
インド市場に、昨年以来海外マネーが流入が続いています。
外国人の買いが4カ月ぶりに買い越しとなっている状況です。
インド株式市場は、内需主導の経済であるという経済構造に加え、金融緩和と米国との関税交渉の進展という2つの要因が株価の下支えとなっています。
今のインドの現状は、株、債券、通貨のトリプル高です。
今回は、インドの株式市場が上昇している要因と今後の懸念材料についてご紹介していきます。
インド株にマネー流入で株価上昇

またインド株式市場にマネーが流入してきています。
代表的な株価指数のSENSEXは、8万台と、2024年12月以来の高値を付けています。
その要因の一つが主力の銀行株の値上がりです。
金融緩和や景気刺激策の経済効果への期待から、ICICI銀行やHDFC銀行など主力の銀行株が好調で株価指数を押し上げました。
国立証券保管機関(NSDL)によると、海外機関投資家は4月、24年12月以来4カ月ぶりに月間としてインド株を買い越ししたとのことです。
インド株、海外資金4カ月ぶり流入超 地政学リスクには懸念も - 日本経済新聞
金利が下がり債券価格が上昇
また、10年物国債利回りは、2025年5月30日時点で、インドの10年物国債の利回りは6.29%と21年12月以来約3年4カ月ぶりの低水準を付けました。
逆に、直近のインドの債券価格は上昇傾向にあります。
予想を上回る経済成長率とインド準備銀行(RBI)の金融緩和政策が要因です。
ただし、地政学的リスクなどの影響を受けており、利回りの上昇圧力も存在します 。
通貨の価値も上昇

通貨ルピーも堅調で、2月には対ドルで1ドル=88ルピー前後だったのが、2025年5月末、米国の貿易政策に対する不透明感や労働・消費指標の低迷により、ドル指数が下落しました。
これに伴い、インドルピーは対ドルで0.2%上昇し、85.35を記録しました。
また、米国の新たな関税提案や中国人民元の上昇も、アジア通貨全体の強含みに寄与し、インドルピーの上昇を後押ししました。
「インドは若い中間層の拡大で内需が強くなっている。そのためインド経済が世界貿易の変動の影響から遮断されている」。インド株投資信託を運用するUTIインターナショナルのプラビーン・ジャグワニ最高経営責任者(CEO)は資金流入の背景をこう話す。
インド株が上昇した要因

インド株が上昇した要因として、以下2つの要因が挙げられます。
①中央銀行のインド準備銀行による利下げ
②米国との関税交渉でインドが世界的に優位な状況にあること
2点についてご紹介していきます。
①中央銀行による利下げ
インド買いを後押しする一つが、中央銀行のインド準備銀行による利下げ姿勢です。
準備銀は2月、政策金利(レポ金利)を6.5%から6.25%に引き下げて利下げ局面を開始し、4月には6%まで引き下げました。
市場では利下げ継続の観測が広がっており、年末時点の政策金利は5.75%になると予想されています。
野村証券は4月24日のリポートで、世界の景気の不確実性が高まる中で「インドの景気対策は財政政策よりも金融政策に依存するとみられる」とし、年末の政策金利が5%まで下がると予想した。
②米国との関税交渉で優位
もう一つの追い風が、米国との関税交渉でインドが世界的に優位な状況にあることです。
インドは「相互関税」の影響を比較的受けにくいとの見方が多くあります。
シンガポールのDBS銀行のシニアエコノミスト、ラディカ・ラオ氏は「国内総生産(GDP)比での米国向け輸出依存度が相対的に低く、東南アジア諸国と比べて関税率も低い」と指摘しています。
米調査会社フィッチ・ソリューションズ傘下のBMIの分析によると、米関税の25年のGDPへの直接的なマイナス影響はインドは0.4%。タイ(3.6%)やベトナム(3.0%)、韓国(1.6%)などと比べて低い水準です。
さらに、アメリカとインド両政府の間で二国間合意が近付いているとの観測が市場の楽観を強めています。
4月21日、アメリカのバンス副大統領がインドを訪れ、米印両国は貿易交渉の「ロードマップ」に合意し、関税の引き下げなど交渉の範囲を確定しました。
今後の懸念材料は?

世界経済のリスク要因から、年内はインド株についても、変動の大きい相場が続くと見られています。
具体的には、インドとパキスタンの衝突を中心とする国内外の地政学リスクです。
インドとパキスタンの衝突については前回の記事でもご紹介しました。
国内の経済情勢が堅調であり、企業業績が改善したとしても、こうした地政学リスクが市場で不確実性を高める大きな要因となり、変動幅の大きな相場となったり、上値が重くなっています。
インドの市場は、強気を保ちつつも慎重さもあります。