みずほフィナンシャルグループは、国内3メガバンクの一角でありグループ内に銀行、信託、証券、アセットマネジメント(資産運用)およびシンクタンクを擁するグローバルな金融グループです。
そんなみずほフィナンシャルグループは、配当利回りも良く、なんと6%を超えています。
また、みずほは2020年5月15日に2020年10月1日付で株式を10株から1株へ株式併合を行うと発表しました。今後の株価への影響が気になります。
今回は、そんな超有名企業かつ高配当銘柄であるみずほフィナンシャルグループについてご紹介していきます。
- みずほFGの株価状況
- みずほFGの財務状況
- みずほFGの株価推移
- みずほFGの事業内容
- みずほFGの当期純利益の推移
- みずほFGの配当金の推移
- みずほFGの配当性向の推移
- みずほFGが株式併合を発表
- 株式併合による影響
- みずほFGの業績と今後について
- まとめ
みずほFGの株価状況
株価(5/15 15:00)
120.2
年初来高値
169.1(2020/1/9)
年初来安値
108.4(2020/3/13)
最高値(過去10年)
280.4(2015/6/1)
最安値(過去10年)
98.0(2011/11/21)
PER:6.55倍
PBR:0.35倍
配当金(会社予想):7.5円
配当利回り:6.14%
配当性向(会社予想):4.3%
配当権利付き最終日:2020年9月28日、2021年3月29日
ROE:5.3%
ROA:0.2%
EPS:66.6円
みずほFGの財務状況
ROE:5.3%
ROEは、10~20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率(ROE:Return on Equity)とは、自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の指標です。
自己資本とは、株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積を表しています。
ROE(自己資本利益率)は、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
株主の立場から見ると、自己資本利益率が高い会社は「自分が投資したお金を使って効率よく稼いでいる会社」であると見ることができます。
みずほFGは、株主から集めたお金と事業活動から得たお金をどれだけ有効活用しているか示すROEが5.3%です。
ROE5.3%は低い水準であり、もう一踏ん張りといった状況です。
金融危機後、メガバンクは資本増強に努めてきました。
資本を厚く積むとROEは低い水準になりやすくなります。
こうした状況から、みずほFGのROEは低水準となっています。
世界の大手銀行でROEが低い水準であることから、IMF(国際通貨基金)は「将来の規制に備えた資本のバッファーが薄く、かつ今後数年、バッファーを築くための収益性が弱い銀行には注意が必要だ」と低収益体質の銀行に警笛を鳴らしています。
ROA:0.2%
ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す、財務分析の収益性の指標です。
純資産(自己資本)、負債(他人資本)を含めた、すべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報とも言えます。
一般的に、ROAが5%が超えていると優良企業であると判断されます。
ただし、業種によって基準が変わってくるため、ROAを分析する際は同業種の水準と比較することが大切です。
みずほFGはROAが0.2%です。ROEと同じくもう一踏ん張りです。
EPS:17.6円
EPS:Earnings Per Share(1株当たり利益)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、1株に対して当期純利益がいくらあるのかを表す指標です。
「1株利益」「1株あたり当期純利益」と呼ばれることもあります。
EPSとは、成長性を見る指標です。EPSの推移を見るようにしましょう。
順調にEPSが増えていれば、成長性のある企業であると言えます。
EPSは、会社の規模にかかわらず1株あたりの当期利益の大きさを表しているため、値が大きいほど良いとされます。
順調にEPSが増えている企業は、安定的に収益をあげ、しかも成長中の企業なので、投資先として検討しましょう。
以下はみずほFGのEPSの推移を示した表です。
2014年:28.4円
2015年:24.9円
2016年:26.8円
2017年:23.8円
2018年:22.7円
2019年:3.8円
2020年:17.6円
2014年頃から概ね横ばいか下落トレンドとなっています。
みずほFGは、2019年3月期に大きく利益を減らしました。そのため、2019年のEPSは大きく下落しています。
勘定系システムの開発費や店舗の統廃合に関わる減損損失の剥落による影響です。
新型コロナウィルスの影響で今後もEPSは下落を続ける見込みです。業績は不安定です。
PER:6.55倍
株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)とは、財務分析で企業の成長性を分析するときに利用する指標の一つであり、株価が1株ごとの当期純利益の何倍まで買われているかを表すものです。
PER(倍) = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)
PERが低いほど会社の利益に対して株価が割安であり、高いほど株価は割高だと判断できます。
PERは会社の利益を基準に判断し、PBRは会社の資産を基準に判断されます。
PER15倍以下なら割安と言われていますので、現在のみずほFGの株価は、かなり割安だといえます。
みずほのPERは、6.55倍です。10倍を大幅に下回る水準であり、かなり割安だといえます。
PBR:0.35倍
PBR:Price Book-Value Ratio(株価純資産倍率)とは、財務分析で企業の成長性を分析するの指標の一つであり、会社の純資産に対して株価が適当な水準であるのかを表す指標です。
PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産に対して、何倍の株価で株が買われているかを表しています。PBRを見れば、会社の資産に対して株価が高いか安いかを判断できます。
PBRの目安は1倍以下です。
一般的な目安として、PBR(株価純資産倍率)が1倍以上なら割高で、1倍を割るようであれば割安であると考えられています。
PBRが1倍ということは、株価とBPS(1株あたり純資産)が等しいということであり、その投資段階で会社が解散した場合、株主には投資額がそのまま戻ってくるということを表しています。
PER同様、PBRもみずほFGは、かなり低い値であり、割安です。
株価指標の読み方については、以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
みずほFGの株価推移
10年チャート 株価(5/15 15:00)120.2円
出所)(株)みずほフィナンシャルグループ【8411】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
1年チャート 株価(5/15 15:00)120.2円
出所)(株)みずほフィナンシャルグループ【8411】:リアルタイム株価チャート - Yahoo!ファイナンス
今回の新型コロナウィルスの影響で株価は一気に59円以上下げ、一時100円を割る勢いでした。
しかし、その後は若干持ち直しましたが、再び下落し120円台で推移しています。
再び120円を割る可能性も大いにあり、株価の低迷がしばらく続くことが予想されます。
みずほFGの事業内容
<みずほ>は、「みずほフィナンシャルグループ」という持株会社のもと、銀行、信託、証券などを持つ総合金融グループです。
<みずほ>はグループ内に銀行、信託、証券、アセットマネジメント(資産運用)およびシンクタンクを擁するグローバルな金融グループです。
今後も「One MIZUHO」の旗印のもと、日本、そしてアジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、グローバルで開かれた総合金融グループを目指します。
みずほの強み
「強固な事業基盤」と「One MIZUHO戦略による高度なサービス提供力」が<みずほ>の強みです。
<みずほ>は、これまで築き上げてきた個人・法人の幅広い強固な顧客基盤、国内外の充実したネットワークをベースに、銀行・信託・証券一体戦略によるワンストップの高度なサービス提供力により、国内・海外を問わずお客さまの様々なニーズに対応することで、お客さま、経済・社会に<豊かな実り>を提供していきます。
みずほFGの当期純利益の推移
みずほFGの当期純利益は、概ね横ばい、もしくは下落傾向にあります。
2012年:4,845億円
2013年:5,605億円
2014年:6,884億円
2015年:6,119億円
2016年:6,709億円
2017年:6,035億円
2018年:5,765億円
2019年:965億円
2020年:4,485億円
2021年(予想):3,200億円
みずほFGは、2019年3月期は965億円と大きく利益を減らしました。
勘定系システムの開発費や店舗の統廃合に関わる減損損失の剥落による影響です。
5月15日発表した2020年3月期は前年の2019年3月期を上回りましたが、例年と比べやや低い水準となっています。
2020年3月期(前期)は、純利益が4485億円と前の期の4.6倍に増えたとしています。
本業のもうけを示す実質業務純益(みずほ銀行とみずほ信託銀行の2行合算ベース)は5152億円と前の期の2倍に増えました。
新型コロナウィルスの影響を向い風となり厳しい状況が続きそうです。
減益が続いている主な要因は、金利低下や投信販売の不振による苦戦です。
また、2021年3月期の連結純利益を前期比29%減の3200億円と見込んでいます。
みずほFGの配当金の推移
みずほFGの配当金は、現在は1株当たり7.5円と高配当を続けています。
2014年:6.5円
2015年:7.5円
2016年:7.5円
2017年:7.5円
2018年:7.5円
2019年:7.5円
2020年:7.5円(予想)
減益となった年も減配をせず高配当を維持してきました。特に2019年は減配するかと思われましたが、減配することなく前年の水準を維持しました。
配当目的で保有するなら好感が持てます。
みずほFGの配当性向の推移
配当性向は、1株当たりの利益のうちどれだけの割合を配当金に当てたかを示す指標です。
配当性向は、以下の数式で求められます。
当期純利益÷配当金総額
EPS(1株当たり純利益)÷1株当たり配当金
2012年:44.68%
2013年:27.24%
2014年:22.12%
2015年:28.78%
2016年:29.1%
2017年:31.48%
2018年:33.02%
2019年:197.15%
2020年:40.4%
2019年を除きみずほの配当性向は20〜40%で推移してきました。
配当性向30〜40%は決して高すぎる数値ではなく、むしろ日本の大企業ではよく目にする数値です。
2019年は配当性向約200%と過度な配当であったといえますが、それ以外の年は無理な配当をしていないようです。
2019年の200%は大幅減益となりましたが、減配せず7.5円を維持したことが要因です。
みずほFGが株式併合を発表
みずほFGは、5月15日に2020年10月1日付けで株式10株を1株に併合することを発表しました。
つまり、発行株式数250億株が25億株になるわけです。
株式併合とは、企業が複数の株式を1株に統合する事を言います。
今回のみずほFGが行うことを決定した、10株を1株といったように複数の株式を1株に統合して、株式の数を減らします。
すると、10株を1株にすると株価が10倍になります。
現在のみずほFGの株価は、120円であるため、いま株式併合を行うと1,200円になるわけです。
ただし、気をつけなければならないのは、理論上資産価値は全く変わらないという点です。
例えば、みずほの株式を1,000株所有していたと仮定します。
現在の1株の価格を120円として、資産価値は120,000円と言う事になります。
そこで、10株を1株に株式併合したとします。
すると、併合後の価格は1株で1,200円、併合後に所有している株式の数は100株と言う事になります。
資産価値は1,200円×100株=120,000円で変わりません。
つまり、株価は、10倍になり保有している株式数は10分の1になるわけです。
これを簡単にまとめると、120円×1,000株→1,200円×100株になるわけです。
株式併合によって所有している株式数は減ってしまいましたが、価格が上がった為、保有している資産は変わらないのです。
今回、株式併合を行う理由は、主に3つあります。
①東京証券取引所が勧める必要最低投資金額の5万円以上から50万円未満を保つため
現在、みずほFGの必要最低投資金額は、1万2,000円程度です。
最低投資金額が低い株式を低位株と言いますが、低位株に対してマイナスな印象を抱く投資家は少なくありません。
②管理コストを削減するため
発行株を減らすことで、株主総会への招集通知、配当金の発行通知などのコストを削減することができます。
発行されている株式数が多過ぎる場合、低位株となり少数株主が増加するとことで、管理コストが増加します。
つまり、株主数が増えれば増えるほど管理コストは増えていく事になるのです。
管理コストを削減できる点は企業にとってもメリットであると言えます。
③少数株主を追い出すため
発行されている株式数が多過ぎる場合や、企業の再建を進めたい場合、株主を追い出す事を目的に株式併合を行う場合があります。
これはスクイーズアウトと呼ばれています。
スクイーズアウトの例としては次の例が挙げられます。
ある企業の株式を10,000株持っているAさん、100株持っているBさんがいたとします。
この企業は、企業再建をしやすくするため、株主の権利を主張する少数株主を排除したいと考えました。
そこで、10株を1株に併合する事にしました。
この時、Aさんは併合後も100株以上持っていることから株主の権利は失いません。
しかし、Bさんは10株保有している事になります。Bさんは最低単元100未満であることから、株主の権利を失うことになってしまうのです。
このように、強引に保有株式数を端株や1株未満にする事で少数株主を追い出す方法をスクイーズアウトと言います。
株式併合におけるスクイーズアウトは、現在のスクイーズアウトの主流であると言われています。
株式併合による影響
管理コストの削減やスクイーズアウトを行うことを目的とした株式併合の場合、業績が好調であるとは言えないケースが多いと言われています。
そのため、結果的に併合発表後は株価の下落に繋がるケースもあります。
仮に実際に業績は好調であっても、株式併合を悪材料と考える人が多ければ株価は下落します。
また、資産価値は変わっていなくても、投資家の心理として価格の高い株式は売り、価格の安い株式は買うと言う心理が働きやすくなります。
そのため、売られやすくなる傾向があります。
多くの場合、株式併合の発表が出たとしても、株式の資産価値は変化しないことから、株価が上昇することはありません。
むしろ、株式併合後の株価は下落する場合があるのです。
このように株式併合後は株価が下落しやすいので、株式併合のタイミングに株式を売却、購入する場合はこの事を意識しておくと良いかもしれません。
みずほFGの業績と今後について
国内においては日銀の大規模金融緩和が以前として続いていることで金利収入が落ち込み伸び悩んでいます。
融資は堅調に推移していますが、低金利の影響で利ざやの乏しい状況が続いてます。
低金利による収益力の低下が鮮明に現れています。
株価の乱高下で市場部門も苦戦しています。
投資信託の販売額も伸び悩み、手数料収入も減少している状態です。
リテール(個人・中小向け)部門が投資信託の販売額の落ち込みなどで苦戦しています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化が予想されます。
現時点でも「全体で1250億円程度のマイナス影響が出た」とのことです。
感染拡大の影響を考慮して予防的に引当金を計上したことで、与信関連費用が大きく増加したようです。
与信関係費用とは、その名とおり与信に関係する費用全体なのですが、主に債権の回収が不可能になった際に行う「償却額」や債権が劣化したことで積み増す「貸倒引当金繰入額」等をさします。
つまり、融資が回収できないリスクに備えた貸倒引当金の積み増しです。
みずほFGは21年3月期の連結純利益を前期比29%減の3200億円と見込んでいます。
新型コロナが与信関係費用の増加に加え、業務粗利益の減少にも影響すると見ています。
融資先の破綻に伴う債権放棄などを含む不良債権処理費用が膨らみ、利益を押し下げています。
リーマン危機があった09年3月期の不良債権処理費用は、景気回復にあわせて減り続け、不要な引当金の戻りが利益を押し上げてきました。
しかし、景気に陰りが出ていた昨年からこうした動きが逆回転し、新型コロナで一気に急増したわけです。
人員削減や店舗数を縮小するなど構造改革を進めていますが、低収益体質から抜け出すのは難しそうです。
みずほFGの坂井社長は先行きについて「不透明で先がみえない」とも述べ、新型コロナの影響次第では必要に応じて業績見通しを見直すとの姿勢を示しています。
まとめ
みずほFGの魅力は、配当利回り6%超えの超高配当銘柄という点です。
さらにPERは6.55倍、PBRは0.35倍とかなり割安と言える水準です。
この水準は、かなりの割安といえる水準です。
しかし、今後も業績の悪化が予想されることから、株価は低迷を続けるでしょう。 業績が回復するまでは投資しない方が良いでしょう。
構造改革が成功し、市場がみずほFGの評価を見直すことになれば、株価は上昇に転じるでしょう。