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国債の価格と利率の関係とは?なぜ金利が下がると国債価格は上がるのか?

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国債は、国の借金を指します。

国債は、国が発行する債券ですから、満期がきたら、「国が借りたお金の満額と利子をつけて返しますよ」国債に書いてあります。

国が発行したものなので、信用がありますよね。

つまり、元本保証と利子がつく金融商品なのです。

しかし、元本保証といわれている国債の価格が、なぜ上下するのでしょうか。

 今回は、国債の価格と利率についてご紹介します。

 

まずは用語の整理をしましょう。

国債の価値を測るものには、一般に「表面利率」「国債価格」「国債利回り」があります。

 

表面利率とは?

「表面利率」とは、「利率」または「クーポンレート」とも呼ばれ、額面金額に対する1年分の利子がパーセント表示で示されています。

※額面金額とは、債券の券面に書かれている金額のこと。債券を発行、償還する際の取引単位になります。

つまり、国債の発行元である国が決めた金利で、投資家に支払うことを約束した年間の利子率のことです。

いわゆる国債の金利です。

例えば、額面金額100万円につき1年間に2万円の利子が支払われる場合、表面利率(利率、クーポンレート)は2%となります。

国債の表面利率は、その国債が発行された時の市場の実勢により決定され、償還まで変わりません。

新規に発行される国債の表面利率は、市中金利(金融市場で決まる標準的な金利)の動向などを勘案して決められます。

同じ年限(満期までの期間)の国債でも発行時期によって表面利率は変わることになるわけです。

新規発行の国債を購入して満期償還まで保有し続けた場合、表面利率にしたがって毎年一定の金利収入が受け取れるほか、償還時には元本も戻ってきます。

こうしたことから、表面利率とは、新規発行の国債を購入して満期償還まで保有し続けた場合に、毎年どれだけの利子がもらえるかを表しています。

 

国債価格とは?

国債は、持っていても、それを途中で売ることができます。債券は自由に売買できるわけです。

そうすると、そこで値段がまた決まるわけです。

国債は、株式と同様、購入したとしても市場で売却したり、すでに市場で流通しているものを購入することも可能です

こうした市場での取引が、この「国債価格」に基づいて行われるわけです。

国債価格は常に変動しているため、安く買って高く売れば、株式のように売買差益を得ることもできます。

 

国債利回りとは?

「国債利回り」とは、「表面利率による金利収入」+「市場取引による売買差益で計算した年間収益率」を表します。

例えば、国債価格95万円のときに市場から手に入れた、国債を保有していたとします。

この国債の表面利率は1%、額面を100万円だとしましょう。

現在の市場における国債価格は、103万円だったとします。

すると、国債利回りは、約9.47%となります。

求め方は、(「表面利率による金利収入」+「市場取引による売買差益で計算した年間収益率」)÷「購入した当時の国債価格」で表されます。

(103万-95万円+100万×1%)÷95万円=9.47%

 

国債に投資するにあたっては、それがどのような投資形態であろうと、表面利率による金利収入の部分は変わりません。

しかしながら、市場取引を行うと売買差益が発生するため、それに応じて国債利回りは変化することになります。

 

国債の価格と金利の関係

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国債価格と金利(表面利率)は、反比例の関係です。

反比例の関係とは、金利が下がれば国債価格は上がり、金利が上がれば国債価格は下がるというわけです。

金利が下がれば国債価格は上がり、金利が上がれば国債価格は下がる、その仕組みについて簡単に説明します。

たとえば、市場で売買されている国債の価格が、額面以下である来年満期の国債があるとしましょう。

もちろん来年まで持っていて、満期になれば利子がつきます。

ということは、額面以下の値段である現時点よりも、来年の方が値段が高くなります。

今の時点で売ろうとすると、額面より安い値段で売買されてしまうからです。

具体的に考えましょう。

額面が100万円とすると、来年まで持っていれば100万円で売れるものを、現時点でいえば、たとえば95万円で売買されるということです。

それが来年まで持っていれば、100万円で引き取ってもらえるため(国が借金を返済する)、その差額5万円が利子のようなものです。

 

国債を大量に発行し政府の借金が膨らむことで、国の信用が下がったとします。

そうすると、国が破産し借金が返済されないのではないかという不安から、国債保有者は、この国の国債は売った方がいいと考えます。

みんなが売りに出すと、需要と供給の関係で、国債の売買価格が下がります。

たとえば95万円が、93万円になるかもしれません。

しかし、この国債は、額面100万円ですが、満期まで持っていれば100万円になります。

つまり実質的な金利は上がります。

こうした理由で、国債価格が値下がりしたことによって、金利が上昇するのです。

 

国債価格に影響を与える代表的な要因

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国債価格に影響を与える主な要因としては、各国中央銀行の金融政策です。

日本でいえば、日本銀行の金融政策です。

例えば、日本銀行が金融緩和策として利下げを行うと、それらに呼応して民間銀行の貸付金利をはじめとしたあらゆる市中金利も低下します。

国債の金利はおおむね市中金利に連動して決まるため、新規発行される日本国債の表面利率も低下します。

つまり、

日本の政策金利≒市中金利≒国債の表面利率

なのです。

 

日本銀行が金融緩和を行い、金利が大きく低下したとします。

すると、国債の表面利率は下がり、国債価格は上昇します。

つまり、日銀が金融緩和を行うと、国債価格は高くなるのです。

 

日銀は2013年以降、異次元金融緩和の一環として年間80兆円を目標に市場から国債を買い入れてきました。

日銀の金融緩和=日本国債の買い入れなのです。

結果として、現在、市場全体に占める日銀の国債保有シェアは半分以上を占めています。

金融緩和という、日銀による莫大な国債の買い入れにより、需要と供給の関係から日本国債の価格が高くなっているとも考えることができますね。