国内3大金融グループの一角、三井住友フィナンシャルグループ(FG)。
三井住友FGは、収益の33%を海外39か国が占めるグローバル企業です。
収益性は、メガバンクの中では首位級であり、2020年3月期の当期純利益では三菱UFJFGを抜いて国内首位になりました。
しかし、新型コロナウィルスの影響で株価は下落傾向にあり、かなりの割安圏にいます。
これは、株価が反発するまで静かに待っておけばよいとも取れます。
三井住友FGは配当利回り6.79%と高配当です。
今回は、そんな割安高配当銘柄である、三井住友FGについてご紹介していきます。
- 三井住友FGの株価状況
- 三井住友FGの財務状況
- 三井住友FGの株価推移
- 三井住友FGの事業内容
- 三井住友FGの当期利益の推移
- 三井住友FGの配当金の推移
- 三井住友FGの配当性向の推移
- 三井住友FGがSBI証券と提携
- 三井住友FGの今後について
- まとめ
三井住友FGの株価状況
株価(5/15 15:00)
2,709.5
年初来高値
4,056.0(2020/1/9)
年初来安値
2,507.5(2020/3/23)
最高値(過去10年)
5,770.0(2015/8/11)
最安値(過去10年)
2,003.0(2011/11/10)
PER:5.16倍
PBR:0.35倍
配当金:190円
配当利回り:6.79%
配当性向(会社予想):29.5%
配当権利付き最終日:2020年9月28日、2021年3月29日
自己資本比率:5.2%
利益剰余金:6兆2,434億円
ROE:6.3%
ROA:0.3%
EPS:291.3円(予想)
三井住友FGの財務状況
自己資本比率:5.2%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
三井住友FGの自己資本比率は、5.2%でありかなり低い水準です。
他のメガバンクも自己資本比率は同じような値であり、低水準となっています。
ROE:6.3%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
三井住友FGは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが6.3%となっています。
収益性はもう一歩です。ただし、三菱UFJFGやみずほFGより高い値です。
ROA:0.3%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
三井住友FGのROAが0.3%であり低い値です。
EPS:291.3円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は三井住友FGのEPSの推移を表したグラフです。
2014年:590.8円
2015年:532.9円
2016年:457.3円
2017年:499.6円
2018年:520.7円
2019年:520.0円
2020年:511.8円
2021年(予想):291.3円
EPSは、ここ10年間で横ばいかやや下落傾向にあります。
2021年は新型コロナウィルスの影響で大幅な下落予想です。
PER:5.16倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われています。
現在の三井住友FGのPERは5.16倍でありかなりの割安水準です。
PBR:0.35倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
三井住友FGのPBRは、0.35倍となっておりかなりの割安水準となっています。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
三井住友FGの株価推移
10年チャート
出所)(株)三井住友フィナンシャルグループ【8316】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)(株)三井住友フィナンシャルグループ【8316】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響により株価は、1,500円近く下落しました。
現在は2,700円台で推移しています。
7年前の2013年の安値水準であり、割安圏といえます。
三井住友FGの事業内容
ホールセール事業部門が全体の3分の一を占めています。
資金利益ではSMBCが最も多くの割合を占めています。
三井住友FGの連結業務純利益に占める海外割合は③分の一となっており、海外展開を積極的に行っています。
三井住友FGの当期利益の推移
当期純利益は、10年前から横ばいかやや下落基調にあります。
2021年は、4000億円を予想しており減益予想となっています。
2012年:5,185億円
2013年:7,940億円
2014年:8,353億円
2015年:7,536億円
2016年:6,466億円
2017年:7,065億円
2018年:7,343億円
2019年:7,266億円
2020年:7,039億円
2021年(予想):4,000億円
2020年3月期(前期)の連結決算は、純利益が前の期比3%減の7038億円でした。
収益性はメガバンクの中では首位級であり、当期純利益では三菱UFJFGを抜いて国内首位になりました。
海外金利が低下する中で債券売却益が増加したものの、グループ再編や新型コロナウイルス感染拡大の影響が利益を減少させました。
21年3月期の連結純利益は、前期比43%減の4000億円を見込んでいます。
新型コロナの影響を受けた信用コストの増加などが重荷になるとみて、2月時点の予想(7100億円)から下方修正しました。
三井住友FGの配当金の推移
2014年:120.0円
2015年:140.0円
2016年:150.0円
2017年:150.0円
2018年:170.0円
2019年:180.0円
2020年:190.0円
2021年:190.0円(予想)
三井住友FGは、過去10年間減配を行っておらず、増配傾向にあります。
配当利回りは、6.79%と7%に迫る高配当となっています。
今年の配当金は、昨年から上昇し一株あたり190円の予想しています。
三井住友FGの配当権利付き最終日は「2020年9月28日、2021年3月29日」です。
三井住友FGの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
三井住友FGは、当期純利益の37%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2014年:20.3%
2015年:26.2%
2016年:32.7%
2017年:30.0%
2018年:32.7%
2019年:34.6%
2020年:37.0%
三井住友FGの配当性向は、概ね30〜40%で抑えられており、配当にはまだ余裕があります。
三井住友FGがSBI証券と提携
三井住友フィナンシャルグループとSBIホールディングスが4月28日、ネット証券分野などで包括提携しました。
スマートフォン金融や対面営業などで強みを持ち寄り、「リアル」と「デジタル」の両領域で利便性の向上を図る狙いです。
提携に至った背景には2つの要因があります。
①業種の垣根を越えた競争が激しくなっていること
楽天やLINEのように巨大な顧客基盤をもつ異業種が、決済や証券などのスマホ金融に力を入れています。
こうした顧客の囲い込みに対抗するため、ネット証券が主力事業のSBIは三井住友FGとの協力を進めることで、銀行のリアル店舗は、スマホ金融では届きにくい顧客との接点になるわけです。
②サービスのデジタル化を進めたい三井住友FGの戦略と合致したこと
個人向けの融資や運用など、スマホ金融のサービスを広げたい三井住友FGにとって、デジタル化は避けて通れない道です。
ノウハウを持つSBI傘下の証券会社に出資することで、スマホ向けの新たな営業体制をつくる狙いがあります。
三井住友FGの今後について
国内においては日銀の大規模金融緩和が以前として続いていることで金利収入が落ち込み伸び悩んでいます。
融資は堅調に推移していますが、低金利の影響で利ざやの乏しい状況が続いてます。
低金利による収益力の低下が懸念されます。
株価の乱高下で三井住友FGの市場事業部門も苦戦しています。
投資信託の販売額も伸び悩み、手数料収入も減少している状態です。
事業事業部門が投資信託の販売額の落ち込みなどで苦戦しています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化が予想されます。
足元では感染拡大の影響を考慮して予防的に引当金を計上したことで、与信関連費用が大きく増加しています。
与信関係費用とは、その名とおり与信に関係する費用全体なのですが、主に債権の回収が不可能になった際に行う「償却額」や債権が劣化したことで積み増す「貸倒引当金繰入額」等をさします。
つまり、融資が回収できないリスクに備えた貸倒引当金の積み増しです。
新型コロナによる与信関係費用の増加だけで400億円、全体で1,700億円のコストになるとのことです。
本業の連結業務純益も500億円ダウンするとのことです。
融資先の破綻に伴う債権放棄などを含む不良債権処理費用が膨らみ、利益を押し下げています。
リーマン危機があった09年3月期の不良債権処理費用は、景気回復にあわせて減り続け、不要な引当金の戻りが利益を押し上げてきました。
しかし、景気に陰りが出ていた昨年からこうした動きが逆回転し、新型コロナで一気に急増したわけです。
三井住友FGは構造改革を進めています。本部人員を2022年度までに3割減らす計画です。
業務の見直しや削減を進め、成長領域に人員を振り向けるとのこと。
低金利環境の長期化で銀行は従来のビジネスモデルからの転換を迫られており、成長に向けた大幅な見直しを進めています。
まとめ
三井住友FGは、収益の33%を海外39か国が占めるグローバル企業です。
日本政府が強く推奨しているキャッシュレス社会への移行に対する技術面でのリーダー企業の1つです。
収益性もメガバンクの中では首位級であり、当期純利益では三菱UFJFGを抜いて国内首位になりました。
しかし、新型コロナウィルスの影響で株価は下落傾向にあります。
ただ、決して悲観的なものではなく、お買い得な状態ともとれるわけです。
株価が反発するまで静かに待っておけばよいとも取れます。
三井住友FGは配当利回り6.79%と高配当です。
この配当が健全なものなのか見るために用いる指標の1つが配当性向です。
三井住友FGの配当性向はやや増加傾向にあります。
しかし、2020年5配当性向は、35%であり状況が悪化したとしても備えられる状況です。
さらに過去10年間減配を行っていませんし、増配は5回行っています。
業績の好転はあまり期待できませんが、配当金は着実に支払われる可能性が高いといえます。
そのため、株価差益を獲得するために保有するのではなく、配当目当てで保有するのであれば、買いの銘柄かもしれません。