調味料で国内最大手の味の素。
アミノ酸技術で飼料、医療など多角化を行っています。
海外展開で他の食品メーカーの一歩先を行っています。
何十年も前から海外市場に対して投資をし続けてきた企業です。
味の素の売上高の半分以上は海外となっています。
味の素は着々と増配を続けてきた企業ですが、肝心の業績はどうなのでしょうか?
業績が良ければ、増配を続けることができますが、業績如何では減配という可能性もあります。
今回は、味の素についてご紹介していきます。
味の素の株価状況
株価
1,892(4/14 15:00)
年初来高値
2,036.5(2020/3/31)
年初来安値
1,626.0(2020/3/13)
最高値(過去10年)
3,161.0(2016/2/1)
最安値(過去10年)
729.0(2011/3/15)
PER:34.32倍
PBR:1.65倍
配当金(会社予想):32円
配当利回り:1.58%
配当性向(予想):87.67%
配当権利確定日:3月末、9月末
自己資本比率:44.0%
ROE:4.7%
ROA:2.1%
EPS(予想):36.5円
味の素の財務状況
自己資本比率:44.0%
自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
自己資本比率は、自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)で算出します。
自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、倒産するリスクが高まります。
一方で自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。
では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。
一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業ならまずつぶれません。
40%以上なら倒産しにくい企業といえます。
味の素は、自己資本比率44.0%であり、潰れるリスクが低い優良企業といえます。
ROE:4.7%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
味の素は、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが4.7%となっています。
収益率に関してはもう少し頑張りたいところです。
ROA:2.1%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
味の素はROAが2.1%です。決して収益率が高い企業とは言えません。
EPS:36.5円(予想)
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下は味の素のEPSの推移を示した表です。
2012年:109.7円
2013年:105.8円
2014年:124.2円
2015年:78.54円
2016年:107.86円
2017年:92.0円
2018年:106.8円
2019年:53.6円
2020年:36.5円
2018年をピークにEPSは減少傾向にあります。
2018年にEPSの最高値を更新しましたが、その当時と比べて現在は、3分の1程度となっています。
業績は決して好調とは言えない状態ですね。
PER:34.32倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在の味の素の株価は、かなり割高だといえます。
味の素のPERは、34.32倍です。10倍を大きく上回る水準であり、割高だといえます。
PBR:1.65倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PER同様、PBRも味の素は高い値であり、割高といえます。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
味の素の株価推移
10年チャート
出所)味の素(株)【2802】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート
出所)味の素(株)【2802】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
2016年から下落トレンドが続いています。
足元1年を見てみますと、値動きの激しい状況が続いています。
業績が増益から一転下方修正をしているからです。
新型コロナウィルスの影響で株価はさらに下落することが予想されます。
味の素の事業内容
味の素は、うま味成分の発見から始まりました。世界No.1アミノ酸メーカーとして様々な事業を行っています。
味の素をセグメント別にみていくと、日本食品、海外食品、ライフサポート、セルフケアの4つに分類することが出来ます。
味の素の当期利益の推移
2016年に世界同時株安になったときに最高益となりましたが、その期を境に下落トレンドとなっています。
2018年に増益となりましたが、2019年には大幅減益となりました。
2020年は新型コロナウィルスの影響でさらに利益が減少することが予想されます。
2012年:417億円
2013年:483億円
2014年:421億円
2015年:464億円
2016年:712億円
2017年:530億円
2018年:601億円
2019年:296億円
2020年(予想):200億円
味の素の当期純利益は、2019年で大きく下げました。下落幅は、前年比50%減です。
つまり、当期純利益が前年の半分になってしまったわけです。
また、2020年の当期純利益も2019年を下回る予想となっています。
国内外の原材料費の高騰と売上の伸び悩みが影響した模様です。
新型コロナウィルスの影響で業績はさらに悪化するでしょう。
味の素の配当金の推移
味の素の配当金は、2016年からずっと1株当たり144円と高配当を続けています。増配し続けています。
2011年:16円
2012年:16円
2013年:18円
2014年:20円
2015年:24円
2016年:28円
2017年:30円
2018年:32円
2019年:32円
2020年:32円(予想)
味の素は増配をし続けています。
今年は一昨年や昨年と同じく、過去最高の配当金32円を予定です。
2019年で大きく利益が落ち込んだにもかかわらず、減配をしなかったのは立派ですが、減益が続くようだと減配の恐れがあります。
味の素の配当権利確定日は「3月末と9月末」です。
つまり、口座に配当金が入金されるのは、権利確定日から6ヶ月後の「6月末と12月末」となります。
味の素の予想配当性向は87%超!?
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
味の素は、当期純利益の87%を配当金として株主に分配する予定ということです。
2011年:36.73%
2012年:26.33%
2013年:21.91%
2014年:29.51%
2015年:25.5%
2016年:22.41%
2017年:32.51%
2018年:28.38%
2019年:62.14%
2020年:87.67%(予想)
昨年と今年で配当性向は急上昇しました。
その理由は、2019年に当期純利益が大きく下落続けているにもかかわらず、配当金が32円と2018年の水準からずっと変化しなかったからです。
現在のような業績が続けば、配当金32円をキープし続けることは困難でしょう。
今年の配当性向は、今現在87%となっています。
このまま2019年と同じ32円という配当金であればですが、配当性向が90%弱ある状態となり危険です。
企業が稼いだお金のうち90%を配当金に使っているわけです。
企業が稼いだお金を過度に株主に還元している場合、会社を成長させるための原動力となる研究開発に資金を十分回すことができなくなってしまいます。
まとめ
味の素はの当期純利益は、2019年で大きく下げました。下落幅は、前年比50%減です。
つまり、当期純利益が前年の半分になってしまったわけです。
また、2020年の当期純利益も2019年を下回る予想となっています。
新型コロナウィルスの影響で業績はさらに悪化するでしょう。
配当金は、現状では減配を行う予定にはなっていませんが、配当性向が90%近くとなっているため、減配も時間の問題かと思います。
現在、味の素に投資することは、おすすめできません。
銘柄の割安度を示すPERやPBRも割高であることから、株価がさらに大きく下げた場合は検討の余地があるかもしれません。