国内3大メガ損保の一角である、SOMPOホールディングス。
国内では生命保険、海外では損害保険の事業を拡大させています。
損保ジャパン日本興亜(商号変更により現在は損保ジャパン)や海外持ち株会社であるSOMPOインターナショナル(SI)が好調であり、本業で順調に業績を伸ばしています。
加えて保険事業だけでなく本業以外の他分野への多角化も積極的に行っています。
医療や介護分野を中心に様々な領域へ事業を拡大させています。
SOMPO HDの新たな収益源となることが期待されます。
21年3月期(今期)の連結純利益も前期比22%増の1500億円を見込んでいることから、他の業界と比べて保健業は、新型コロナウィルスの影響により大幅な損失を出してはいない印象です。
SOMPO HDの魅力は、株価が割安である点に加え、配当利回りは4.2%と高配当銘柄である点です。
今回は、SOMPOホールディングスについてご紹介していきます。
- SOMPO HDの株価状況
- SOMPO HDの財務状況
- SOMPO HDの株価推移
- SOMPO HDの事業内容
- SOMPO HDの当期利益の推移
- SOMPO HDの配当金の推移
- SOMPO HDの配当性向の推移
- SOMPO HDの業績と今後について
- まとめ
SOMPO HDの株価状況
株価(2020/6/5 15:00)
3,740.0
年初来高値
4,430.0(2020/2/20)
年初来安値
2,405.0(2020/3/19)
最高値(過去10年)
5,014.0(2018/9/25)
最安値(過去10年)
1,391.0(2012/8/31)
PER:9.4倍
PBR:0.89倍
配当金:160円
配当利回り:4.2%
配当性向:45.6%
配当権利付き最終日:2020年9月28日、2021年3月29日
自己資本比率:13.3%
利益剰余金:7,889億円
有利子負債:5,040億円
ROE:7.7%
ROA:4.2%
EPS:401.8円
SOMPO HDの財務状況
自己資本比率:13.3%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
SOMPO HDの自己資本比率は、13.3%です。
自己資本比率が低く倒産のリスクが高い企業だといえます。
ROE:7.7%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
SOMPO HDは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが7.7%となっています。
10%までもう一歩であり収益性の改善が求められます。
ちなみに同業他社である東京海上HDは、7.7%であり同水準です。
ROA:4.2%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
SOMPO HDのROAは4.2%であり、5%までもう一歩です。
ちなみに同業他社である東京海上HDは、1.0%
EPS:401.8円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下はSOMPO HDのEPSの推移を表したグラフです。
2014年:106.3円
2015年:130.7円
2016年:384.2円
2017年:400.6円
2018年:336.6円
2019年:392.8円
2020年:328.2円
2021年:401.8円(会社予想)
2017年まではやや上昇傾向にあり.2016年には
前年比3倍以上と大きく上昇しました。
2017年3月期には最高値の400円台です。
しかし、その後横ばいとなっています。
前の期に政策株式売却益が膨らんだ反動が出たようです。
21年3月期(今期)の連結純利益は、前期比22%増の1500億円を見込んでいます。
他の業界と比べて保健業は、新型コロナウィルスの影響により大幅な損失を出してはいない印象です。業績は悪くありません。
PER:9.4倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われています。
旭化成のPERは9.4倍であることから、割安水準です。
同業他社である、東京海上HDは9.9倍です。
PBR:0.89倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
SOMPO HDのPBRは、0.89倍となっており割安水準です。
ちなみに同業他社である、東京海上HDは0.96倍であり他社と同水準です。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
SOMPO HDの株価推移
10年チャート
出所)SOMPOホールディングス(株)【8630】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)SOMPOホールディングス(株)【8630】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
SOMPO HDの株価は、2015年までは上昇トレンドでしたが、その後は横ばいとなっています。
新型コロナウィルスの影響により約1,500円下落しましたが、その後はやや反発しており、現在は3,000円台で推移しています。
SOMPO HDの事業内容
SOMPO HDの当期利益の推移
当期純利益は、2016年に大きく上昇しました。前年の約3倍の値です。
2017年3月期に最高値を更新しました。
2012年:-922億円
2013年:436億円
2014年:441億円
2015年:542億円
2016年:1,595億円
2017年:1,664億円
2018年:1,398億円
2019年:1,466億円
2020年:1,225億円
2021年:1,500億円(会社予想)
2017年まではやや上昇傾向にありましたが、その後は横ばいです。
2017年3月期には最高値である1,664億円となりました。
その後横ばいとなり、直近の2020年3月期(前期)の連結決算は、純利益が前の期に比べ16%減の1225億円でした。
前期に政策株式売却益が膨らんだ反動が出たようです。
21年3月期(今期)の連結純利益は、前期比22%増の1500億円を見込んでいます。
他の業界と比べて保健業は、新型コロナウィルスの影響により大幅な損失を出してはいない印象です。業績は悪くありません。
SOMPO HDの配当金の推移
SOMPO HDの配当金は、増加傾向にあります。
2014年:60円
2015年:70円
2016年:80円
2017年:90円
2018年:110円
2019年:130円
2020年:150円
2021年:160円(会社予想)
ここ数年、減配することなく、前年の水準と同様もしくは増配を行なっています。
2020年の配当金は150円となり、配当利回りは4.2%と高配当です。
2021年の配当予想は160円となり増配予定です。
SOMPO HDの配当権利付き最終日は「2020年9月28日、2021年3月29日」です。
SOMPO HDの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
2020年、SOMPO HDは、当期純利益の45.7%を配当金として株主に分配する予定です。
2014年:56.42%
2015年:53.56%
2016年:20.82%
2017年:22.46%
2018年:32.67%
2019年:33.09%
2020年:45.70%
2021年:39.8%(会社予想)
SOMPO HDの配当性向は、ここ数年、概ね50%以下で推移してきました。
今年は45.70%ですが決して高すぎる値ではなく、配当金の支払いにはまだまだ余裕がありそうです。
2021年は40%をきる見込みです。
過度な配当金を行なっている様子はありません。
SOMPO HDの業績と今後について
SOMPOホールディングスが5月20日発表した2020年3月期(前期)の連結決算は、純利益が前の期に比べ16%減の1225億円でした。
前期に政策株式売却益が膨らんだ反動が出たようです。
損害保険事業の売上高に相当する正味収入保険料は前の期に比べ4%増の2兆8254億円でした。
損保ジャパン日本興亜(商号変更により現在は損保ジャパン)や海外持ち株会社であるSOMPOインターナショナル(SI)が好調でした。
21年3月期(今期)の連結純利益は、前期比22%増の1500億円を見込んでいます。
他の業界と比べて保健業は、新型コロナウィルスの影響により大幅な損失を出してはいない印象です。
こうしたことから株価が割安である今が買いかもしれません。
年間配当予想は前期比10円多い160円(中間期、期末とも80円)と発表しました。
あわせて353億円、1500万株(自己株式を除く発行済み株式総数の4.11%)を上限とする自己株式の取得も発表しました。取得期間は5月29日から11月18日です。
株主還元を積極的におこなっています。
また、保険事業だけでなく本業以外の他分野への多角化も積極的に行っています。
医療機関をサイバー攻撃から守る海外発のサービスとして、SOMPOホールディングス(HD)のグループ会社はイスラエル企業と組み、6月から日本の病院向けに無償でサービスを提供事業を始めました。
国内の医療機関でのセキュリティーの意識の高まりに対応するとのこと。
新型コロナウイルスの感染拡大後、医療機関へのサイバー攻撃は世界中で増加しており、今後も増加傾向になることが予想されます。
SOMPO HDの新たな収益源となることが期待されます。
その他にも、年内に保険や介護事業で得られる行動データの外販にも乗り出します。
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を活用し、介護現場での薬の効き目や自動車の走行データを収集し、顧客の承諾を得たうえで匿名にして解析します。
製薬や自動車メーカーの商品開発に役立てられるとのこと。
保険で培った顧客基盤を生かし、新たにデータ事業を開拓しています。
また、SOMPO HD傘下の介護大手、SOMPOケアが中小の介護事業者向けのコンサルティング事業に参入するとのことです。
管理職クラスの人材派遣を通じて経営指導するほか、同社の介護食やIT(情報技術)システムなどを販売して経費削減を支援する事業です。
2025年度までに同事業の売上高を100億円にする計画です。
このようにSOMPO HDは医療や介護分野を中心に様々な領域へ事業を拡大させており、今後の成長が期待されます。
まとめ
2020年3月期は、損害保険事業の売上高に相当する正味収入保険料は前の期に比べ増加しています。
損保ジャパン日本興亜(商号変更により現在は損保ジャパン)や海外持ち株会社であるSOMPOインターナショナル(SI)が好調です。
21年3月期(今期)の連結純利益は、前期比22%増の1500億円を見込んでおり業績は悪くありません。
他の業界と比べて保健業は、新型コロナウィルスの影響により大幅な損失を出してはいない印象です。
年間配当予想は前期比10円多い160円(中間期、期末とも80円)と発表しており、配当利回りは4.2%と高配当です。
あわせて353億円、1500万株(自己株式を除く発行済み株式総数の4.11%)を上限とする自己株式の取得も発表しています。
こうしたことから、株価が割安であるいまが買いかもしれません。
保険事業だけでなく本業以外の他分野への多角化も積極的に行っています。
また、医療機関をサイバー攻撃から守る海外発のサービスや保険や介護事業で得られる行動データの外販、中小の介護事業者向けのコンサルティング事業などの医療や介護分野を中心に様々な領域へ事業を拡大させています。
SOMPO HDの新たな収益源となることが期待されます。
高配当銘柄や事業安定性等のこれらの点を踏まえ長期的な保有を考えた場合、株価が低水準である今が買いかもしれません。