを手掛けた由縁から、社寺建築・伝統建築にも多くの実績を持っています。
また、自社内に木工事や木工製作を行う東京木工場があるのも特徴です。
近年では、生産性向上に向け、ロボット技術を駆使した施工にも挑戦しています。
土木事業
トンネル、橋梁、ダムや都市土木、エネルギー施設など、土木構造物の設計、施工、リニューアルを行っています。
1970(昭和45)年に日本初のLNG(液化天然ガス)地下タンクを完成させて以降、日本に現存する大型LNG地下タンクの約半数は当社が施工しています。
また、東京湾アクアライン川崎トンネル浮島南工区、地下鉄大江戸線上広・元浅草工区、八ツ場ダム、東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事など、難易度の高い工事にチャレンジし、技術力と実績を着実に積み重ねています。
海外建設事業
1970年代から海外に進出し、約60カ国で施工実績があります。
1974(昭和49)年にシンガポールに拠点を構えて以降は、東南アジアを中心に世界各国で、生産施設や超高層ビル、病院、橋、地下鉄などの建設に携わっており、各国の発展と人々の快適な暮らしに貢献しています。
不動産開発事業
建設事業で蓄積した技術とノウハウを活かし、オフィスビルや物流施設などの不動産開発を行っています。
自社ブランドとして、オフィスビルは「アイマークビル」シリーズ、物流施設は「S・LOGi」シリーズを展開中です。
2011(平成23)年には不動産開発事業でも海外に進出。東南アジアでコンドミニアムやデータセンター、オフィスビルなどを手掛け、今後は北米にも事業エリアを広げていきます。
エンジニアリング事業
「エネルギー」「環境」「プラント」「情報」という基幹4分野のEPC(設計・調達・建設)事業に注力し、脱炭素社会と安全・安心・健康な生活環境の実現に取り組んでいます。
エネルギー分野 太陽光・風力(陸上・洋上)大型案件のEPC事業拡大 環境分野 汚染土壌浄化技術等の深化による幅広い環境浄化エンジニアリング プラント分野 高度生産施設における高効率化・自動化対応等によるターンキー受注 情報分野 施設用途・顧客ニーズに応えるICTシステム・エンジニアリング
LCV(ライフサイクル・バリュエーション)事業
建物やインフラ、エネルギー、まちのライフサイクルにわたり、持続的な価値向上と利用者の満足度向上を実現し、サステナブルな未来を築いていく事業です。
「BSP(ビルディング・サービスプロバイダー)」「エネルギー・インフラ運営」「ICT・スマート」の3事業が連携して、事業参画・投資を含めた包括的なサービス・ソリューションを提供します。
BSP事業 竣工後の施設運営管理サービスを提供 エネルギー・インフラ運営事業 再生可能エネルギーを利用した発電・売電、インフラのメンテナンスやメンテナンスやPPP※、コンセッションなどインフラ経営の合理化・収益向上に貢献 ICT・スマート事業 スマートシティの事業化やICT技術を使ったサービスを提供 PPP:パブリック・プライベート・パートナーシップ。公共・民間が連携して公共サービスの提供を行うスキームのこと
フロンティア事業
「海洋開発事業」「宇宙開発事業」「自然共生事業」「事業投資(スタートアップ)」の4つのフロンティア分野において、早期の事業化に向け取り組んでいます。
1980年代から取り組み始めた海洋や宇宙などの未利用空間の開発構想を、研究開発段階から事業化へと展開するため、2018年4月1日に「フロンティア開発室」を新設しました。
清水建設の当期利益の推移
当期純利益は、上昇傾向にあり、2019年に最高益である、996億円を突破しました。
2013年:59億円
2014年:141億円
2015年:333億円
2016年:593億円
2017年:989億円
2018年:849億円
2019年:996億円
2020年(予想):950億円
清水建設の当期純利益は、増加傾向にあり、順調に業績を伸ばしています。
清水建設の配当金の推移
清水建設の配当金は、増配傾向にあります。ここ5年以上増配を続けきました。
2014年:7.0円
2015年:8.0円
2016年:16.0円
2017年:26.0円
2018年:26.0円
2019年:36.0円
2020年:36.0円(予想)
今年の配当金は、昨年同様、一株あたり36.0円の予想しています。
しかし、新型コロナウィルスの影響で業績の悪化が見込まれていることから、減配の可能性は少なからずあります。
清水建設の配当権利付き最終日は「2020年6月26日、2020年12月28日」です。
清水建設の配当性向は29.7%
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
清水建設は、当期純利益の29.7%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2013年:93.24%
2014年:38.77%
2015年:16.47%
2016年:12.59%
2017年:12.71%
2018年:28.67%
2019年:22.87%
2020年:29.7%
2013年は配当性向がやや高めでしたが、ここ数年の配当性向は、大体30%程度で抑えられており、健全な経営をしているといえます。
清水建設が一時工事を中断→再開へ
清水建設は5月6日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため一時中断していた建設工事を再開すると発表しました。
現場での感染防止体制を整え、5月11日から順次再開する予定です。
5月中の全面再開を目指すとのことです。
清水建設は「建設業での雇用の確保など経済活動の維持のため、工事を進めることも重要だと判断した」としています。
清水建設は同じ建設現場で社員3人が新型コロナに感染し、うち1人が死亡したことを受け、4月13日から当時緊急事態宣言下にあった東京都など7都府県での工事を5月6日まで中断すると発表しました。
さらに国が緊急事態宣言の対象地域を全国に広げたことに伴い、工事中断地域を、北海道など6道府県を加えた特定警戒都道府県に拡大しました。
清水建設ではこれら13の都道府県で630カ所の工事現場を抱えていたが、85%で中断したとのこと。
清水建設の社員を2グループに分けてそれぞれ1日おきに出勤するようにし、現場内の社員数を減らす等の対策をとっています。
また、下請け会社の社員とその日の注意事項を確認する朝礼は中止し、オンラインでの情報共有に切り替えるようです。
作業員の休憩所も複数設け、1カ所に人が集まらないように工夫しています。
清水建設の強み
清水建設は、業歴が長く施工分野が多種多様であることから、清水建設だからこそ受注できる案件が多種多様です。
神社仏閣、オフィス、工場、学校、病院、橋梁、ダム、空港、港湾など多岐にわたる建設をおこなっています。
施工実績の例として、出雲大社、明治神宮外拝殿、東大寺、岡崎城、東京大学安田講堂、内閣府、読売新聞ビル、トヨタ自動車本社ビル、と三菱重工工場、東京競馬場、新東名高速道路、新名神高速道路、東京国際空港滑走路、中部国際空港第二ターミナル、東京湾アクアライン、小田原漁港などがあります。
↓以下が清水建設の施工実績です。
過去に施工実績があると、発注する側も施工実績のある確かな技術力を持った清水建設に任せようということになります。
他に替えが効きづらい強い企業だといえます。
また、幅広い施工実績があるという点から長い工期にも耐えることができるを意味しています。
海外建設事業では工期が長いもので3年以上のものもあります。
もう一つの清水建設の強みは、非常に資金繰りが良い点です。
資金繰りを見るときには、まず一つに長期債務が足もとの利益で返していけるかで判断することになります。
2020年3月期 第3四半期決算短信によれば、清水建設の固定資産は7,857億円、純資産は7,611億円であり、この差額である実質長期債務は246億円になります。
四半期の純利益だけで738億円なので、四半期の利益だけで長期債務を十分返していける状態だといえます。
つまり、清水建設は借金がほとんどない会社だといえます。
こうした資金繰りに優れた財務状況にあることから、工事を一斉に一時休止したとしても耐えられるのです。
まとめ
清水建設の魅力は、高財務、高収益、高配当である点です。
また、清水建設は資金繰りが良く、多種多様な施工実績があります。
こうしたことから、つぶれにくい強い企業だといえます。
清水建設は創業100年以上の歴史があります。
配当目当てで保有するのに適した銘柄であるといえることから、コロナショックにより株価が低迷している今が買いかもしれません。