企業研究

   

【コマツ】優良株だが業績悪化が見込みで株価は伸び悩み

 

 

 

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建設機械で世界2位の小松製作所。

アジアでも幅広く展開しています。売上の87%は海外です。売上高の割合が高いのは、北米で25%を占めています。日本は13%です。中国は7%です。

特にITを活用した付加価値の高い建設機械を製造してきます。基幹部品は日本から調達し、出荷する現地で組み立てを行なっています。

配当利回りは約5%超の高配当銘柄です。

そんな小松製作所は、PERが7倍、PBRが1倍と、いま割安といえる水準です。

今回は、そんな割安高配当銘柄である、についてご紹介していきます。

 

コマツの株価状況

株価

1,974.0(2020/5/1 15:00)

年初来高値

2,020.5(2020/4/17)

年初来安値

1,650.0(2020/4/2)

最高値(過去10年)

4,475.0(2018/1/15)

最安値(過去10年)

1,439.0(2012/10/10)(2012/10/15)

 

PER:7.15倍

PBR:1.01倍

配当金(会社予想):110円

配当利回り:5.66%

配当性向(予想):48.3%

配当権利確定日:3月末、9月末

 

自己資本比率:48.4%

ROE:14.7%

ROA:7.0%

EPS(予想):186.4円

 

コマツの財務状況

自己資本比率:48.4%

自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。

自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。

 自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。

自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。

一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。

自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。

では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。

一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。

40%以上なら倒産しにくい企業といえます。

小松製作所の自己資本比率は、48.4%ですから、倒産しにくい企業であると言えます。

 

ROE:14.7%

ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。

自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。

自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。

 ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。

株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。

小松製作所は、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが14.7%となっています。

ROEが10%以上なので、自己資本利益率は高めです。

 

ROA:7.0%

ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。

ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。

純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。

一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。

ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。

小松製作所のROAが7.0%であり、総資産利益率も高めです。

 

EPS:186.4円

EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。

「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。

EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。

順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。

EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。

順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。

以下は小松製作所のEPSの推移を表したグラフです。

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2015年:161.5円

2012年:124.4円

2013年:141.4円

2014年:183.1円

2015年:161.5円

2016年:145.7円

2017年:120.3円

2018年:208.3円

2019年:271.8円

2020年:186.4円

波がありますが、2018年と2019年で大きく伸びました。

EPSは、2019年までは順調に上昇していましたが、2020年は、下落予想となっています。

予想では、186.4円となっていますが、新型コロナウィルスの影響でさらなる下落が懸念されます。

 

PER:7.15倍

株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。

 

PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)

 

PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。

PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。

PER15倍以下なら割安と言われています。

現在の小松製作所のPERは、7.15倍であることから、割安の状態です。

 

PBR:1.01倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。

 

PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。

 

PBRの目安は1倍以下です。

一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。

PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。

PBRは、1.01倍となっており、ほぼ1倍でやや割安だといえます。

 株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。

toshilife.hatenablog.jp

 

コマツの株価推移

10年チャート

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出所)コマツ【6301】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス

 

1年チャート

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出所)コマツ【6301】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス

2017年末から2018年初に4,000円を上回る上昇となりましたが、その後は下落基調です。

新型コロナウィルスの影響で株価は1,000円近く下げ、2,500円から1,500円まで下落しました。10年前と同じ水準となっています。

その後は反発して、2,000円に迫る動きを見せています。

 

コマツの事業内容

コマツの事業分野は、大きく「建設機械・車両」「リテールファイナンス」「産業機械他」に分けられます。

売上高の約9割を占めるげ建設機械・車両をはじめ、産業機械、物流関連事業などの各分野において「品質と信頼性」を追求し、環境・安全・ICT(情報通信技術)で他の追随を容易に許さない「ダントツ」の性能を誇る商品・サービス・ソリューションの提供を目指しています。

※リテールファイナンス:リースや割賦など、当社製品のお客さま向け金融商品

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 出所)個人投資家の皆さまへ|株主・投資家情報|小松製作所 - 建設機械のコマツ

www.youtube.com

コマツの当期利益の推移

2019年に最高益である、当期純利益2,565億円を突破しました。

しかし、2020年は減益予想となっています。

2011年:1,508億円

2012年:1,670億円

2013年:1,263億円

2014年:1,595億円

2015年:1,540億円

2016年:1,374億円

2017年:1,134億円

2018年:1,964億円

2019年:2,565億円

2020年(予想):1,760億円 

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2017年から2019年までは業績が好調で、当期純利益を2倍以上伸ばしました。

しかし、2020年から若干の減益となり、大幅な減益見通しとなっています。

2020年の1760億円は、新型コロナウィルスの影響を織り込んでいない数字なのでさらなる減益が見込まれ、厳しい状況が続きそうです。

 

コマツの配当金の推移

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小松製作所は、ここ10年以上、減配することなく増配を続けてきました。

2011年:38円

2012年:42円

2013年:48円

2014年:58円

2015年:58円

2016年:58円

2017年:58円

2018年:84円

2019年:110円

2020年:110円(予想)

1株当たりの配当金は、10年前と比べ、3倍になっています。

今年の配当金は、過去最高の一株あたり110円の予想です。

ただし、2020年は大幅な減益を見込んでおり、増配はないでしょう。

小松製作所の配当権利確定日は「3月末と9月末」です。

 つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「6月末と12月末」となります。

 

コマツの配当性向が急上昇

配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。

配当性向は、以下の数式で求められます。

当期純利益÷配当金総額

EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金

小松製作所は、配当性向が約48%となる見込みであることから、当期純利益の48%を配当金として株主に分配する予定です。

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2011年:16.7%

2012年:23.77%

2013年:33.94%

2014年:31.68%

2015年:35.92%

2016年:39.8%

2017年:48.25%

2018年:31.23%

2019年:36.44%

2020年:48.3%

ここ数年の配当性向は、30%~40%付近と標準的な値でした。

2019年までの配当性向は、35%程度であり、標準的な水準であると言えます。

ただし、2020年は配当性向が50%に迫っています。48.3%という数字は新型コロナウィルスの影響を織り込んでいない数字なので、配当性向は、50%を大きく上回ることでしょう。

それでもまだ余裕がある水準であることから、減配は考えにくいですが、今後の状況如何で減配の可能性が出てくるかもしれません。

配当性向とは、企業が1年で稼いだお金のうちどれだけの割合を配当金に当てているか示した値です。

一般的に配当性向30%程度の企業が多いため、少々配当性向が高めとなってきていますが、まだ余裕はあります。

 

コマツの今後の見通し

小松製作所の最近の業績と、これからの見通しについて見ていきます

ここ最近、中国では現地メーカーなどが小型機種で安値で攻勢をかけており、現地でのシェアを下げています。

一方、北米や欧州などは比較的高水準の需要が続いていきており、ミニショベルなどの輸出が堅調で、北米は底堅く推移していきました。

しかし、20年3月期は、石炭価格の下落や中国経済の失速でアジアの建機販売が低迷しました。

堅調な北米市場や間接費の削減などでは補えず減収減益となりました。

主力の建設・鉱山機械は、インドネシアで復調しませんでした。

そして、中国が春節後の需要期に新型コロナウィルスの影響で大打撃となりました。

営業利益は、大幅に減益となり、減少幅を拡大させました。

21年3月期は、日本の国土強靭化政策などによるインフラ投資で、国内では堅調に推移する予定でしたが、新型コロナウィルスで先行きが見通せない状況です。

また、営業利益が高水準であった欧米は息切れ懸念されています。

得意としている、アジアや中国も新型コロナウィルスの影響で厳しい状況です。

新型コロナの影響は3月以降から本格化してきています。

北米、納車、アジアの海外の生産工事は、軒並み操業を休止させています。

操業再開は5月上旬の見込みですが、予定通り操業再開できるか怪しい状況です。

ただし、小松製作所は、部品調達網の混乱などが大きな要因ではないとしています。

需給や為替などに応じて最適な場所で柔軟に生産する「グローバルソーシング」などに取り組んでおり、工場は停止するものの、現時点で出荷への影響を避けられるとみています。

供給サイドは軽傷済みそうですが、問題は需要サイドです。

業績見通し新型コロナの影響額は織り込んでおらず、「重大な影響が見込まれる場合は速やかに開示する」としています。

2月の段階で、中国市場の6トン以上の油圧ショベルの需要は前年同月比で67%減と大幅に減っていました。

経済の下振れで各国政府が公共投資に踏み切る可能が高いですが、そうした効果もいつまで長続きするか分かりません。

業績のさらなる悪化が見込まれるため、株価は横ばいもしくは下落となるでしょう。

 

まとめ

小松製作所は、当期純利益は、2020年に大幅な減益を見込んでいます。

現在は、減配しない予定ですが、今後の業績次第です。

配当利回りは、5%超と高配当であり、価格も割安ですが、当面は減益が見込まれるため、今すぐ買いとは言えない状況です。

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