世界的ハンバーガーチェーンのマクドナルド。その日本法人が日本マクドナルドHDです。
日本の外食産業の規模は、15兆4,980億円です。そのうちマクドナルドは5,242億円と一つの企業で3.3%以上も占めているのです。
日本マクドナルドHDは、自己資本比率が高く借金が非常に少ない企業です。
そのため、2014年と2015年の赤字が劇的なV字回復も果たし、なんと2年後の2017年には過去最高益を更新したました。
厳しいコロナウィルスの状況下でも過去を上回る売上を叩き出しています。
事業投資に使えるお金がたくさんあったため、店舗改装や、単価の高い新メニューの開発や仕入れを行うことができたのです。
窮地に強く、ピンチをチャンスに変える本当に強い企業の姿を体現しています。
収益性も高く超優良企業だといえます。
今回は、超優良企業である、日本マクドナルドHDついてご紹介していきます。
- 日本マクドナルドの株価状況
- 日本マクドナルドの財務状況
- 日本マクドナルドの株価推移
- 日本マクドナルドの事業内容
- 日本マクドナルドの当期利益の推移
- 日本マクドナルドの配当金の推移
- 日本マクドナルドの配当性向の推移
- 日本マクドナルドHDの株主優待
- 日本マクドナルドの業績と今後について
- まとめ
日本マクドナルドの株価状況
株価(2020/5/29 15:00)
5,730
年初来高値
5,760.0(2020/5/26)
年初来安値
4,290.0(2020/3/13)
最高値(過去10年)
6,030.0(2018/6/18)
最安値(過去10年)
1,688.0(2011/3/14)
PER:41.49倍
PBR:4.73倍
配当金:34円
配当利回り:0.58%
配当性向(会社予想):22.9%
配当権利付き最終日:2020年12月28日
自己資本比率:76.4%
利益剰余金:972億円
有利子負債:5億円
ROE:10.6%
ROA:8.1%
EPS:74.6円
日本マクドナルドの財務状況
自己資本比率:76.4%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
日本マクドナルドHDの自己資本比率は、76.4%です。まずつぶれない企業といえるでしょう。
中国の工場で期限切れの鶏肉の使用問題が発覚し、2014年、2015年は営業損失赤字に転落し、14年~15年の損失は567億円となりました。
しかし、その後V字回復を果たし2016年には黒字化、2017年には過去最高を更新しました。
日本マクドナルドHDが、大幅な赤字に転落しながらも不死鳥の如くV字回復を果たすことができた理由に、この自己資本比率の高さがあります。
日本マクドナルドHDは、借金が非常に少ない企業なのです。
2014年の問題が発覚した当時の自己資本比率は80%を超えていました。
事業投資に使えるお金がたくさんあったため、店舗改装や、単価の高い新メニューの開発や仕入れを行うことができたのです。
ROE:10.6%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
日本マクドナルドHDは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが10.6%となっています。
10%超と高い収益性を誇っており優良企業といえます。
ROA:8.1%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
日本マクドナルドHDのROAは8.1%であり、高水準です。
EPS:136.9円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は日本マクドナルドHDのEPSの推移を表したグラフです。
2014年:-164.3円
2015年:-262.9円
2016年:40.4円
2017年:180.7円
2018年:165.0円
2019年:127.0円
2020年:136.9円(会社予想)
EPSは2017年から概ね横ばい状態です。
中国の工場で期限切れの鶏肉の使用問題が発覚し、2014年と2015年は赤字となりマイナスでした。
その後2016年にはV字回復を果たし黒字を維持し続けています。
PER:41.49倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われています。
日本マクドナルドHDのPERは41.49倍であることから、割高水準です。
逆にそれだけ人気のある銘柄とも取れます。
PBR:4.73倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
日本マクドナルドHDのPBRは、4.73倍となっており割高水準です。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
日本マクドナルドの株価推移
10年チャート
出所)日本マクドナルドホールディングス(株)【2702】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)日本マクドナルドホールディングス(株)【2702】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
日本マクドナルドHDの株価は2017年から大き上昇しています。
純利益が前年比400%以上を記録したことが大きいでしょう。
新型コロナウィルスの影響により1,000円以上下落しましたが、その後大きく反発しており、現在はコロナショック前の株価を超えています。
緊急事態宣言の状況下でもテイクアウトや宅配サービスを中心に売上を伸ばしていました。
現在、5,700円台で推移しており5月26日には年初来高値を更新しました。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全面解除され、営業活動の正常化に向けた期待感から買いが先行しています。
株価は上昇トレンドとなっています。
現在は、やや割高水準なので5,500円を割ったときに購入を検討したところです。
日本マクドナルドの事業内容
マクドナルドは世界100ヵ国以上で36,000店以上の店舗を展開する、グローバルレストランカンパニーです。
日本では1971年に銀座に1号店をオープンして以降、アメリカ生まれで日本育ちのハンバーガーレストランチェーンとして成長してきました。直営方式による店舗運営とともにフランチャイズ方式による店舗展開を行い、現在は全国に約2,900店舗を運営しています。年間延べ13億人のお客様にご利用いただいている、日本の外食産業のリーディングカンパニーです。店舗マネジメントシステム
マクドナルドには創業者のレイ・クロックが掲げたQSC&V(Quality品質,Serviceサービス,Cleanliness清潔さ,Value価値)でお客様のご期待にお応えするという理念があります。
出来立てのあたたかくておいしい商品を最高のサービスでご提供し、清潔で明るい環境でお召し上がりいただき、お客様のご期待を超える店舗体験をご提供するために、日々QSC&Vの向上に努めております。そしてそれを実現するために全世界共通の店舗マネジメントシステムがあります。安全・品質・衛生管理
マクドナルドでは、安全な商品をご提供するための「フードセーフティ」、そして安全かつ最高のおいしさと品質の商品をご提供するための「フードクオリティ」を高いレベルで実現し続けるための「食品管理システム」を構築して、安全・品質・衛生を管理しています。生産地から店舗までの各プロセスごとに適切な基準を設定し、常に最適な管理と運用を図っています。サプライチェーン
全世界で36,000店以上を展開するスケールメリットを活かし、最高の品質の原材料を安価に安定的に調達するサプライチェーン体制を構築しています。これにより、おいしい商品をお手ごろな価格でお客様にご提供することを実現しています。人材育成
社内教育機関であるハンバーガー大学での授業や店舗でのOJT等を通じて、全国約14万人のクルーに対するトレーニングを行っています。
最高のQSC をご提供するための人材育成のノウハウが、マクドナルド最大の強みであります。
日本マクドナルドの当期利益の推移
当期純利益は、2017年以降、概ね横ばい傾向にあります。
2017年に最高値を更新しました。
2011年:132億円
2012年:128億円
2013年:51億円
2014年:-218億円
2015年:-349億円
2016年:53億円
2017年:240億円
2018年:219億円
2019年:168億円
2020年:182億円(会社予想)
中国の工場で期限切れの鶏肉の使用問題が発覚し、2014年、2015年は赤字を計上しました。
しかし、その後V字回復を果たしました。
2017年には最高値である240億円となりました。
成長企業とは言い難いものの業績は決して悪くはありません。
日本マクドナルドの配当金の推移
2013年:30円
2014年:30円
2015年:30円
2016年:30円
2017年:30円
2018年:30円
2019年:33円
2020年:33円(会社予想)
日本マクドナルドHDの配当金は、赤字に転落したとしも減配することなく30円台を維持し続けています。
赤字でも減配しなくて済んだ理由に自己資本比率の高さがあります。日本マクドナルドHDは借金が非常に少ない企業だといえます。
2019年には増配を行い、2020年も昨年と同じ1株あたり33円となっています。
配当利回りは0.58%となっており、配当利回りはそれほど高くないようです。
ニトリHDの配当権利付き最終日は2020年12月28日です。
日本マクドナルドの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
2020年、日本マクドナルドは、当期純利益の24.10%を配当金として株主に分配する予定です。
2013年:77.63%
2014年:赤字
2015年:赤字
2016年:74.33%
2017年:16.60%
2018年:18.18%
2019年:25.98%
2020年:24.10%(会社予想)
ニトリHDの配当性向は、ここ数年、20%前後を維持しており非常に健全な配当を行なっているといえます。
配当金の支払いには十分余裕がありそうです。
配当金に重きをおいている方にはもう少し増配をしてほしいところかもしれません。
配当性向が高く、企業が稼いだお金から過度に株主に還元している場合、会社を成長させるための原動力となる研究開発に資金を十分回すことができなくなってしまいます。
しかし、日本マクドナルドHDは配当性向が低い分、企業が稼いだお金を設備投資や研究開発に使い将来への投資を行なっているとも取れます。
そのため、店舗改装や続々と単価の高い新メニューの開発や仕入れを行うことができるのです。
日本マクドナルドHDの株主優待
マクドナルドの株価優待は、優待食事券です。
バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの商品引換券が6枚ずつで1冊
株主優待対象基準
権利付き最終日は、2020年6月26日と12月28日です。
株主優待券を獲得するためには、この期日に日本マクドナルドHDの株を保有している必要があります。
100~299株 | 保有株主様:優待食事券1冊 |
---|---|
300~499株 | 保有株主様:優待食事券3冊 |
500株以上 |
保有株主様:優待食事券5冊 |
株主ご優待券のご利用について
日本国内のマクドナルド店舗でご利用いただけます。 (一部ご利用いただけない店舗もございます。)マックデリバリーサービスではご利用いただけません。シートは切り離して1枚ずつご利用いただけます。バーガー類お引換券は、バリューセットのメインにお選びいただける商品(期間限定商品、朝マック商品(朝マック時間帯のみ)を含む)いずれかおひとつとお引換えいただけます。 (一部の商品ではご利用になれない場合がございます。)サイドメニューお引換券は、バリューセットのサイドにお選びいただける商品(期間限定商品、朝マック商品(朝マック時間帯のみ)を含む)いずれかおひとつとお引換えいただけます。 (一部の商品ではご利用になれない場合がございます。)ドリンクお引換券は、バリューセットのドリンクにお選びいただける商品いずれかおひとつとお引換えいただけます。サイズのある商品はS・M・Lの中からお選びいただけます。 (一部の商品ではご利用になれない場合がございます。)マックシェイク・マックフロートは、販売時間(10:30~翌1:00)のみお引換えいただけます。バーガー類お引換券、サイドメニューお引換券およびドリンクお引換券を同時にご利用いただいた場合に限り、ハッピーセットとお引換えいただくこともできます。バーガー類お引換券、サイドメニューお引換券を同時にご利用いただいた場合に限り、「ビッグブレックファスト」、「ビッグブレックファスト デラックス」のいずれかおひとつとお引換えいただくこともできます。有効期限は、株主ご優待券の表面に記載しております。出所)
日本マクドナルドの業績と今後について
日本マクドナルドホールディングスは5月12日、9年ぶりの営業最高益となる2020年12月期の業績予想を維持すると発表しています。
新型コロナウイルスのまん延で店内飲食を中止していましたが、ドライブスルーなど持ち帰り需要が大きく伸びているようです。
コロナの影響は限定的とみた投資家の買いが入り、5月26日には年初来高値となりました。
4月の既存店売上高は前年同月比6.5%増だった模様です。
外出自粛や平日の在宅勤務が広がり、ドライブスルーや宅配サービスでマクドナルドを利用する人が増加しています。
家族分のまとめ買いが増え、同月の客単価は31%増と過去最高の伸び率とのこと。
5月12日に発表した20年1~3月期の連結決算は、売上高が前年同期比5%増の722億円でした。
直営店とフランチャイズ店を合計した全店売上高は6%増の1418億円。
夕食需要の取り込みを狙った新商品「ごはんバーガー」など食べ応えのある高単価商品が人気を集めています。
しかし営業利益は同8%減の77億円とのこと。
200円以内の「ちょいマック」のテレビCMなど広告宣伝費が増えたほか、直営店の宅配サービスを広げるための費用もかさんだようです。
とはいうものの、通期の営業利益予想に対する進捗率は27%で、同社は「想定通り」としています。
吉野家ホールディングス、ドトール・日レスホールディングスなど外食チェーン大手が相次ぎ業績予想を未定とする中で、日本マクドナルドHDの強気の業績予想を維持しているだけあり、足元の既存店売上高は堅調に推移しています。
既存店舗の改良や新しい商品を次々と生み出し続ける日本マクドナルドHD。
今後も業績の伸びが期待されます。
まとめ
日本マクドナルドHDは、自己資本比率が高く借金が非常に少ない企業です。
純資産も多分にあることから、研究開発費や設備投資を積極的に行えるお金があります。
そのため、2014年と2015年の赤字が劇的なV字回復も果たし、なんと2年後の2017年には過去最高益を更新したました。
厳しいコロナウィルスの状況下でも過去を上回る売上を叩き出しています。
窮地に強く、ピンチをチャンスに変える本当に強い企業の姿を体現しています。
収益性も高く超優良企業だといえます。
自己資本比率70%超と高く、また収益性を示すROE、ROAともに高い超優良企業だといえることから、株価が下がれば購入を検討したい企業です。
現在は、やや割高水準なので5,500円を割ったときに購入を検討したところです。