半導体の検査装置を販売するレーザーテック。
その技術力には定評があります。
中でも半導体マスク欠陥検査装置が柱であり、マスクブランクス検査装置はシェア100%を誇ります。
半導体関連銘柄は、世界経済の減速懸念が強まるなかでも、次世代通信規格「5G」向け投資やテレワークの拡大による通信量の増大、AI技術の進展などを背景に需要が中長期的に拡大が期待されます。
そのため、レーザーテックは今後の成長が期待できる個人的に注目している銘柄です。
レーザーテックの魅力は、高い収益力と財務安定性を兼ねた成長銘柄である点です。
さらに業績も非常に好調であり、2020年は大幅に利益が伸びる予想です。
そのため、配当も毎年増配を続けています。
今回は、いま注目の銘柄である、レーザーテックついてご紹介していきます。
- レーザーテックの株価状況
- レーザーテックの財務状況
- レーザーテックの株価推移
- レーザーテックの事業内容
- レーザーテックの当期利益の推移
- レーザーテックの配当金の推移
- レーザーテックの配当性向の推移
- レーザーテックの業績と今後について
- まとめ
レーザーテックの株価状況
株価(2020/6/3 15:00)
9,330
年初来高値
9,500.0(2020/6/3)
年初来安値
3,905.0(2020/3/13)
最高値(過去10年)
9,330.0(2020/6/1)
最安値(過去10年)
130.5 (2011/7/26)
PER:86.36倍
PBR:24.99倍
配当金:39.5円
配当利回り:0.43%
配当性向:45.6%
配当権利付き最終日:2020年6月26日、2020年12月28日
自己資本比率:62.1%
利益剰余金:1兆1,256億円
有利子負債:5,396億円
ROE:20.42%
ROA:13.46%
EPS:74.6円
レーザーテックの財務状況
自己資本比率:62.1%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
レーザーテックの自己資本比率は、62.%です。
倒産しにくい企業といえるでしょう。
ROE:20.42%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
レーザーテックは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが20.46%となっています。
収益性がかなり高く優良企業だといえます。
ちなみに同業他社である東京エレクトロンは22.6%、アドバンテストは23.1%、SCREENは2.9%であり、業界全体が高い収益性を誇っているといえます。
ROA:13.46%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
レーザーテックのROAは13.46%であり、5%を大きく上回っています。
収益性が高い優良企業です。
ちなみに同業他社である東京エレクトロンは14.5%、アドバンテストは15.0%、SCREENは1.4%です。
EPS:110.89円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下はレーザーテックのEPSの推移を表したグラフです。
2013年:17.1円
2014年:20.9円
2015年:31.3円
2016年:34.2円
2017年:37.7円
2018年:46.3円
2019年:62.9円
2020年:110.89円(会社予想)
EPSは、毎年増加を続けており、過去最高を更新し続けています。
2020年も過去最高となる予想です。
業績が良く、成長性のある優良企業だといえます。
PER:86.36倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われています。
レーザーテックのPERは86.36倍であることからかなり割高水準です。
しかし、IT関連銘柄は人気がありPERは総じて高い傾向にあるため、IT関連銘柄の中では極めて割高とは言えない状況です。
高いPERは人気の現れとも取れます。
ちなみに同業他社である東京エレクトロンは20.76倍、アドバンテストは20.7倍、SCREENは31.9倍であり、同業他社と比べてもレーザーテックは高い値です。
PBR:24.99倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
レーザーテックのPBRは、24.99倍となっておりPER同様割高水準です。
ちなみに同業他社である東京エレクトロンは4.35倍、アドバンテストは4.88倍、SCREENは1.47倍であり、同業他社と比べてもレーザーテックは高い値です。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
レーザーテックの株価推移
10年チャート
出所)レーザーテック(株)【6920】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)レーザーテック(株)【6920】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
長期的な上昇トレンドですが、特に2017年から上昇傾向にあります。
新型コロナウィルスの影響により2,000円近く下落しました。
その後、反発し直近では最高値を更新し続けています。
現在は、9,000台まで上昇しており10,000円に迫る勢いです。
レーザーテックの事業内容
半導体関連装置
フォトマスクや各種ウェハの欠陥検査・測定装置
微細化に加え、新材料・新構造の導入でますます高度化が進む半導体製造プロセスになくてはならない存在となっているのが当社の検査・測定装置です。マスクブランクス検査装置は業界の標準検査装置としての実績を確立しています。主力製品のマスク欠陥検査装置、マスクブランクス検査装置に加え、リソグラフィプロセス検査装置や膜厚ムラ検査装置など各種ウェハ関連の検査・計測装置を豊富に揃えております。
エネルギー・環境関連装置
SiCウェハ、透明ウェハ欠陥検査/レビュー装置
次世代パワー半導体の用途は電力システム(スマートグリッド、次世代送電網)、鉄道、オフィス機器、民生機器など多岐にわたります。パワー半導体の中でも「SiCパワー半導体」は電力損失を数分の一に低減できる省エネ半導体で、今後シリコンに代わる素材として期待されています。SiCウェハ欠陥検査/レビュー装置は従来検出できなかった基板上の各種結晶欠陥やナノサイズの浅い凹みのキズなどの検出を可能とし、量産用にも対応。歩留まり向上に貢献しています。
FPD関連装置
FPDフォトマスクの欠陥検査装置
FPDの技術革新を支える最先端のFPDフォトマスク検査装置を提供しています。レーザーテックのFPDフォトマスク検査装置は業界の標準検査装置としての地位を確立しています。FPDフォトマスクのパターンの微細化に対応した検出性能の向上で、フォトマスクの品質改善に大きく寄与しています。
レーザー顕微鏡
ハイブリッドレーザーマイクロスコープ
様々な材料や部品の観察と分析に威力を発揮、研究開発現場を支えています。
出所)個人投資家のみなさまへ|株主・投資家のみなさま|レーザーテック株式会社
半導体材料、透明膜、コーティング材料、無機/有機材料、各種バイオ系試料、金属部品、プラスチック加工部品など、幅広い産業分野における研究開発、品質管理に活用されています。
最新モデルOPTELICS HYBRIDは、カラーコンフォーカル光学系と波長405nmのレーザー光の2つの光学系を1台に搭載した最新モデルです。カラーコンフォーカル光学系の特長である高精細フルカラー・広視野画像と、レーザー光の特長である高倍率/高分解能という機能を1台に集約し、あらゆる観察・測定領域を網羅しています。
レーザーテックの当期利益の推移
当期純利益は、毎年増加をしています。
直近2020年6月期も過去最高益を更新する予定です。
2012年:17億円
2013年:16億円
2014年:19億円
2015年:29億円
2016年:32億円
2017年:35億円
2018年:43億円
2019年:59億円
2020年:100億円(会社予想)
2014年前後から純利益は増加傾向にあり、毎年過去最高を更新し続けています。
2020年6月期には最高値である1,000億円となる予定です。
世界中の企業が新型コロナウィルスの影響により業績悪化となる中、レーザーテックは業績は非常に良好です。
レーザーテックの配当金の推移
レーザーテックの配当金は、増加傾向にあります。
2014年:6.8円
2015年:11.5円
2016年:12.8円
2017年:14.0円
2018年:17.0円
2019年:23.5円
2020年:39.5円(会社予想)
レーザーテックは減配することなく、前年の水準と同様もしくは増配を行なっています。
2020年の配当金は39.5円の予想であり、配当利回りは0.43%と高配当です。
2021年の配当予想は未定となっています。
旭化成の配当権利付き最終日は「2020年6月26日、2020年12月28日」です。
レーザーテックの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
2020年、レーザーテックは、当期純利益の35%を配当金として株主に分配する予定です。
2014年:32.31%
2015年:36.70%
2016年:37.24%
2017年:37.13%
2018年:36.70%
2019年:37.34%
2020年:35.62%(会社予想)
レーザーテックの配当性向は、概ね30%台で推移してきました。
今年は35.62%であることから、決して高すぎる値ではなく、配当金の支払いにはまだまだ余裕がありそうです。
過度な配当金を行なっている様子はありません。
レーザーテックは配当性向が高くないことから、企業が稼いだお金を設備投資や研究開発に使い、将来への投資を行なっています。
レーザーテックの業績と今後について
4月28日発表した2019年7月~20年3月期の連結決算は、純利益が前年同期比47%増の63億円でした。
大手デバイスメーカーなどが次世代「EUV(極端紫外線)」関連分野で積極的な投資を進めており、半導体関連装置の売り上げが伸びています。
同社が手掛ける半導体生産の次世代技術「EUV(極端紫外線)」関連装置の需要が引き続き強く、先行きの業績拡大を期待した買いが集まっています。
新型コロナウイルスの影響による世界経済の減速懸念が強まるなかでも、次世代通信規格「5G」向け投資やテレワークの拡大による通信量の増大などを背景に半導体需要は中長期的に拡大が期待されています。
同社は同日に通期の受注高予想についても前回予想(2月4日、700億円)から引き上げて850億円とし、好感した買いが優勢になっています。
一方で「供給網の停滞リスクもあり、同社の株価には過熱感がある」との見方もあるため、積極的買いは控えた方が良いかもしれません。
まとめ
世界経済の減速懸念が強まるなかでも、次世代通信規格「5G」向け投資やテレワークの拡大による通信量の増大、AI技術の進展などを背景に半導体需要は中長期的に拡大が期待されています。
そのため、レーザーテックは今後の成長が期待できる個人的に注目している銘柄です。
レーザーテックの魅力は、高い収益力と財務安定性を兼ねた成長銘柄である点です。
さらに業績も非常に好調であり、2020年は大幅に利益が伸びる予想です。
株価は、ここ数ヶ月の間、最高値を更新し続けています。
今後の成長が期待できることから、買いと言いたいところですが、「供給網の停滞リスクもあり、株価は過熱感がある」との見方もあるため、積極的買いは控えた方が良いかもしれません。
株価が一時的に下がった瞬間に押し目買いが良いでしょう。