メガ損保で国内首位、東京海上日動が主体である、東京海上HD。
欧米柱の海外保険事業はM&Aで急拡大しており、海外展開も積極的に行っています。
海外事業への出資を積極的に進めており、国内事業の業績ばかりに左右されない、盤石な収益体制を構築しています。
そんな東京海上HDは、いま割安といえる水準です。
業績もよく配当利回りは約5%の高配当銘柄です。
今回は、そんな超優良銘柄である、東京海上HDについてご紹介していきます。
- 東京海上HDの株価状況
- 東京海上HDの財務状況
- 東京海上HDの株価推移
- 東京海上HDの事業内容
- 東京海上HDの当期利益の推移
- 東京海上HDの配当金の推移
- 東京海上HDの配当性向は!?
- 東京海上HDは海外事業が鍵!
- まとめ
東京海上HDの株価状況
株価
4,967(2020/4/17 15:00)
年初来高値
6,317 (2020/02/06)
年初来安値
4,167 (2020/03/19)
最高値(過去10年)
6,317 (2020/02/06)
最安値(過去10年)
1,651.0(2020/6/4)
PER:13.15倍
PBR:0.99倍
配当金(会社予想):225円
配当利回り:4.97%
配当性向(予想):41.3%
配当権利確定日:3月末、9月末
自己資本比率:15.4%
ROE:7.4%
ROA:1.2%
EPS:383.0円
東京海上HDの財務状況
自己資本比率:15.4%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
東京海上HDの自己資本比率は、15.4%です。
東京海外HDに限らず金融・保険業は自己資本比率が低めとなっています。
ROE:7.4%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
東京海上HDは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが7.4%となっています。
ROEが10%未満なので、あともう一歩です。
ROA:1.2%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
東京海上HDのROAが1.2%であり、収益率はあともう一歩です。
EPS:383.0円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は東京海上HDのEPSの推移を表したグラフです。
2015年:324.0円
2016年:337.3円
2017年:363.5円
2018年:382.8円
2019年:383.0円
2020年:465.1円
EPSは微増ですが、順調に上昇してきています。
EPSが順調に上昇しており、優良企業といえます。
PER:13.15倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の東京海上HDは割安といえます。
東京海上HDのPERは、13.15倍です。
PBR:0.99倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.99倍となっており、1倍を下回っていることから、割安だといえます。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
東京海上HDの株価推移
10年チャート
出所)東京海上ホールディングス(株)【8766】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)東京海上ホールディングス(株)【8766】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響で株価が一時4,000円台前半まで下げましたが、
その後、やや反発し、若干の戻りを見せています。
東京海上HDの事業内容
国内の損害保険事業・生命保険事業を通じて安定した収益を持続的に創出するとともに、海外では市況に左右されない先進国のスペシャルティ保険の利益や新興国での高い成長を取り込んでいます。
足元の利益構成比は国内外で約半々となっており、グローバルに分散の効いたポートフォリオを実現しています。
出所)グループ会社一覧 | グループについて | 東京海上ホールディングス - To Be a Good Company -
東京海上HDの当期利益の推移
2019年に最高益である、当期純利益3,250億円を突破しました。
当期純利益は順調に上昇を続けています。
2011年:719億円
2012年:60億円
2013年:1,295億円
2014年:1,841億円
2015年:2,474億円
2016年:2,545億円
2017年:2,738億円
2018年:2,841億円
2019年:3,250億円
2020年(予想):3,390億円
業績から見ても安定しており、優良企業です。
2020年は2019年以上に利益を増やし過去最高を更新する予定です。
東京海上HDの配当金の推移
東京海上HDは、減配することなく増配を続けてきました。2019年は大きく配当金を伸ばしました。
2011年:50円
2012年:50円
2013年:55円
2014年:70円
2015年:95円
2016年:110円
2017年:140円
2018年:160円
2019年:250円
2020年:225円(予想)
東京海上HDはずっと増配を続けてきています。
1株当たりの配当金は、10年前と比べ、5倍以上になっています。
今年の配当金は、過去最高の一株あたり225円の予想です。
業績が好調であるが故ですね。
東京海上HDの配当権利確定日は「3月末と9月末」です。
つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「6月末と12月末」となります。
東京海上HDの配当性向は!?
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
東京海上HDは、当期純利益の41.3%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2011年:55.48%
2012年:638.94
2013年:31.07%
2014年:23.96%
2015年:24.81%
2016年:31.87%
2017年:34.45%
2018年:40.11%
2019年:62.87%
2020年:41.3%
配当性向は、やや上昇傾向にあります。
2015年あたりからは配当性向は上昇傾向にあります。
今年の配当性向は、40%程度であり、標準的な水準であると言えます。
配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。
一般的に配当性向30%程度の企業が多いため、一般的な数値といえるでしょう。
配当の余力はまだあると言えます。
東京海上HDは海外事業が鍵!
2019年は、過去最大規模だった前年同期に比べ自然災害の被害が縮小し、増益となりました。保険金支払いが減った影響が大きく出ました。
日本では自然災害の保険金支払いが18年度は過去最大に上りました。
東京海上HDとしては、高まるリスクに対応するため、異なる事業形態、異なる地域から収益を得る仕組みを作り、分散を効かせる必要があります。
東京海上HDは買収巧者といわれ、これまでの買収先企業も経営が安定しています。
18年度にもタイ損保のセイフティ・インシュアランスを買収。同年9月には、南アフリカ大手の保険会社2社への出資も発表しました。
東京海上HDは、さらなるM&Aにも意欲を示めしています。
海外事業で欧米の比重が高まっており、「アジア新興国でもM&Aの機会があれば意欲的に行っていく構えです。
日本国内は主力の自動車保険や火災保険で先細りが予想されます。
東京海上は国内市場の縮小を補い、事業のリスクを分散する目的で大型買収を繰り返してきました。
海外景気の変調や地政学リスクが高まるなか、買収した子会社の運営が今後の収益を左右するといえます。
まとめ
東京海上HDの当期純利益は、順調に増加しています。
配当金も増配を続けており、株主還元も進めています。
配当利回りは、4.97%と業績好調な高配当銘柄です。
海外事業への出資を積極的に進めており、国内事業の業績ばかりに左右されない、盤石な収益体制を構築しています。
国内事業と海外事業の割合はほぼ半分であり、リスク分散もしっかりとなされている企業です。
業績もよく高配当である東京海上HDは、割安なうちにぜひ買いたい優良銘柄といえます。