
日本株の値動きの荒さが際立っています。
米国発の材料に揺さぶられるのは世界共通ですが、日本市場の振幅は米国株を上回る局面が目立ちます。
背景にあるのは、売りか買いかに投資資金が一方向へ急速に傾く「超モメンタム相場」の形成です。
日経平均、材料次第で急騰・急落
10日の東京株式市場では日経平均株価が前日比1028円(1.8%)高の5万6924円まで上昇しました。
イスラエルとレバノンの和平協議に関する報道を手掛かりに、リスク選好の買いが一部銘柄に集中し、約1カ月ぶりの高値をつけています。
もっとも、足元の相場は安定とは言えません。
4月はわずか8営業日で5日、3月も営業日の約8割で日経平均が1%以上変動しています。
米国や欧州の主要指数と比較しても、変動率は際立って高い状況です。
なぜ日本株だけ振れが大きいのか?
表面的には中東情勢や米国政治の影響が大きいように見えますが、それだけでは説明できません。
実際には、日本株市場の内部構造がすでに変化していました。
鍵を握るのが「モメンタムファクター」です。
直近1カ月で上昇した銘柄がさらに買われる傾向を示すこの指標は、2月に+4.79%と過去最高を記録しました。
人気銘柄に資金が集中する構図が鮮明になっています。
しかし3月には一転してマイナス圏へ沈み、上昇していた銘柄ほど急落する展開となりました。
上昇局面でも下落局面でも値動きが加速する、典型的なモメンタム主導相場となっています。
AIテーマ株が生んだ「過熱と反動」
この流れを加速させたのが、人工知能(AI)関連株ブームです。
2月には三井金属やフジクラなどの関連銘柄が急騰し、短期資金を呼び込みました。背景にはAI成長期待に加え、政治イベントを契機としたいわゆる「高市ラリー」があります。
出遅れまいとする投資家心理が、買いを呼び、さらに買いを呼ぶ展開となりました。
一方で、こうした相場は反転も速いです。中東情勢の悪化でリスク回避姿勢が強まると、同じ銘柄に売りが殺到しました。
テーマ株特有の「上昇も急、下落も急」という特徴が、より顕著に表れています。
ファンダメンタルズ軽視のリスクが高まる
足元の相場では、企業業績や経済実態といったファンダメンタルズよりも、資金フローが短期的な値動きを支配しています。
このような環境では、ロング・ショート戦略を採るファンドもリスク管理を優先せざるを得ません。
実際、運用現場ではポジションを圧縮し、ボラティリティの高い銘柄へのエクスポージャーを抑える動きが広がっています。
勝ち筋は「人の行く裏」に
では、この相場で有効な戦略は何でしょうか。
一つは、過熱したテーマ株から距離を置くことです。
代わりに注目されるのが、内需系の中小型株や独自材料を持つ銘柄です。
物流や地方銀行など、外部環境の影響を受けにくい分野は、相対的に安定した投資先となり得ます。
また、ガバナンス改善や経営改革といった個別要因に着目する動きも強まっています。
これまで大型株主導の相場で出遅れていた中小型株には、見直し余地があるとみられています。
不安定相場は今後も続く見通し
米国とイランは一時的な停戦に合意しましたが、地政学リスクの根本的な解消には至っていません。
今後も市場は「期待」と「不安」の間で揺れ動く展開が続く可能性が高いです。
短期的な値動きに振り回されるのではなく、過熱した人気株を避け、「人の行く裏」に投資機会を見出す視点が重要な局面です。