そもそもFXとは?
FXは、英語「フォーリン・エクスチェンジ(Foreign Exchange)」の略称です。
「Foreign Exchange」とは、日本語に直すと「外国為替」となります。
外国為替とは、ある国の通貨を別の国の通貨に交換することをいいます。
FXの正式名称は「外国為替証拠金取引(がいこくかわせしょうこきんとりひき)」といいます。
こうしたことから、「外為(がいため)」の略称でも呼ばれています。
FXは、二国間でそれぞれの通貨を交換し、その交換した時の通貨価格の差額で利益を出す金融取引です。
普段、私たちがお店で買い物をする時、取引の対象となっているものは、「もの」と「お金」です。
お店が提供する商品という「もの」と消費者が提供する「お金」を交換する取引を行なっているのです。
FXもこれと同じ単なる交換取引です。
FXで取引されているのは、「お金」と「お金」なのです。
為替レートとは?
通貨を交換するときには、商品と同じように通貨にも価格があります。
この通貨の価格を交換レートといいます。
そして、この交換レートを為替レートといいます。
では、この為替レートがどのように決まるのか。
例えば、「日本円を1ドル100円で米ドルに交換したい」と考える人もいれば、「1ドル110円で、米ドルを日本円に交換してほしい」という人もいます。
世界中には、ある通貨を「買いたい人」「売りたい人」がたくさん存在します。
そうした人が通貨を売り買いすることで為替レートは常に変動していきます。
ある通貨の人気が高く、買いたい人が多い場合は、その通貨の為替レートは値上がります。
逆に、人気が低い場合は、為替レートは値下がりまふ。
FXとは、この為替レートの変動によって、買った時の為替レートと売った時の為替レートの差益を目的とした金融商品なのです。
FXの取引で代表的なものの一つに、円と米ドルがあります。
例えば、米ドルを1ドル90円といった、(米ドルの価値が)安い時に買って、1ドル110円と高くなったら売ります。
すると、その差額である20円が利益となります。
これがFXで利益を得る最も基本的な方法です。
では、ここでいう「米ドルが高くなった時に売る」とは、どういうことでしょうか?
1番イメージしやすいのは、海外旅行です。
アメリカへ旅行する場合、円を米ドルに両替する必要があります。
1ドルをいくらに両替できるかが、「為替レート」です。
ところが、この為替レート、日々変動しています。
例えば両替する時の為替レートが1ドル100円だったとしましょう。その場合10万円をドルに両替すると1,000ドルが手に入ります。
これは、円を出して、ドルを買っていることになります。ドルを買ったことで手元にドルが入ってきますから。
計算は以下のとおりになります。
両替するお金÷為替レート(1ドル=100円)
100,000円÷100円=1,000ドル
この1,000ドルをもって、アメリカへ旅行きました。
色んな観光名所を訪れ、買い物をたくさんしたにもかかわらず、立ち寄ったラスベのカジノで儲けることで、1,000ドルをすべて日本へ持って帰ることができたとします。
そこで、再び円に両替したとしましょう。
最初に10万円を1,000ドルに変えたから、10万円と思うかもしれませんが、そうとは限りません。
先ほど申し上げたとおり、為替レートは常に変動しています。
帰ってきたときの為替レートが1ドル110円になっていたら、いくらに両替できるでしょうか?
次のような計算になり、11万円が手元にもどってきます。
1,000ドル×110円=110,000円
つまり、帰国前と帰国後で1万円分の差額が生じたのです。
為替レートが1ドル100円から1ドル110円になったことで1万円の得をするこができました。
ここでの行為は、ドルを円に変えているわけです。それは、ドルを売って、円を買ったことを意味します。
1ドルの為替レートが高い時にドルを売ったことになるのです。
では、帰ってきたときの為替レートが1ドル90円になっていたらどうでしょう?
次のような計算になり、今度は1万円損してしまうことになります。
1,000ドル×90円=90,000円
つまり、1ドル110円はドルの為替レートが高く、1ドル90円の時はドルの為替レートが低いということになります。
1ドルの通貨の価値に着目すれば、高い状態なのか、低い状態なのか分かります。
為替レートはどのようにして決まるのか?
さきほど、為替レートがどのように決まるのかについて、「ある通貨を「買いたい人」「売りたい人」がたくさん存在し、そうした人が通貨を売り買いすることで為替レートが決まる」と、ご紹介しました。
ある通貨の人気が高く、買いたい人が多い場合は、為替レートは値上がります。
逆に、人気が低い場合は、為替レートは値下がります。
では、どのような時に通貨の人気が高くなるのでしょうか。
主に3つの要因が考えられます。
①輸出入といった実際の需給要因
②金利や物価といった投資的な要因
③為替レートそのものを対象とした投機的要因
です。
ただし、この3つの要因が別々に影響するのではなく、相互に関係しあっているのです。
米ドルを例に見ていきましょう。
①輸出入といった実際の需給要因
日本の商品やサービスの輸出が、アメリカからの輸入より少なかったとしましよう。
例えば、日本からアメリカへの日本車の輸出が激減し、日本にアメリカの車や、iPhone、牛肉やとうもろこし等がたくさん入ってきたとします。
日本は、日本の商品がアメリカに売れなくなるわけですから、アメリカから受け取る米ドルよりも、日本から支払う米ドルのほうが多くなります。
そのため、たくさん円をドルに交換し、アメリカの商品を買うことになります。日本は円を売ってドルを買う必要があるのです。
ですから、外国為替市場では米ドルに対する需要が増大します。
すると、日本が米ドルを買うことで、米ドルの価値が高まり、米ドルの為替レートが高くなります。
円安ドル高になるのです。
つまり、日本の商品やサービスの輸入が輸出より多い場合(経常収支が赤字の場合)、円安ドル高になります。
②金利や物価といった投資的な要因
日本の金利が低く、アメリカの金利がかなり高い情勢だったとしましょう。
2019年現在のような状況です。
現在、日本はマイナス金利を導入し、非常た金利が低い状態、一方アメリカは、金利が1.5%〜2.0%です。
アメリカでドル預金した方が、金利が高いため、高金利を得ることができます。
そのため、投資資金がアメリカに流れることになります。
ドル預金するためには、円を売ってドルを買わなければなりません。
すると、外国為替市場では米ドルに対する需要が増大します。
人々が米ドルを買うことで、米ドルの価値が高まり、米ドルの為替レートが高くなります。
円安ドル高になるのです。
次に物価について見ていきましょう。
アメリカの物価が低い場合(デフレ)、米ドルの実質的な通貨価値が高いと言えるため、為替レートが高くなります。
実際的な通貨価値が高いとは、どういうことでしょうか。
物価が低い、ものの値段が安いということは、少ない通貨量でものを買うことができるということです。
少ない通貨量でものを買うことができるということは、1通貨あたりの価値が高いということです。
③投機的な要因
外国為替市場における投機とは、儲けるために外国為替を売買することです。
投機家は、円安ドル高になると、積極的にドル投機を行うので、ますます円安ドル高になります。
ヘッジファンドがその典型ですね。
ヘッジファンドは、市場が下落すると、さらに売りを仕掛けて、下落幅を増やそうとする傾向があります。
ちなみに、ヘッジファンドとは、先物取引やオプション取引などのデリバティブを用いて、市場が上昇しても下落しても利益を出してリスクを抑制しながら収益を増やすファンドです。