カテーテル(医療用細管)治療機器で国内シェアNo.1の朝日インテック。
朝日インテックの当期純利益は、7年連続で過去最高を更新しています。
心臓治療などで使うカテーテル(医療用細管)の販売を海外で伸ばしグローバル展開を積極的に行っている企業です。
昨年には、ロシアとオランダに新たな販売拠点を創設しました。
海外市場の開拓を加速させることで成長し続けています。
朝日インテックの魅力は、財務状況の良さ、収益率の高さ、業績の良さと優良銘柄の条件がしっかりとそろっている点です。
また、海外に販路を拡大させており、今後も成長が期待できることから将来性も抜群です。
今回は、そんな超優良銘柄、朝日インテックについてご紹介します。
- 朝日インテックの株価状況
- 朝日インテックの財務状況
- 朝日インテックの株価推移
- 朝日インテックの事業内容
- 朝日インテックの当期利益の推移
- 朝日インテックの配当金の推移
- 朝日インテックの配当性向の推移
- 朝日インテックの今後の見通し
- まとめ
朝日インテックの株価状況
株価(4/30 15:00)
2,863
年初来高値
3,300.0 (2020/1/14)
年初来安値
2,270.0 (2020/3/17)
最高値(過去10年)
3,300.0 (2020/1/14)
最安値(過去10年)
84.5(2011/3/14)
PER:66.76倍
PBR:11.50倍
配当金(会社予想):110円
配当利回り:0.39%
配当性向(会社予想):25%
配当権利付き最終日:6月26日
自己資本比率:78.5%
ROE:18.9%
ROA:13.3%
EPS:43.4円
朝日インテックの財務状況
自己資本比率:78.5%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
朝日インテックの自己資本比率は、78.5%であり、健全経営をしており倒産のリスクはかなり低めです。
まずつぶれない企業と言えるでしょう。
ROE:18.9%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
朝日インテックは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが18.9%となっています。
ROEが10%を大きく上回っていることから、かなり収益性の高い企業と言えるでしょう。
ROA:13.3%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
朝日インテックのROAは、13.3%であり、総資産利益率もかなりの高水準であり、収益性が高い企業だと言えます。
EPS:43.4円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は朝日インテックのEPSの推移を表したグラフです。
2016年:22.7円
2016年:27.3円
2017年:30.4円
2018年:38.9円
2019年:43.3円
2020年:43.4円
EPSも順調に上昇を続けており、過去最高を更新し続けてきました。
業績は、かなり好調であり超優良銘柄と言えるでしょう。
PER:66.7倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の朝日インテックのPERは66.7倍で割高水準です。
ただし、業界的にPERは高めの水準で推移していることを考えると、それほど割高とも言えないでしょう。
PBR:11.5倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PBRは、11.5倍となっており、1倍を大きく上回っていることから割高水準です。
ただし、PER同様、業界的にPERは高めの水準で推移していることを考えると、それほど割高とも言えないでしょう。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
朝日インテックの株価推移
10年チャート
出所)朝日インテック(株)【7747】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)朝日インテック(株)【7747】:株式/株価 - Yahoo!ファイナンス
新型コロナウィルスの影響で株価は、一時1,000円近く下げ、2,500円台を割りました。
ただし、その後は反発し3,000円に迫る勢いです。
現在、2,800円台で推移してます。
3,000円を割っている今が買い時かもしれません。
朝日インテックの事業内容
日本は医療先進国と思われていませんか?
ところが実際には、医療現場で使用される医療機器や医薬品は、その多くを欧米の製品に頼っているのが実情です。
こうしたなか、独自技術の結晶「ガイドワイヤー」を中心としたカテーテル治療用の医療機器によって世界中の医療関係者から注目を集めているのが朝日インテックです。
カテーテル治療という言葉はよく耳にしますが、どんな治療なのでしょう?
世界で高い評価を得ているガイドワイヤーとはどんな製品なのか?そして、この製品を生み出す朝日インテックの競争力の源泉とは。
朝日インテックの事業や強み、成長戦略についてわかりやすく解説していきます。
医療機器分野や産業機器分野で使われる、さまざまなワイヤー製品。
ひと口にワイヤーと言ってもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
でも、表だってはわからないけれど、様々な医療機器から、自動車やエアコン、OA機器、建築や漁業の分野に至るまで、私たちの身の回りの多くの製品には、ワイヤー製品が使われています。
そのなかでも、「ガイドワイヤー」をはじめ、「ガイディングカテーテル」、「バルーンカテーテル」といった、カテーテル治療に不可欠な医療機器を主力として開発・製造・販売を行っているのが朝日インテックです。
カテーテル治療に使われる製品には、直径わずか0.35mmという細さのものも。
朝日インテックは、医療機器分野における卓越した開発力と製造技術で、日本国内のみならず、世界でも高いシェアを誇っています。
そもそも、朝日インテックの製品が活躍するカテーテル治療とはどういう治療法なのでしょうか。
カテーテル治療とは、狭心症や心筋梗塞など、心臓の血管(冠動脈)がコレステロールなどによって詰まったり、狭くなることで起きる疾患に対する治療法のひとつです。
従来は、投薬による薬物治療か、症状が重い場合は開胸して大がかりな外科手術となる冠動脈バイパス術が一般的でした。
これに対し、近年著しい進歩を遂げているのがカテーテル治療。手首や足の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、狭くなった血管を広げる治療法です。
開胸することなく治療が行えることで、患者さまにとってより痛みが少なく(低侵襲)、入院日数が短縮されて早期の社会復帰が可能となるなど経済的負担も軽いことから、冠動脈疾患治療の主流となっています。
この治療に使われる製品が、ガイドワイヤー、ガイディングカテーテル、バルーンカテーテルの3製品です。
朝日インテックはカテーテル治療に不可欠なこれらの製品の開発・製造・販売を行うことにより、近年ますます拡大している低侵襲治療の普及に貢献しています。
カテーテル分野は、低侵襲治療の広がりによって大きく拡大し続けている市場です。
朝日インテックの主力製品であるガイドワイヤーは、現在世界108の国と地域で展開しており、BRICsを中心とした新興国の経済発展により、これらの地域におけるカテーテル治療の症例数も大きく増加しつつあります。朝日インテックは、こうした時代の流れに的確に対応し、成長市場が求める医療に不可欠な製品を供給していくことによって、グローバル規模での持続的な成長を目指しています。
これまでに培ってきた極細ステンレスロープの技術に加え、現場の医師たちの声を地道に吸い上げ、素材レベルにまで立ち返って何度も試行錯誤を繰り返す迅速かつきめ細かな試作対応力、そして、なんとしてもこの難病を治療できる製品を作りたいという職人魂により、1995年、ついに日本で初めてCTO治療用PTCAガイドワイヤーの開発に成功したのです。
その後、この医師らによる学会での治療成功症例の報告や海外での活躍により、朝日インテックの製品と技術は世界中で知られるようになっていきました。
部品を外注し、アセンブリ(組み立て)を行う他の医療機器メーカーとは異なり、朝日インテックの素材から製品までの一貫生産体制、そして創業以来変わることのない現場主義というDNAが、他社には真似のできない「スピード」と「試作対応力」を実現しているのです。
医療機器分野への進出前夜、産業機械用のステンレスロープをはじめとする工業製品は、円高の進行により大幅なコストダウンを要求されるなど、厳しい状況に置かれていました。
こうした状況に対応するため、朝日インテックも生産拠点を海外(タイ)に移します。同時に、生き残るためにも、これまでとは違った高付加価値なものづくりが必要とされていました。
この時代の閉塞感のなかで、朝日インテックは、これらの条件を満たす事業として、医療機器分野に挑戦することを決断したのです。
現在朝日インテックは、タイ、ベトナム、フィリピンに生産拠点を構えています。日本の拠点は研究開発・試作に特化し、海外の工場を量産の拠点とすることにより、コスト競争力を強化するとともに、研究開発に多くの経営資源を投入することを可能にしています。
日進月歩の医療業界において、朝日インテックは将来を見越した研究開発をさらに強化し、より優れた製品を継続的に生み出すことのできる「研究開発型企業」として、技術の最先端を走り続けています。
朝日インテックでは現在、循環器系領域の製品が主力ですが、対象患部領域を末梢(下肢)、腹部、脳血管などの循環器以外にも拡大してきています。
これらの製品のなかには、すでに国内で大きなシェアを獲得し、世界で高い評価を得るものも年々増えています。今後も新しい技術・製品の日本における成功事例を、積極的に海外へと展開していきます。
医療業界のトレンドは、これまで常に欧米が主導してきました。
医療先進国であるように見える日本においても、現場で使用される医療機器や医薬品の多くは、欧米で開発されたものが大半を占めていました。
そのような潮流のなか、朝日インテックは日本で開発したガイドワイヤーを武器に、世界を席巻。
製品の普及によってCTO治療という、新しい市場をも作り出すとともに、より一層の拡大を目指し、まい進しています。
朝日インテックの当期利益の推移
当期純利益は上昇を続けており、毎年最高益を更新しています。
2015年:58億円
2016年:69億円
2017年:77億円
2018年:100億円
2019年:112億円
2020年(予想):113億円
業績はかなり好調です。年々当期純利益を伸ばしています。
2019年は当期純利益112億円と過去最高となりましたが、2020年は新型コロナウィルスの影響から、予想通り最高益を更新できるか怪しい状態です。
朝日インテックの配当金の推移
朝日インテックは、2013年から2019年まで毎年増配を続けてきました。
2013年:5円91銭
2014年:8円50銭
2015年:11円37銭
2016年:15円
2017年:15円20銭
2018年:19円43銭
2019年:21円61銭
2020年:10円87銭(予想)
業績が好調であることから、2019年まで毎年のように増配を続けてきました。
ただし、今年の配当金は、一株あたり10.87円と減配の予想です。
新型コロナの影響が大きいといえます。
朝日インテックの配当権利付き最終日は、2020年6月26日です。
そのため、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「12月末」となります。
朝日インテックの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
JALは、当期純利益の33.7%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2013年:10.23%
2014年:17.22%
2015年:18.7%
2016年:21.1%
2017年:24.56%
2018年:19.52%
2019年:22.35%
2020年:25%
ここ数年の配当性向は、20%から40%と標準的な値で推移してきています。
2020年は配当性向が33.7%を予定していますが、コロナウィルスの影響で配当性向はかなり上昇する模様です。
配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。
まだ配当の余裕はある状態ですが、業績次第では配当性向が50%以上となり、配当過多となる可能性があります。
朝日インテックの今後の見通し
朝日インテックの当期純利益は、7年連続で過去最高を更新しています。
心臓治療などで使うカテーテル(医療用細管)の販売を海外で伸ばしたことが要因です。
朝日インテックは、この分野においては国内で8割弱のシェアを誇り圧倒的No.1です。
以前から海外進出を進めており、グローバル企業に変化しようとしています。
朝日インテックは、2019年12月にロシアで販売子会社を設立しました。
販売を委託している現地の代理店を市場調査などで支援する狙いです。
カテーテル(医療用細管)の挿入を補助する「ガイドワイヤ」の販売増につなげ、現地の医師などの意見を吸い上げ新しい製品の開発にもつなげます。
ロシアの人口は横ばいですが、医療水準の向上に伴いカテーテル治療のできる病院が増えています。
ロシアは、症例数が年2割ほど増えていることから新会社設立に踏み切ったとのこと。
また、フィリピンとタイにも新工場をつくり、中国への輸出を増やしています。
中国市場は年2割ほど伸びていますが、米中摩擦で同業他社の米国製品には高い関税がかかっている状況です。
アジア発の供給ルートで競争力を高め、連結売上高1000億円を掲げる中期目標の達成に弾みを付ける狙いです。
現在、アメリカを中心にガイドワイヤや貫通カテーテルの販売が拡大しています。
アメリカでは、代理店経由から直販への切り替えを進め、採算が改善しました。動脈硬化などで細くなった血管に挿入するカテーテルや、そのルートを確保するガイドワイヤの販売が好調です。
21年6月期も米国が堅調を維持しており、欧州も増益となりました。
ロシアとオランダに販売子会社を設立したことで、旧CIS地域や欧州の市場で利益を伸ばしています。
販社としては米国や中国、ブラジル、ロシア、オランダの5カ国目です。
日本国内のシェアはすでに8割弱と晩酌な体制を気づいていることから、国内は開拓余地があまりありません。
着々とグローバル化を推進しており、さらなる成長が見込まれます。
海外市場の開拓を加速させることで成長を持続させる戦略です。
新型コロナウィルスの影響
中国は新型肺炎でPTCA症例数が一時的に減少の懸念があり、長期化なら業績に影響がたります。
朝日インテックは2020年3月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、同社グループのフィリピン中部セブ州の工場で一時操業をとめると発表しました。
現地の外出禁止令を受けた措置です。
同工場で生産している産業用のワイヤなどはタイなどで代替生産するとのこと。
「5月までの受注に対応できる在庫はある。以降の分についてはタイでの生産が間に合う」としていますが、余談を許さない状況です。
まとめ
朝日インテックの当期純利益は、7年連続で過去最高を更新しています。
EPSも順調に上昇を続けており、毎年増配を続けてきました。
朝日インテックの魅力は、財務状況の良さ、収益率の高さ、業績の良さと優良銘柄の条件がしっかりとそろっている点です。
また、海外に販路を拡大させており、今後も成長が期待できることから将来性も抜群です。
心臓治療などで使うカテーテル(医療用細管)の販売を海外で伸ばしグローバル展開を積極的に行っている企業です。
海外市場の開拓を加速させることで成長し続けています。
ただし、新型コロナウィルスの影響は、朝日インテックにも打撃になっており、業績の悪化が懸念されます。
新型コロナウィルスの影響で株価が下落している現在において、注目したい銘柄です。
景気悪化局面においても、高業績を確保しており、しっかりと収益をもたらす体制が整っています。