
新興国市場の中で、中南米株の底堅さが際立っています。
2025年末比で約8%上昇と堅調なパフォーマンスを維持しており、米国によるイラン攻撃後もプラス圏を保っています。
なかでもブラジル株は海外投資家からの資金流入が顕著で、2026年の買越額はすでに前年通年を上回りました。
中東情勢の緊迫化を受けて世界の株式市場が不安定化するなか、中南米は「分散投資の受け皿」として存在感を高めています。
- 国別で見ても明確なアウトパフォーム
- 資源国という「構造的な強み」
- 業績見通しでも中南米が優位
- 地政学リスクの低さも評価材料
- グローバル資金の流れが変化
- それでも残る最大リスク「原油高の長期化」
- 投資戦略:中南米は「攻守バランス型」の選択肢
国別で見ても明確なアウトパフォーム
MSCIの国別指数(現地通貨建て)をみると、中南米の強さはより鮮明です。
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ペルー株:+20%超
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ブラジル株:+10%
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コロンビア株:+9%
これに対し、
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ASEAN指数:横ばい
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中国・インド株:マイナス圏
と、アジア株は総じて軟調です。
韓国や台湾などテック主導の市場を除けば、エネルギー価格上昇の影響を受けやすいアジア株の弱さが目立ちます。
私が保有しているインド株投資信託のiTrustインド株式についても、下落傾向にあり、現在、含み損は-8.99%です。

資源国という「構造的な強み」
中南米株の優位性を支える最大の要因は、資源価格上昇の恩恵を受けやすい点です。
ブラジルやメキシコといった産油国は、原油高によって企業収益が押し上げられやすい構造にあります。
一方で、中国やインドなどアジア諸国はエネルギーの中東依存度が高く、原油価格の上昇はコスト増を通じて経済の重荷となります。
さらに、レアアース(希土類)を巡る供給競争の中で、ブラジルの豊富な埋蔵量にも注目が集まっています。
資源安全保障の観点からも、中南米の戦略的価値は高まりつつあります。
業績見通しでも中南米が優位
大手金融機関もこの流れを裏付けています。
ゴールドマン・サックスは中東紛争によるエネルギー供給ショックを踏まえ、2026年の企業業績見通しを見直しました。
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中国・インド・中東・アフリカ:下方修正
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中南米:小幅上方修正
コモディティー価格上昇の恩恵を受ける地域として、中南米のみが例外的に評価を引き上げられています。
地政学リスクの低さも評価材料
中南米は、世界的に見ても相対的に地政学リスクが低い地域です。
ベネズエラなどの懸念はあるものの、中東のような宗教・民族対立に起因する大規模紛争は限定的です。
中東情勢の悪化を受けて、投資家のリスク意識は大きく変化しています。
その結果、「戦争から遠い市場」として中南米が再評価されていると考えられます。
グローバル資金の流れが変化
2026年は、機関投資家による「米国偏重の是正」がテーマの一つでした。
その受け皿として新興国株が選好されるなか、以下の要因が中南米への資金流入を後押ししています。
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米利下げ観測
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ドル安トレンド
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中南米の金融緩和期待
実際にブラジル中銀は約1年10カ月ぶりに利下げに踏み切り、株式市場の支援材料となっています。
それでも残る最大リスク「原油高の長期化」
もっとも、中南米株が無条件に安全というわけではありません。
最大のリスクは、エネルギー価格の高止まりによる世界景気の減速です。
原油価格が1バレル=120ドル台で長期化した場合、
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世界経済の減速
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新興国全体への資金流出
といったシナリオが現実味を帯びます。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントも、アジア新興国の投資比率見直しを検討するなど、慎重な姿勢を崩していません。
投資戦略:中南米は「攻守バランス型」の選択肢
現時点では、
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資源高の恩恵
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業績の相対的安定
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地政学リスクの低さ
という3つの要因から、中南米株は「攻め」と「守り」を兼ね備えた投資先となっています。
一方で、世界景気の減速局面では新興国全体が下押しされるリスクもあるため、過度な集中投資ではなく、分散の一環としての組み入れが有効といえるでしょう。