
米国とイスラエルによるイラン攻撃の開始から約1カ月が経過しました。
中東情勢の緊迫化を背景に原油価格は大きく上昇する一方、米国株式市場は水準を切り下げる展開となっています。
こうした中、これまで「安全資産」とされてきた金(ゴールド)にも異変が生じています。
金価格は最高値から20%超下落し、一般的に「弱気相場」とされる局面に入りました。
私が保有しているTracers S&P500ゴールドプラスも含み益の幅が急激に減少しました。


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金は「有事の買い」から一転、株式と連動
軍事衝突直後こそ金には資金流入が見られましたが、その後は株式市場と同様の値動きを強めています。
ニューヨーク市場の金先物は3月23日に1トロイオンス=4100ドルを記録し、1月の最高値からは約27%下落しました。
背景には、これまでの歴史的な価格上昇の反動による利益確定売りがあります。
実際、金価格に連動するETFの残高は減少しており、機関投資家による資金流出が確認されています。
金利上昇が金の魅力を低下させる
今回の金下落のもう一つの要因は、米長期金利の上昇です。
米10年債利回りは4%前後から4.4%台へ上昇しており、利息を生まない金の投資妙味は相対的に低下しました。
この金利上昇の背景には、原油高によるインフレ再燃懸念があります。
市場では、これまで織り込まれていたFRBの利下げ期待が後退し、むしろ「据え置き」や「利上げ」の可能性が意識され始めています。
2022年との違い――インフレ連鎖は起きにくい
市場参加者の間では、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年との比較も進んでいます。
当時はエネルギー価格の急騰がインフレを加速させましたが、現在は状況が異なります。
足元では労働市場の過熱感が薄れつつあり、エネルギー価格の上昇が賃金や消費に波及する可能性は限定的とみられています。
このため、インフレの持続性に対する見方には慎重な意見も多くなっています。
消費減速リスクが浮上
原油高と金利上昇は、家計にとって実質的な負担増となり、消費を下押しする要因となります。
実際、一部の金融機関は米国の個人消費見通しを引き下げており、中低所得層を中心に購買力の低下が懸念されています。
また、消費者マインドにも陰りが見え始めています。
最新の消費者態度指数は市場予想を下回り、景気の先行き不安が意識されつつあります。
金の反発は転換点か、それとも一時的か
こうした中、足元では金価格に短期的な反発も見られています。
株式と金が同時に下落する局面は過去にもあり、2008年の金融危機後には、金が株式に先行して底打ちする動きが確認されました。
市場関係者の間では、今回の金の反発が「資産配分見直しの初期シグナル」となる可能性も指摘されています。
もっとも、今後の方向性を見極めるのは容易ではありません。
中東情勢の行方に加え、FRBの金融政策の見通しが極めて不透明であるためです。
投資戦略のポイント
現局面では、以下の3点が重要な視点となります。
- 金利動向:実質金利の上昇が続くか
- 原油価格:インフレ再燃の持続性
- 景気指標:消費と雇用の減速度合い
市場は「利下げ前提」から「不確実性の高い局面」へと移行しています。金・株・債券の相関関係にも変化が生じており、従来の分散投資の前提が揺らぎ始めています。