「信用取引」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
聞いたことがあるけど、難しそうで敷居が高そう、なんとなく怖そうという方がいらっしゃるかもしれません。
信用取引について正しい理解をしてれば、決して怖いものではありません。
今回は、信用取引とはそのようなものなのか、信用取引の特徴、信用取引をするならどこの証券会社がおすすめなのかをわかりやすくご紹介していきます。
信用取引とは?
「信用取引」とは、証券会社からお金、または株券を借りて株式を売買する取引のことです。
信用取引を上手に使えば、株で効率的に利益を上げるチャンスが拡がります。
一般的に、株式投資には一定以上の資金が必要で、資金が多いほど有利になります。
株取引は、株価×数量で必要資金が決まります。例えば、株価300円の株を100株買う場合、300円×100株=30,000円の資金が必要ですが、株価300円の株を1,000株買う場合、300円×1,000株=300,000円必要です。
300円から400円に株価が上昇したとか、前者は+100円×100株=10,000円の利益ですが、後者は+100円×1,000株=100,000円の利益になるわけです。
こうしたことから、株式は資金が多いほど有利といえます。
しかし、初めから資金をたくさん保有している人は決して多くはありません。
また、手持ちの資金をできるだけ効率的に活用して利益を出せるに越したことはありません。
そこで便利なのが、信用取引です。
信用取引は、簡単にいえば手持ち資金以上のお金を使って株の取引ができるというものです。
信用取引を使うと、通常の現物取引にはできない取引ができるようになります。
信用取引と対比されるものに現物取引があります。現物取引は、最もメジャーな株取引であり、手持ちの資金と同等金額の株を取引するものです。
一方、信用取引は、証券会社から担保を出し信用をしてもらうことで、お金や株券を借り、取引するということから「信用取引」と言われています。
ところが、「証券会社から借りる」という仕組みが少し分かりづらいので、まずは現物取引となにが違うのかをご紹介していきます。
信用取引と現物取引の違い
①「売り」から取引することができる
普通取引(現物取引)は、株価が低い時に買い、株価が値上がりした時に売ることで利益を出します。この方法しかありません。
しかし、信用取引は、「売り」から取引をはじめることができます。
株価が高いところで売りで入り、株価が下がった時に買って利益を出すわけです。
売りから取引をはじめることを「空売り」と呼びます。
ここで注意が必要なのが、値下がりには0になるという限界値がありますが、値上がりには限界値がないということです。
売りで入って、万が一値上がりしてしまった場合、青天井で損失が膨らんでいく危険性もあるので、注意が必要です。
空売りの流れ
信用取引は、株を最初に売ることで、後で買い戻す「空売り」という取引ができる点に特徴があります。
具体的には、下記のような順番で空売りが行われます。
①証券会社から株を借りる
②借りた株をすぐに売る
③決済の時に借りた株の数だけ買う
④証券会社へ借りた株を返し、賃株料を払う
ネット証券で取引をする場合は、①と④の手続きの必要ありません。
売り注文をクリックするだけで簡単に空売りすることができます。
ネット証券は、手数料も安く信用取引も手軽にできることからおすすめです。
決済(買い戻す)までのリミットは、基本的に半年で設定されています。
空売りは、
値段が下がれば、利益が出る
値段が上がれば、損失が出る
ということになります。
空売りでは、値下がりすると思った銘柄に投資して、利益を狙うことができるのです。
売りからの取引(空売り)で、値下がり(右肩下がりのチャート)局面で利益を狙えます。
信用取引は、通常の取引とは異なり信用取引口座を開いて行われる少し特殊な取引です。
信用取引なわけですから、信用を得るために、まずは取引口座に担保となる証拠金を入れます。
②入金している金額以上に取引ができる
その資金を元手にして約3.3倍程度までの株を買ったり売ったりできるという取引です。
3.3倍とはどうことかといいますと、例えば、10万円の元手で33万円分の株を取引することをいいます。
つまり、手元に30万円程度しか資金がなくともおよそ100万円分の株を売買できるのです。
これは、お金を一時的に借りるという措置を行って取引をしているということを意味しています。
つまり、信用取引とは、借金をして自分の持つ資金以上に取引をする取引方法なのです。
現物取引は、自己資金(証券会社に入金した金額)以上は取引することができませんが、信用取引は、自己資金を担保(委託保証金)にして、自己資金以上の銘柄を取引することができます。
取引するにあたっての条件は証券会社によって違いますが、ネット証券会社大手の楽天証券の場合、下記の2つの条件を満たせば、資金の約3.3倍までの取引をすることができます。
最低委託保証金:30万円
委託保証金率:30%以上
保証金は、担保のことです。
最低委託保証金が30万円ということは、信用取引口座に最低でも30万円を入金しておく必要があるというわけです。
委託保証率とは、制度信用取引と一般信用取引の建玉を合算して、持ち株の価値の30%に相当する保証金が必要ということです。
約3.3倍の資金で取引ができるということは、現物取引に比べ、同じ値動きでも約3.3倍の利益と損失がでるということです。
ちょっとした値動きでも損益が大きくなるため注意が必要です。
実際には、委託保証金の3倍までの取引ができますが、慣れるまでは1.2〜1.5倍くらいまで(保証金率70%以上)の取引に抑えることをおすすめします。
③売買の期限がある
信用取引には、制度信用取引と一般信用取引と2種類の取引方法があります。
このうち制度信用取引については、取引を行ってから6ヶ月以内に反対売買(売りから取引開始した場合は、買い戻し)をする必要があります。
つまり、制度信用取引の期限が6か月と限られているのです。
信用取引は、借金をしているわけですから返済期限があるということです。
現物取引の場合は、買った銘柄が上場廃止等にならない限りずっと保有し続けられますが、制度信用取引の場合、6ヶ月後には強制的に決済されてしまいますので注意する必要があります。
また、証券会社からお金や株券を借りている状態なので、日々金利や手数料が取られてしまう点も注意が必要です。
信用取引で長期保有を検討している場合には、注意が必要です。
あわせて制度信用取引と一般信用取引の違いを簡単に比較表で説明すると、以下のようになります。
制度信用取引と一般信用取引の違い
・制度信用取引は、6ヶ月以内に決済する必要があるので長期保有はできない
・制度信用取引は、取引所選定した銘柄のみ信用取引できるサービス
・一般信用取引は、証券会社ごとに選定した銘柄や条件で信用取引できるサービス
制度信用取引は、証券取引所が選定した銘柄での信用取引になるので選定基準が厳しい分、リスクも一般信用取引に比べて低いため、貸し出し金利は低めになっています。
④売買手数料の他にも費用がかかる
現物取引は、株の売買時に手数料がかかりますが、株を保有していてる間には手数料などの費用は発生しません。
ところが、信用取引の場合、信用取引で保有中の期間に金利など様々な手数料がかかります。
信用取引買いの場合は、金利が生じます。
お金の借りるわけですから、保有期間分の金利を払う必要があります。
信用取引売り(空売り)の場合は、信用取引貸株料という金利が発生します。
これは株を借りているわけですから、保有期間分の金利を払う必要があります。
また配当に伴う配当金相当額の支払いが信用取引の売り方に発生します。
これは通常配当権利落ちの株価下落分が利益になっているので、その分を相殺して信用取引の買い方に支払っているものです。
次に、気をつけておきたいのが逆日歩(ぎゃくひぶ)と呼ばれる手数料です。
この逆日歩は制度信用取引の信用売り(空売り)のときに生じることがある手数料です。必ず発生するものではありません。
空売り注文が多発するときに発生します。
空売りが大量に行われると株を貸している側(証券会社等)が、銀行などの機関投資家から株を借りてこなくてはならなくなります。
その時発生するコストを「品貸料」といい、これをもとに算出された「逆日歩」を空売りしている側が支払うことになります。
株の調達コストを空売り利用者に支払わせるものです。
一方で、信用取引の買い方は逆日歩を受け取ることができます。
逆日歩は、高額な金額なこともありますので、前もって口座開設している金融機関を調べておく必要があります。
例えば、楽天証券の信用取引で説明すると、下記のような費用がそれぞれの取引種類によって発生します。
下記のような費用が1日ごとにかかる事を覚えておきましょう。
制度信用取引と一般信用取引のコストの違い
※2020年1月31日時点の楽天証券の信用取引データ
例えば一般信用取引の買建の場合、年間で1%の利益を出したとしても金利が3.09%かかるので、実質-2.09%の利回りになってしまうので、注意が必要です。
支払コスト以上に利益が出す必要があります。
信用取引は、上手に活用するこで利益を大きくする手段になりますが、良いことばかりではないので使用する際には十分注意しましょう。
「信用取引」に向いている人
①短期間で利益を狙う投資手法
長期保有で利益を狙わず、テクニカル指標を使ったチャートの値動きなどによる、スキャルピングやデイトレードで利益を狙う投資手法を得意としている方は、信用取引が向いていると言えます。
先にご紹介しましたとおり、信用取引には、様々な手数料や取引期限が設けられています。
信用取引は、取引が長引くほど手数料等のコストを支払う必要があるため、長期間保有するには適さない取引と言えます。
信用取引は、短期間で勝てる可能性が高いと判断したタイミングで取引を行うと良いでしょう。
信用取引は、急騰あるいは急落する可能性が高いタイミングで、自己資金以上の金額で大きく利益を狙うということに適した取引です。
②適切に損切りできる方向け
損益が拡大してしまったことで、塩漬け(損益がマイナスの状態で長期間保有し続けること)をすることなく、自分の意志でしっかりロスカットができる人でないと、信用取引は難しいでしょう。
先に申し上げましたが、信用取引は長期で株を保有する取引手法は、手数料がかかります。
現物取引の場合は、企業が倒産しない限りは株価が0になり、資産がなくなるということはありません。
ところが、信用取引の場合は、最大約3.3倍の資金量で取引することから、30%以上株価が下落するとマイナスになる可能性(-30%×3.3倍=-99%)があります。
つまり、借金を負ってしまう状況です。
ただし、実際には、一般的には、証券会社が一定の水準で強制的に決済を行い(強制ロスカット)、マイナスになるのを防ぐような仕組みになっています。
現物取引の場合、いつか下落が止まるかもと思って、塩漬けして見て見ぬふりをする投資家も多いですが、信用取引の場合、長期間もっていると手数料がかかります。
なにより株価の下落で資産が0になる可能性も多いにあります。
損切りラインを決めて、自分のルールを作り取引することが、信用取引では特に求められます。
③株主優待をリスク少なく手に入れたい方
一般的に、株主優待を貰える権利が発生する日を「権利付き最終日」と言います。
この日に株を所有していれば株主の権利を取得できるので、「権利付き最終日の翌日」=「権利落ち日」に株を売っても、配当金や株主優待の権利は得られます。
そのため「権利落ち日」以降は、株主優待や配当金だけが目当てだった投資家の売りに押され、株価が値下がってしまう事もあります。
この現象を利用して以下の方法で信用取引を行うと、値下がりリスクを抑えて株主優待を手に入れることができます。
その方法とは、両建て手法です。
両建て手法の手順
1. 権利付き最終日までに、欲しい株主優待の銘柄を買う(現物買い)
2. 1と同じタイミングで、1と同じ銘柄を信用売り(空売り)する
3. 権利落ち日(翌日)に、現物買いした株主優待銘柄の売却と、信用売りした銘柄を返済買いする
欲しい株主優待の銘柄に対して「現物買い」と「空売り」を同時に行うことで、価格変動のリスクがなくなり優待を手に入れることができます。
「信用取引」って危険なのか?注意点とは?
信用取引は、危険な取引というイメージを持たれているかもしれません。
ところが、実際には気をつけるポイントを理解していればリスクを回避することができます。
このポイントを理解せずに信用取引を行うと痛い目にあってしまいます。
信用取引は、以下の3点を注意すると良いでしょう。
・資金管理をする(レバレッジをかけすぎない)
・損切り(ロスカット)をする
・手数料などのコストを意識する
「信用取引」におすすめの証券会社
ネット証券の信用取引サービスは現物株以上に会社よって違いがあります。 各社の信用取引サービスの違いはこちらでしっかり理解して自分の投資スタイルにあった証券会社を選びましょう。
おすすめは、楽天証券です。
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