新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、株式市場は不安定な動きを続けています。
「日本版・恐怖指数」と呼ばれるVNKY(日経平均ボラティリティ指数)は、「東日本大震災」以来の水準に上昇しました。
東日本大震災では、「放射能汚染の拡大」が不安材料とされましたが、今回は新型ウイルスというまたも見えない敵が相手です。
世界の株式市場が波乱相場となるなか、国内株式も総崩れとなり、個別銘柄には株価が過度に下落している印象が強いものも増加しています。
そんな中、割安といえる段階まで株価が下落した優良銘柄も多数あります。
今回の急激な株価下落を受け、配当利回りを上昇させた銘柄も多くあります。
そこで今回は、割安銘柄を判断する指標と、今がお買い得な割安高配当銘柄についてご紹介していきたいと思います。
割安度を判断する指標!PERとは?
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つです。
株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表しています。
PERは以下の数式で求められます。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高であると判断することができます。
PERは、会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に株価の割安度を判断する指標なのです。
一般的にPER15倍以下なら割安と言われています。
割安度を判断する指標!PBRとは?
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。
PBRは、Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)の略であり、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つです。
PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRを求める数式は、以下のようになります。
PBR(倍) = 株価 ÷ 1株当たり総資産
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PERとPBRの違い
PERは短期志向、PBRは長期志向であるといえます。
長期投資をする場合に、PBRで割安と判断された銘柄に投資した結果、運用成績が良かったというデータがあるそうです。
一度買ったら、数年数十年という単位で保有を続ける投資スタイルであれば、PBRが割安の銘柄を選択すると良いでしょう。
PERとPBRの違いは、簡単に言ってしまえば、株価と比較する対象が、利益か純資産です。
利益と純資産の大きな違いからもお分かりのとおり、利益は短期的に見て変動幅が大きくなる可能性がありますが、純資産は短期的には変動幅が小さくなりがちです。
こうしたことから、PBRが長期投資の判断指標として考えられていると言えます。
逆に、短期投資をする場合、PERを参考にした方が良いでしょう。
一つの投資指標が万能なことはあり得ません。
複数の投資指標を組み合わせながら、投資対象を選定していくことをおすすめします。
PBRで選ぶ優良割安銘柄!
米国を中心に世界株式が波乱相場となるなか、国内株式も総崩れとなり、個別銘柄には株価が過度に下落している印象が強いものも増加しています。
割安といえる状況まで株価が下落した優良銘柄も多数あるわけです。
今回の急激な株価下落を受け、配当利回りを上昇させた銘柄も多くあります。
そこで、東証第1部上場銘柄で時価総額が比較的大きい「主力大型株」の中から、予想配当利回りが著しく上昇した銘柄群」に目をつけました。
TOPIX100指数(東証1部上場の時価総額上位100社)構成銘柄を対象とします。
図に示した13銘柄は、TOPIX100指数を構成する100銘柄の中から以下の2つの条件で、楽天証券のスーパースクリーナーにより抽出したデータです。
①今期(主に2020年3月期)の予想配当利回りが3%を上回る
②予想配当利回り変化率(20日前)が0%以上
③PBRが1.0倍未満の銘柄
TOPIX100指数を構成するこれら銘柄は、国内市場のなかで各業種(セクター)の主力大型銘柄であり、「日本株式会社」を象徴する銘柄群とも言えるでしょう。
割安高配当利回り株ランキング(PBR1倍以下)
※予想配当金(円)は1株当り(市場予想平均)
出所)国内株式 | 楽天証券スーパースクリーナーより(2020/4/09)
今回の株価急落に巻き込まれた主力大型株のなかには、皆さんがよく知る銘柄が多数あります。
例えば、キャノン、三井住友FG、住友商事、三菱UFJFG、三菱商事、SUBARU、小松製作所などです。
これらはPBRで1倍を大きく割り込んでいます。
一般的にPBRは1倍以下になると割安株と言われています。
経営実績や長期的な視点による将来性から判断しても割安といえる銘柄が多く含まれています。
将来の減配リスクを織り込んだ可能性も精査する必要はありますが、上記銘柄群が減配を続ける可能性は低く、会社が解散(経営破綻)に追い込まれる事態も考えにくい状況です。
中でもおすすめなのが、三菱UFGFG、三菱商事、小松製作所です。
世界各国が金融緩和を行っており、金利はどんどん下がってきています。
先進国はもちろんのこと、高金利と言われていた新興国までも金利が低水準となっています。
こうした状況を踏まえ、配当利回りが5%を超える主力大型株は、今回の混乱が落ち着けば、見直される可能性が高いと考えています。