総合化学で国内首位の三菱ケミカルホールディングス。
三菱ケミカルホールディングスは、三菱ケミカルと田辺三菱製薬、大陽日酸が傘下にあります。
三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂が合併した三菱ケミカルが中核です。
配当利回りは3.8%と高配当銘柄です。
三菱ケミカルHDは、最近までPER5倍かつ配当利回り6%超と割安超高配当銘柄でした。
しかし、昨今は業績が悪化しており、減配続きとなっています。
今回は、三菱ケミカルHDについてご紹介していきます。
- 三菱ケミカルHDの株価状況
- 三菱ケミカルHDの財務状況
- 三菱ケミカルHDの株価推移
- 三菱ケミカルHDの事業内容
- 三菱ケミカルHDの当期利益の推移
- 三菱ケミカルの配当金の推移
- 三菱ケミカルHDの配当性向は80%台!?
- 三菱ケミカルHDの今後の見通し
- まとめ
三菱ケミカルHDの株価状況
株価
625.4(2020/6/28 15:00)
年初来高値
833.9(2020/2/6)
年初来安値
546.9(2020/3/13)
最高値(過去10年)
1,319.5(2018/1/9)
最安値(過去10年)
275.0(2012/10/11)(2012/10/15)
PER:18.00倍
PBR:0.75倍
配当金(会社予想):24円
配当利回り:3.84%
配当性向(予想):84.0%
配当権利確定日:2020年9月28日、2021年3月29日
自己資本比率:25.7%
ROE:4.6%
ROA:1.1%
EPS:34.5円
三菱ケミカルHDの財務状況
自己資本比率:25.7%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
三菱ケミカルの自己資本比率は、25.7%です。
自己資本比率のやや低めです。
ROE:4.6%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
三菱ケミカルは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが4.6%となっています。
ROEが10%以下なので、自己資本利益率は低めです。
ROA:1.1%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
三菱ケミカルのROAが1.1%であり、総資産利益率はもう一歩です。
EPS:34.5円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は三菱ケミカルHDのEPSの推移を表したグラフです。
2015年:40.25円
2016年:32.5円
2017年:106.7円
2018年:147.1円
2019年:119.4円
2020年:38.1円
2021年:34.5円(会社予想)
EPSは、2018年までは順調に上昇していましたか、2019年、2020年と続けて下落しています。
2021年も新型コロナウィルスの影響でさらなる下落が懸念されます。
PER:18.00倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の三菱ケミカルのPERは18.0倍やや割高水準となっています。
PBR:0.75倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、0.75倍となっており、1倍を下回っていることから、割安だといえます。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
三菱ケミカルHDの株価推移
10年チャート
出所)(株)三菱ケミカルホールディングス【4188】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
10年チャートを見てみると、 2016年半ばから反発して上昇トレンドとなり、2017年の終わりまで上昇しています。
しかし、その後は下落トレンドとなり、再び2016年半ばの値を目指す可能性があります。
1年チャート
出所)(株)三菱ケミカルホールディングス【4188】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響で株価が200円下げて、800円から600円になっています。
一旦は反発して、700円に迫る勢いを見せたものの、再度下落して600円付近で推移しています。
三菱ケミカルHDの事業内容
三菱ケミカルホールディングスグループは、「機能商品」「素材」「ヘルスケア」の3分野で事業を展開しています。
三菱ケミカルHDの当期利益の推移
2018年に最高益である、当期純利益2,117億円を突破しました。
2018年までは順調に上昇を続けていましたが、2019年、2020年は減益となっています。
2011年:835億円
2012年:354億円
2013年:185億円
2014年:322億円
2015年:608億円
2016年:531億円
2017年:1,562億円
2018年:2,117億円
2019年:1,695億円
2020年:540億円
2021年:490億円(会社予想)
2018年までは業績好調であり、2013年から2018年の5年で利益を10倍以上伸ばしました。
しかし、2019年、2020年と減益が続いており、特に2020年は多く減少しました。
当初の2020年の会社予想では、810億円となっていましたが、そこから大幅な下方修正となっています。
さらに2021年も減益となる見込みであり、厳しい経営が続きそうです。
現在の業績は2016年の値と同水準となっています。
三菱ケミカルの配当金の推移
三菱ケミカルHDは、2011年から2019年の約10年の間、減配することなく増配を続けてきました。しかし、現在は減配傾向にあります。
2011年:10円
2012年:10円
2013年:12円
2014年:12円
2015年:13円
2016年:15円
2017年:20円
2018年:32円
2019年:40円
2020年:32円
2021年:24円(予想)
2019年には1株当たりの配当金は、10年前と比べ、4倍となりましたが、その後は業績不振により減配が続いています。
2021年の配当金は、一株あたり24円の予想であり、2020年からさらに減配となる見込みです。
以前は割安高配当銘柄でしたが支払われる配当金が少なくなり配当利回りも6%超から3.8%と下落しています。
業績は2016年と同水準ですが、配当は2016年の約2倍となっていることから、今後はさらなる減配が予想されます。
三菱ケミカルHDの配当権利確定日は「2020年9月28日と2021年3月29日」です。
三菱ケミカルHDの配当性向は80%台!?
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
三菱ケミカルHDは、当期純利益の80%を配当金として株主に分配するしているということです。
2011年:14.8%
2012年:41.59%
2013年:87.31%
2014年:54.89%
2015年:28.98%
2016年:39.93%
2017年:15%
2018年:18.35%
2019年:31.18%
2020年:84.0%
ここ数年の配当性向は、30%付近と標準的な値でした。
2019年までの配当性向は、30%程度であり、標準的な水準であると言えます。
ただし、2020年は配当性向が80%を上回っており、高めの値となっています。
やや配当過多となってきています。
配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。
三菱ケミカルHDの今後の見通し
三菱ケミカルHDのここ最近の業績とこれからの見通しについて見ていきます。
2019年は、高騰のMMA市況が急落しました。
MMAとは、業界で「プラスチックの女王」といわれるアクリル樹脂の“素(もと)”となる原料のことです。
これにより、三菱ケミカルHDが強みとしていた分野での売り上げが急激に下がりました。
また、田辺三菱製薬のライセンスも収入減少しました。
大きくこの2点が響き減益となりました。
2020年はMMA、汎用石化品が厳しい状態です。
また、医薬で低迷が続いていおり、さらなる減益となっています。
機能材料も中国で新型肺炎や世界的な自動車産業減速の逆風が続いています。
炭素繊維複合材など自動車関連素材や次世代通信規格「5G」の普及をにらんだ情報電子材料の生産拡大で高付加価値品に重点を置いた構造改革を進めています。
しかし、新型肺炎の感染拡大による悪影響がどれほど拡大するか先行き不透明な状況が続いているため、株価はしばらく低迷することが予想されます。
まとめ
三菱ケミカルの当期純利益は、2019年、2020年と減少しており、2020年は大幅な減益となっています。
このまま減益が続けば、さらなる減配の可能性も出てきます。
配当利回りは、以前は6%超と高配当でしたが、現在は3.8%まで落ちてきています。
そして、当面は減益が見込まれることから、今すぐ買いとは言えない状況です。
現在の業績は2016年と同水準ですが、株価は2016年よりも100円程度高く、また配当金も約2倍となっていることから、今後はさらなる株価の下落と減配の可能性があります。