電動工具国内最大手のマキタ。国内で60%、世界で20%のシェアを誇ります。
国内では首位、世界2位のグローバル企業であり、米スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、独ボッシュと世界シェア首位を競っています。
海外現地生産化で先行し、世界中に販売拠点を豊富に持っており、世界130か国以上に拠点があります。
近年では園芸機器も強化中であり特に欧州で売上を伸ばしています。
今回は、そんな日本を代表するグローバル企業、マキタについてご紹介していきます。
マキタの株価状況
株価(5/15 15:00)
3,375
年初来高値
4,360.0(2020/2/13)
年初来安値
2,701.0(2020/3/19)
最高値(過去10年)
5,740.0(2018/9/28)
最安値(過去10年)
1,170.5(2011/12/22)
PER:19.11倍
PBR:1.60倍
配当金(会社予想):49円
配当利回り:1.59%
配当性向(会社予想):29.5%
配当権利付き最終日:2020年3月27日、2020年9月28日
自己資本比率:83.6%
利益剰余金:5,307億円
有利子負債:92億円
ROE:7.7%
ROA:6.4%
EPS:165.7円
マキタの財務状況
自己資本比率:83.6%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
マキタの自己資本比率は、83.6%でまずつぶれない理想的な企業だといえます。
ROE:7.7%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
マキタは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが7.7%となっています。
収益性はもう一歩です。
ROA:6.4%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
マキタのROAが6.4%であり、総資産利益率は高水準です。
EPS:165.7円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下はマキタのEPSの推移を表したグラフです。
2014年:137.3円
2015年:161.8円
2016年:148.6円
2017年:165.0円
2018年:201.7円
2019年:205.4円
2020年(予想):165.7円
EPSは、長年の間、増加を続けており上昇傾向にありましたが、2020年は下落予想です。
新型コロナウィルスの影響が大きいといえます。
PER:19.11倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われています。
現在のマキタのPERは19.11倍であり割高水準です。
PBR:1.60倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、1.6倍となっており割安圏までもう少しです。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
マキタの株価推移
10年チャート
出所)(株)マキタ【6586】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)(株)マキタ【6586】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響により株価は、1,000円以上下落しました。
ところが、その後は反発し回復しました。
現在は3,300円台まで戻りました。
2019年の安値水準です。
再び3,000円を割るようなことがあれば、買いかもしれません。
マキタの事業内容
当社は「人の暮らしと住まい作りに役立つ工具のグローバルサプライヤー」として、電動工具、園芸工具、エア工具などを通じて世界規模での豊かな社会づくりをサポートしています。
業界のリーディングカンパニーとして、開発・生産・販売・アフターサービスまで一貫した体制を整え、お客様に満足していただけるよう、高品質で魅力ある製品・サービスの提供に努めています。
電動工具
園芸工具
エア工具
アクセサリ・アフターケアサービス
マキタは、世界約50ヵ国に直営の営業拠点を設立、販売網やアフターサービス体制を充実させ、世界170ヵ国で販売し業界のリーディングカンパニーとなっています。
また、中国をはじめ、アメリカ、イギリス、ドイツ、ブラジル、ルーマニア、タイで電動工具を生産し、現在では台数ベースで約9割を海外工場で生産しています。
売上に占める割合は、欧州が最も大きく43%を占めています。次点で日本の19%です。
マキタの当期利益の推移
当期純利益は、上昇傾向にあり、2019年に最高益である、557.5億円を突破しました。
2020年は、450億円を予想しており減益予想となっています。
2012年:324.9億円
2013年:310.7億円
2014年:384.5億円
2015年:453.0億円
2016年:416.1億円
2017年:447.8億円
2018年:547.5億円
2019年:557.5億円
2020年(予想):450.0億円
マキタの当期純利益は、おおむね年々増加傾向にあり、順調に業績を伸ばしてきました。
まさに理想的な成長企業だと言えます。
しかし、2020年はコロナウィルスの影響により減益予想となっています。
マキタの配当金の推移
マキタの配当金は、若干減配した年もありましたが、増配傾向にありました。
2014年:45.5円
2015年:59.0円
2016年:50.5円
2017年:50.0円
2018年:61.0円
2019年:62.0円
2020年:49.0円(予想)
今年の配当金は、昨年から13円減配である、一株あたり49円の予想しています。
新型コロナウィルスの影響で減益予想となっていることが大きいでしょう。
マキタの配当権利付き最終日は「2020年6月26日、2020年12月28日」です。
マキタの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
マキタは、当期純利益の29.5%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2013年:31.45%
2014年:25.42%
2015年:27.26%
2016年:38.49%
2017年:30.61%
2018年:25.2%
2019年:29.7%
2020年:29.5%
マキタの配当性向は、大体30%前後で抑えられており、健全な経営をしているといえます。
マキタの株主優待
マキタの昨今の業績
2019年は国内で電動工具の販売が好調でしたが、充電式の園芸用機器の販売促進に伴う広告宣伝費や人件費の増加が響き減益を見込んでいます。
さらに新型コロナウィルスの影響で現在予想されている業績よりも悪化する見込みです。
また昨年は米国の中国に対する追加関税措置も利益を押し下げました。
国内はコード式よりも手間のかからない充電式の電動工具の販売が建築向けで好調でした。
海外は円高で売り上げが目減りしましたが、欧州などで園芸用機器の販売が伸びています。
2019年は現地通貨ベースで中近東・アフリカを除く市場は増収となりました。
20年3月期は売上収益が前期比2%減の4800億円、純利益は21%減の440億円とする会社計画を据え置いています。
まとめ
電動工具国内最大手のマキタは、国内で60%、世界で20%のシェアを誇り、世界シェア2位のグローバル企業です。
世界130か国以上に拠点があり、特に欧州で売上を伸ばしてきました。
しかし、直近では新型コロナウィルスの影響で業績の悪化が予想され、株価は伸び悩んでいます。
PER、PBRや収益性の観点から見ても割高であり、今は買い時とは言えない状況です。
株価が再び3,000円を割るようなことがあれば買いかもしれません。